【前篇はこちら】武道館で王座陥落、丸刈りに…スターダム・ジュリアに聞いた、令和になぜ「髪切りマッチ」?
【写真】武道館で髪切りマッチに破れ、リング上で丸刈りになる“美しき狂気”ジュリア
中野たむとの髪切りマッチで丸坊主になったジュリア。
髪の毛が元に戻るまで「髪切りデスマッチに負けた女」というレッテルを貼られたままリングに上がらなくてはいけない。その数か月間でみじめな姿を晒し続けるのか、女の生き様を見せつけるのか……真の勝者が決まるのはこれからだ。
「翌日、コンビニに行ったら東スポの一面に私の丸坊主姿がドーンと載っていて(笑)。思わず買いましたよ。店員さんも一面と私の顔を見比べて『!?』ってなっていたけど、まぁ、こうやって話題が広がっていくのはいいことですよ。Twitterのトレンド入りをしたり(この試合はPPVで全世界に配信されたので、海外でも『スターダム』『ジュリア』というワードがトレンド入りしていた!)、少しでも女子プロレスを世界に届けることができたのかなって」
武道館決戦のわずか3日後、スターダムは後楽園ホールで試合を開催。そこでジュリアはファンの前ではじめて丸坊主姿を披露することになる。
「いまでこそ、ようやく慣れてきましたけど、あのときはさすがに恥ずかしかった。不思議な気持ちというか、もう全部、見られている感覚? そう、裸を見られているような感じでしたね。
まさか自分が負けるとは思っていなかったら、後楽園で着るコスチュームも用意していなくて。
自ら「出直したい」と志願しての第1試合出場。入場時にはキャップを目深にかぶった上にサングラスで武装。試合中は観客の視線を感じながら、丸坊主姿で闘ったが、試合が終わると、すぐにキャップで坊主頭を隠すようにして退場。その後、仲間たちのセコンドについたが、ずっとキャップをかぶりっぱなしだった。
「たしかに恥ずかしかったのは事実だけど、セコンドについたときはまた別の理由でキャップを被っていたんですよ。やっぱり試合中はリング上を見てもらいたいのに、リングサイドで坊主頭のジュリアがうろちょろしていたら、みんなこっちを見るじゃないですか? だから、お客さんがリング上での闘いに集中できるように坊主頭を隠しただけ!」
こうして第1試合からリスタートを切ったジュリアだが、4月4日に横浜武道館で開催されるビッグマッチでは、早くもメインイベントに復帰。「ドンナ・デル・モンド」の舞華&ひめかが保持するゴッデス・オブ・スターダム王座に挑戦する同門対決がメインを飾ることとなった。やはり、女子プロレス界はジュリアを中心に回っているのか?
「いや、そうじゃないですよ。武道館で白いベルトのタイトルマッチがメインになったように、このリングでは絶対にコレがメイン、みたいな縛りはないわけで、裏を返せば誰でもメインイベントに立てるチャンスがある。
だから、すべての選手がメインを目指してほしいし、そのためにはプロレスについてもっと考えてほしい。私は常に考えているので。なにかネタはないかな、とリングの上をいろいろ探して、なにかネタがあったら、それをタネにして、どうやって膨らませていくのかを考える。
日本武道館でゲスト解説をした北斗晶はジュリアを「令和のデンジャラスクイーン」と評した。言うまでもなく北斗は平成の時代に「デンジャラスクイーン」と呼ばれ、日本武道館や東京ドームでずっとメインを張ってきた。
「北斗さんは“時代を創った人”ですよね。女子プロレスの世界で時代を創っただけでなく、それを世間にも知らしめて、みんなを釘付けにした偉大な方。そんな方に令和のデンジャラスクイーンと言っていただいた以上は、私も時代を創っていくしかないですね」
ジュリアの髪の毛が伸びていく過程を見ていくことは、そのまま新しい女子プロレスの時代が創られていく様子をリアルタイムで体感できる、ということにつながっていく。その第一歩が4・4横浜武道館。そのあとも5・29大田区総合体育館、7・4横浜武道館と怒涛のビッグマッチラッシュが続く。
「女子プロレスを見たことがない方に説明するなら、女子プロレスって昼ドラのドロドロした世界。女たちが醜い部分、汚い部分も全部、さらけ出して闘う世界で、それが『生』で目の前で展開されていく。だから、一回見たら、次が気になるし、どんどん点と点がつながって線になっていくから目が離せなくなるよ。アリーヴェデルチ! またな!」
令和のデンジャラスクイーンにして、女子プロレス界の新たなるカリスマ。すでに坊主頭すらもカッコよく魅せているジュリアは、まだ誰も見たことのない女子プロレスの景色を世界中に届けようとしている。