お笑いトリオ四千頭身の後藤拓実の初エッセイ集『これこそが後藤』(講談社)が話題だ。自身の生い立ちや家族、そしてお笑いについて綴ったこのエッセイ、独特な着眼点と意外な展開、そして絶妙なスピード感は文章でも顕在で、ネタを見ているかのように思わず笑わせられる。
後藤にエッセイでも話題にしている学生時代の話や友達の話、相方やネタ作りについて聞いた。(前中後編の中編)

【写真】どこかぎこちない? 笑顔でインタビューに答える後藤拓実

――四千頭身は「お笑い第七世代」の1組に数えられていますが、そのカテゴリーに入れられてどんな気持ちでしたか?

後藤 僕らと同時期にテレビに出始めたEXITさん、霜降り(明星)さん、ハナコさんなど、ずっと一緒にやってきた人たちをまとめて「お笑い第七世代」って呼ばれるようになっただけなので、「そういう呼ばれ方なんだ」ぐらいの温度感でしたね。それで、いろんな番組に呼んでいただけたのでラッキーではありました。みんな年上だったんですけど、これからって人たちばかりだったので手探り感もあって、僕らもやりやすかったです。

――普段から他の事務所の芸人さんともコミュニケーションは取るほうですか?

後藤 あんまり僕はしゃべりかけないですね。かが屋の加賀()君ぐらい。彼なら大丈夫かなと思って、僕から「大丈夫?」って声をかけに行きました。

――石橋さんと都築さんも、後藤さんと同じような感じですか?

後藤 石橋はそうかもしれないけど、都築はガツガツかな。

――『これこそが後藤』でも、芸人さんとプライベートで遊んでいるというエピソードはあまりないですね。

後藤 そうですね。後輩ぐらいです。学生時代からのお友達といるほうが楽。
プライベートでお笑いの話なんてしたくないですからね。後輩だったら、僕がしない限りはお笑いの話にならないですし。

――芸人の方は普段からお笑いの話をするものなんですか?

後藤 するもんじゃないですかね。ただ、加賀君もあんまり話さないですね。2人で「次の誕生日は何が欲しい?」みたいな話をしています。

――ブレイクしているのに後藤さんはザ・芸能人みたいなところがないですし、調子に乗っている感じが一切しないですよね。

後藤 調子に乗ってますよ。ただ芸能人特有のノリが、あまり好きではないんです。偽名を使ったりしないし、出前も玄関で受け取りますし。あと何でしょう……。野球もチケットを買って入ります。昨日、ロッテの試合を観に行ったんですけど、もしもロッテの選手にチケットを取ってもらって行ったら、負けたときに何て言ったらいいか分からなくて。
こっそり行けば、活躍した試合は「あの試合、観に行ってたけどすごかったね」と言えるし、その選手が大炎上して負けた試合だったら観てなかったことにもできるし。

――いわゆる芸能人パワーみたいなのはあまり使いたくないと。

後藤 そうですね。地元の奴らに「変わったな」って思われるのが嫌なんです。だから地元のお友達と遊ぶときも、僕が住んでいる三茶のタワマンに来てもらうのではなく、埼玉のお友達の家に電車で行きます。

――『これこそが後藤』には三茶愛を綴ったエッセイもあります。

後藤 三茶好きでねえ。でも今はたまに行けばいいかなって感じで、一刻も早く引っ越したいんですよ。

【前編】四千頭身・後藤が語るトリオ漫才「3人になったのは断れなくて、今でも2人の方がネタは書きやすい」はこちらから

【後編】四千頭身・後藤「お笑いの道へ入ったのは流されて、当時好きだったのはあばれる君でした」はこちらから
▽『これこそが後藤』(講談社)
四千頭身・後藤拓実初のエッセイ集。テーマは「移動中後藤」「早起き後藤」など身の回りのことや、「小学生後藤」「三茶後藤」など生い立ちや住まいのこと、「第七世代後藤」や「後藤が好きだったお笑い」などお笑いのことまで多岐にわたる。俳優のムロツヨシ作家の武田綾乃との対談も収録されている。お母様・後藤照恵さんによる推薦文にも注目。
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