子供のトレンドに浮き沈みはつきものだが、ここ数年、常に小学校高学年から中学生を対象に人気を集めているのが1対1で対戦するトレーディングカードゲームだ。

 決められた範囲内で各プレイヤーがコレクションしたカードの中から自由にセット(デッキ)を作り、その内容を元に勝負に臨むという。
持ち主が異なるタイトルのカードを混ぜて遊ぶことはない。なかでも「遊☆戯☆王ファイブディーズ オフィシャルカードゲーム」、「デュエル・マスターズ」は飛びぬけて人気を集めている。

 「ムシキング」、「ドラゴンボール」、「恐竜キング」など、ゲームセンターに置いてあるゲーム機と連動して遊べるトレーディングアーケードカードは、一定の流行期間が終わればゲーム機が撤去され、廃れていく傾向にある。しかし、トレーディングカードゲームは、そのカード自体だけで遊べるので、人気は衰えない。

 一番人気の高い「遊☆戯☆王ファイブディーズ オフィシャルカードゲーム」は集英社のコミック誌「週刊少年ジャンプ」に1996年から連載された漫画が原点。原作に出てくるカードを現実化したもので99年から販売が始まり、日本だけでなく世界の子供たちから熱い支持を集めた。累計販売枚数は181億枚にも達するという。「漫画の連載は4年前に終わっているのに、カードを付録にすると部数(通常270万部)が10万部アップする」と少年ジャンプ編集長が言うように、初登場から10年以上たっても人気は衰えてはいない。

 トレーディングカードの大きな魅力は、カードにレアリティ(希少度)の段階を設置していること。ゲームの根幹となるカードの希少度は低く、効果の高い、あるいは複雑な効果を持つカードの希少度は高い。1パック5枚入りで150円程度という気軽さも加わり、レアリティカードを求め、お年玉やお小遣いを持ってカードを購入する子供が続出している。

 さらにコンビニエンスストアにも置いていることから、休日のドライブ休憩で、親もお菓子を買う感覚でカードを購入し子供に渡してしまう。
このように、コレクター性とゲーム性に、簡単な購入方法を結びつけたシステムは商業的に大成功している。

 カードの組み合わせで、戦力を変えることができるトレーディングゲームは、難易度も高く、かなり奥が深い。物事を平面で捉える20、30代が多い昨今、この難解なトレーディングカードゲームをこなす10代の彼らは、物事を立体的に捉える力を遊びながら蓄えているのかもしれない。
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