【前編はこちら】品川ヒロシが新作映画制作秘話を語る「テレビでたまたま見た歌手に『女優興味ある?』とDM」
【写真】「歌う姿が、表情豊かだったんです」映画『リスタート』主演女優・EMILY
――新作映画のタイトルは『リスタート』ですが、品川監督自身は、“リスタート”ってあります?
品川 ずーっとです(笑)。もう、毎日がリスタート(笑)。成功した感覚がないし。自分は何でも開き直ってやろうというタイプなんです。でも、いろいろな部分もあるので…今回の映画の登場人物のキャラクターは全部、自分の内面からにじみ出てる部分があるかもしれませんね。さっき取材を受けながら思い出したんですけど、自分がお金がなかった時代、四畳半のきったない部屋で、パンツ一丁で、素麺を食べて過ごしていて。
当時、レンタルビデオの回数券とたばこを3カートン、素麺の乾麺を給料日に買って、あとは、パチンコで全部お金を使っていましたね(笑)。それで1ヵ月過ごして。あの、回数券でビデオを借りて、ビデオを観ながらパンツ一丁でクーラーのない部屋で素麺食べる生活……もう一回、やりたいなあ(笑)。
――苦しくても楽しかった時代でしたか?
品川 最っ高でしたね(笑)!だから、今、甥っ子や姪っ子の部屋に行って、自分ほど汚くはないですが夢見ながら狭い部屋で頑張っているのを見ると、羨ましいな~って(笑)。嫌味ではなく、こういうのいいよなって思います。
――エピソードも生まれそうです。
品川 僕は芸人もやっているので、例えば海外旅行に行っても面白いエピソードにできるんですよ。若い頃、自分のお金で初めて海外旅行に行ったとき、向こうでタクシーを拾ってぼられたってエピソードができたんです。でも、今は、(飛行機は)ビジネスに乗って、向こうについたら車で迎えに来てもらってガイドさんつけてもらって。
それもめちゃくちゃ楽しいんですけど、話せるエピソードができないんです。「これが面白かったんですよ~」ではなく、ただの自慢話にしかならない。エピソードって、ギリギリの状態の時がいちばん面白いですよね。2000円しか持ってないのにタクシーに乗って、料金が1800円くらいになったギリギリのときにこそ、何かが起きるんですよ。映画ってそれなんですよね。しんどいところまで追い詰められていくところが面白い。だから本作、6日間で映画を撮るというのはしんどかったです!
――なかなか、ハードスケジュールですね。
品川 毛穴という毛穴から涙が出ましたね(笑)。
――いろいろな感情がが混ざり合って…。
品川 (監督作品の)『漫才ギャング』でも舎弟の汚いアパートが出てきたりしますが、そういう人が落ちぶれて……とかっていう話を好んで撮るのは、人のしんどさを感じる作品が好きだからなのかもしれません。
――しんどさと嬉しさが同居しているような。
品川 貧乏だった時代、部屋に風呂がないから、コインシャワーに通っていたんですけど、時間内でいかに効率よく泡を落とせるかとか考えていた、あのときのシャワールームは一生忘れないですよね。コインランドリーで少年ジャンプを読んでたこととか。いつかそういうのを画にしたいと思って、たまにコインランドリーの前で立ち止まってしまうんですけど。男の子と女の子が座ってるのを見て、なんかいいなあって(笑)。
――次回作でそういうシーンが出てくるのが楽しみです。
品川 ありがたいことにドラマなどもあって、しばらく埋まってるんですが、将来的にはスプラッターホラーをやりたいですね(笑)。
――それは、見てみたいです。
品川 どろっどろの血ドバドバのスプラッターホラー(笑)。R指定の。あとはアクション映画が好きなので、やってみたいですね。
――配役の希望はありますか?
品川 あ、(今作『リスタート』主役の)EMILY合いますよね(笑)。ジャパニーズホラーの系統ではなく、『13日の金曜日』や『テキサス・チェーンソー』とか『エルム街の悪夢』、『死霊のはらわた』みたいなスプラッターホラー。きっとEMILYには、「キャー!」っていう目を見開いた叫び顔が合うと思います!
▽映画『リスタート』
7月9日(金)北海道地区先行公開、7月16日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル新宿ほか全国公開
配給:吉本興業