「なんで私のことを落としたんですか!」安田大サーカス・クロちゃんが主催するアイドルフェス「クロフェス」でそうクロちゃんに食って掛かったアイドルがいる。アップアップガールズ(仮)・工藤菫だ。
二人には浅からぬ因縁がある。

【写真】対談中、クロちゃんの言葉に思わず涙を流す工藤菫

実は彼女、『水曜日のダウンタウン』(TBS)で放送された豆柴の大群のオーディションに参加しており、当時プロデューサーのクロちゃんに落とされた過去を持つのだ。「落とした側」と「落ちた側」による異例対談、中編ではクロちゃんに心を開き思わず涙を流した工藤菫。最終回ではクロちゃんがさらにその心の奥に切り込みます。

クロちゃん たしかにオーディションのときは合否を決める立場だったけど、今は工藤ちゃんとそういう関係でもないしさ。だから、かしこまる必要なんて一切ないわけ。なんなら今は豆柴の大群でもプロデューサーからアドバイザーに降格させられているし……。

工藤 だいぶ地位は下がりましたよね(笑)。

クロちゃん ちょっとーーー!! その通りだけど、他人に言われると腹が立つわ(笑)。工藤ちゃんがクロフェスで噛みついてきたとき、ガツガツ来る感じがすごくいいなと思ったの。だけどこうやって話してみると、実際はそこまで強いハートの持ち主ではないということにも気づいたのね。LINEで相手に既読スルーされるだけで「今、忙しいのかな」「ひょっとして相手に嫌われた?」「事故に巻き込まれているってことはないよね」とか考えちゃうタイプ。


工藤 もう嫌だ~! なんで私のことがそこまで完璧にわかるんですか! 全部を見透かされてみたいで怖い(笑)。

クロちゃん でもね、この仕事をやるうえでハートは弱いほうが逆に有利だと思うよ。そっちのほうがいろんな選択肢が頭に浮かぶはずだから。最悪な道を選ばないようにあれこれ考えるだろうし、いざとなったらガツンと進める勝負度胸がそこに加わったら最強。クロフェスのときの工藤ちゃんがまさにそうだったようにね。

工藤 「変わらなくちゃダメだ」。それが渡辺(淳之介 ※WACK代表取締役)さんの口癖なんです。だけど、落ち続けていた当時の私はその言葉の意味が全然わかっていなかったんですよね。落ちるたびに「何が悪かったんだろう?」って考えるし、どんどんメンタルも削られていくんですけど……。でも、とにかく自分が変わらなくちゃ落ちてしまうのは間違いなかった。そこで「変わるって何?」と自分なりに考えてみたんですよ。

クロちゃん 「自分を変える」か……。
なかなか難しいテーマだよね。

工藤 それでよくよく思い返してみると、それまでは自分を取り繕っていたと気づいたんです。MONSTER IDOLのときもそう。「こういう自分になりたい」という理想のアイドル像を演じていただけだったんですよ。まったく自分の素なんて出せていなくて。芸能界に入ったら「工藤菫」として勝負していかなくちゃいけないのに、オーディションの段階で工藤菫を出せていないんだから話にならないですよね。

クロちゃん あぁ、そのことに自分で気づけたのは大きいね。

工藤 だからアプガ(仮)オーディションのときはSHOWROOM審査でも今までの落ちた経緯とかを洗いざらい話したし、カッコよくない自分も全部出したんですね。なによりも自分の頭で考えるようになった。本質を見るようになった。それが合格という結果に繋がったのかなと自分では考えているのですが。

クロちゃん 渡辺さんに「変わらなくちゃダメだ」と言われていたのにWACKのオーディションでは最後まで変わることができなかった。
だけど皮肉なことに、アプガ(仮)のオーディションでは渡辺さんの求めていたことができたというわけか。

工藤 そういうことでしょうね。でも、結果的にはWACKじゃなくてアプガ(仮)で私はよかったと思いますよ。これは強がりでもなんでもなくて。もしWACKで受かっていたら、「WACKはこうでなくてはいけない」という考えにとらわれて、結局、自分を出せなかったんじゃないかな。

──ハロプロを落ちてもAKB48で大活躍するメンバーだっていますし、適材適所というのは自分で気づかないものかもしれません。

クロちゃん それもあるし、MONSTER IDOLを受けた状態のままの工藤ちゃんだったらアプガ(仮)にも受かっていなかったんじゃないのかな。

工藤 MONSTER IDOLから1年くらい経ってアプガ(仮)に合格したんですよ。その間に私は変わったということになりますが、きっかけとしてはMONSTER IDOLがすごく大きかったですね。だってあれはテレビで全国に姿が晒されましたから。友達からは「受からなくてよかったね」って言われましたけど。

