怒涛の展開で見る者を魅了したレギュラーシーズン最終版から1カ月の沈黙を経て、Mリーグのセミファイナルシリーズがいよいよスタート。業界全体がかつてない盛り上がりを見せるなか、これまで麻雀人気を最前線で支えてきたトップ女流プロ・二階堂亜樹が自身の現在と過去、そして未来を語る。
(3回連載の3回目)

【写真】インタビュー中、笑顔を見せる二階堂亜樹プロ

――業界では常に華やかな第一線で活躍されてきた二階堂さんですが、Mリーグ創設前は、自分が参加できると思っていなかったそうですね。

二階堂 Mリーグの話が出たとき、業界中がその話題一色になったんです。飲み会や食事の席でも「誰がMリーガーになる」とか「自分が監督だったらこのプロを獲るな」みたいな話で持ち切り。ただ当時、ちょっと前に麻雀業界の団体対抗戦っていうのがあったんですよ。そこに出場したのは、全員男性プロだったんです。だから当然、Mリーグも男性プロばかりだと思ってました。その後、チームメンバーのドラフト前に、団体から「もし指名されたら受けるかどうか」という内容の意思確認みたいなものがあって。「あ、女子がチーム入りすることもあるんだ」って。

――それでいざドラフト会議になったら1巡目指名、全体の2番目に名前が呼ばれました。

二階堂「指名されるかも」というプロはだいたい、あのドラフト会議に出席していたんですよね。私も一応、麻雀界ではお顔と名前が売れているほうではあるんで(笑)。でも、本当に指名されるとは思ってませんでしたよ。
隣の席に座っていた萩原聖人さんと世間話していたら「あ、あたしだ」って感じでした(笑)。

――ファンからすれば、二階堂さんが選ばれなければ誰が? という感覚だと思いますよ。貴重な経験をされましたが、過去を振り返って、ほかにも麻雀プロになってよかったと思う経験は何かありますか?

二階堂 そうですね……まあ、私みたいなもんが生きていけているだけで、なってよかったな、と思いますね。本当、麻雀プロやっていなかったら、その辺で野垂れ死んでてもおかしくないですから、はっきり言って。

――そんな(苦笑)。対局でも相手を過大評価して自分を低く見てしまう、という事でしたが、それはなぜですか? 活躍を外から見ていると、褒められたり評価されたりすることの方が多いのではと思いますが。

二階堂 そういう性格なんですよね。褒められてもそのまま素直に受け取れないというか。若いころは自分の顔が嫌いで、「可愛いね」って言われても、「この人は私が可愛くないのにわざわざこんなことを言ってくれてるんだ」って考えちゃうようなところもあって。

――めちゃくちゃひねくれた若者じゃないですか!

二階堂 今は更生しましたよ(笑)。「ありがとうございます(ニコッ)」って感じで。ただ、基本は変わってないので、そういう自分に自信がなさすぎるところは、プロとしての欠点だと思ってます。
「もっと自信を持って打ちなよ」とはよく言われますね。

――目下の目標は当然、今季のMリーグ優勝だと思いますが、今後、将来的な目標というのは何でしょうか?

二階堂 それは、生涯麻雀プロであり続けることですね。仮にMリーガーじゃなくなったとしても、別の舞台で活躍できるように日々頑張りたいと思います。

――なぜそこまで麻雀がお好きなんですか?

二階堂 なんだろう……例えば麻雀が強くなるための階段みたいなものがあるとして、もちろんそれは何段飛ばしで駆け上がれるものじゃないわけですけど、それでも上っている感覚みたいなものを体感できたときが唯一、自己評価の低い私でも「よっしゃ、もっと頑張ろう」って思えるんですよね。一生懸命になってやってる自分のことが好きなだけかもしれないですけど、別のことを今くらい一生懸命やれる気がしない。他の世界を知らないから。だから本当にずっと麻雀漬けというか、人生そのものですね。

――レジェンド級のプロ雀士たちは、亡くなる直前まで対局に出られていた方も多いですし、今も高齢で続けてらっしゃる現役プロの方も多いですよね。それはいち競技として素晴らしいと思います。

二階堂 私も実際は何歳まで続けられるかわかりませんけど、やれる限り麻雀に人生を捧げたいなと思います。麻雀、好きなんですよ。

【前編】麻雀・Mリーグで闘う美人女流プロの元祖、二階堂亜樹「今年結果を残せなければ、クビになります」はこちらから

【中編】「女流麻雀プロブーム」の中心だった二階堂姉妹「月の半分は全国を飛び回っていました」はこちらから
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