クロちゃん おいおい、ずいぶん失礼な友達を持っているな(苦笑)。


工藤 10人いたら、10人とも同じことを言っていましたよ(笑)。もちろんそれは私を励ますために言ってるんですけどね。私はカミヤサキさんが大好きなので、それでWACKばかり受けていた部分があるんですよ。カミヤさんがGANG PARADEを脱退したことで、WACK以外のアイドルも受けるようになったんです。

──クロちゃんとしては、工藤さんたち2期生が入ってアプガ(仮)が新体制になったときの印象ってどんな感じでした?

クロちゃん まず僕は昔からアプガ(仮)がめちゃくちゃ好きなんです。その好きなグループがメンバーを一新させるということで、注目は当然していました。アプガ(仮)という集団はオリジナルメンバーのなりふり構わず前に進むイメージがすごく強かったから、その部分が新体制でどう変わっていくのか? 正直、そこは不安でもありましたね。

工藤 実際、そういう声はファンの方の間でも多かったです。

クロちゃん アプガ(仮)特有の骨太な感じは、あのオリジナルメンバーじゃないと出せないカラーだと思っていましたしね。でも実際に新しいメンバーが入った様子を見ると、すごくフレッシュになった印象を受けました。確かに技術的な面だけを見るとオリジナルメンバーのほうが現段階では上なんですけど、それを補って余りある勢いで「オリジナルを超えてやる!」という気持ちが見えてきたら、すごくいい雰囲気だなって。

工藤 うわ~、ありがとうございます!

クロちゃん 正直、せっきー(関根梓)がグループに残るとは思っていなかったし、ここまでお姉さんとしてグループを引っ張るとは想像していなかったのよ。
だって彼女って根っからの末っ子気質じゃない。気分屋さんだしさ。今はせっきーがまとめていることで、すごくいいチームになっていると思う。

工藤 あーちゃんには尊敬、それから感謝の気持ちしかありません。私たち同期の間では「あーちゃんのために頑張りたい」という気持ちが強いんですよ。「残ってくれてありがとうございます」「私たちの面倒を見てくれてありがとうございます」って常に考えていますから。私はアプガ(仮)の一員として大きくなっていきたいし、豆柴の大群に対しても悔しいという気持ちなんてゼロで。同じ時代を生きるアイドルとして、一緒に頑張っていきたいと考えています。いつか対バンとかもできたらいいなと思います。

クロちゃん そうなったら、全力で潰しにいくけどね。仲良しこよしじゃなくて。こっちだってファンを獲りにいかなくちゃいけないし。
こういうキツいことを豆柴メンバーに言うと、LINEが返ってこなくなるから控えているんだけど……。

工藤 アハハ! めちゃくちゃ立場が弱いじゃないですか~(笑)。

クロちゃん でもさ、クロフェスで噛みついてくれたことによって物語もこうやって続いているわけだし、これからも工藤ちゃんには自分の感情を出し切ってほしいな。工藤ちゃんは自分を出したときのほうがアイドルとして輝くタイプだよ。自分の持っている弱さも武器なんだと認めながら、これからも頑張ってください。

工藤 いや~、MONSTER IDOLのときはクロちゃんのことを心の底から憎んだけど、今日こうやってお話させていただいて本当に優しい人だなって考え方が180度変わりました。なんなら少し好きになりかけているくらいで……。

クロちゃん ホントに? ごめんね、あのときは落としちゃって。

工藤 その一言が余計なんですよ! これ以上、惨めにさせないでください! 私も「好きになりかけた」というのは前言撤回しますので、落としたことをクロちゃんが後悔するくらいビッグになってみせます!

クロちゃん ワワワワワァ~! またしても噛みつかれたしん!

▽12月19日(日)川崎CLUB CITTA’にてワンマンライブを開催
今年8人体制となったアプガ(仮)にとって最大キャパのワンマンライブ『アップアップガールズ(仮)2021 End of the Year』。12月19日(日)に川崎CLUB CITTA’で行われる。

▽工藤菫Twitter
https://twitter.com/uug_new_sumire

▽工藤菫Instagram
https://www.instagram.com/uugirl_new_sumire/

【前編はこちら】『水ダウ』クロちゃんに選ばれなかったアイドルが異例の噛み付き対談「なんで落としたんですか!」

【中編はこちら】『水ダウ』でクロちゃんに落とされたアイドルが涙の対談「落ちた過去は消せないし私しか持ってない」
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