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加入当初から話題になったのは、「緊張がポクポクしてきた」「佐藤優樹こと佐藤優樹です!」の迷言や、オーディションで鬼ごっこをしていたなど、天真爛漫すぎるキャラクター。そして特に驚かされたのは先輩との接し方だ。10期が加入したのはプラチナ期と呼ばれた時代を経て、パフォーマンスを極めたベテランメンバーたちが久しぶりに新メンバーを迎えたタイミング。10期より数ヶ月前に加入した9期メンバーが徐々に先輩との距離を縮めていた中で、佐藤は思いっきり懐へと飛び込んでいったのだ。中でもそれまで一匹狼的存在だった田中れいなと「たなさたん」「まさキング」と呼びあう姿には、メンバーもファンも衝撃を受ける。そこから田中が少しずつ後輩たちと交流する姿が見られるようになり、佐藤の存在はメンバー間の距離を縮めるきっかけになっていった。
モーニング娘。のことをほとんど知らず、他のメンバーと比べるとあまりにもまっさらな状態で加入した彼女は、デビュー当初のパフォーマンスでは歌もダンスもどこか頼りなさを感じさせた。しかし田中や道重さゆみなどの先輩メンバーはもちろん、同期や加入時期の近い9期・11期との交流を深めていく中で、間近で感じたことをしっかりと自分の中に落とし込んでいくようになる。
佐藤の加入から約半年後に新垣里沙と光井愛佳、そして田中、道重、鞘師里保、鈴木香音と先輩の卒業が続く。佐藤にとって目の前の背中を追うことや、身近にいるライバルからの刺激がモチベーションだったように見えたが、徐々に背中を見せる側へ立つことになり、12期の加入で本格的に先輩となる。小田さくらが1期下ではあるが、佐藤より年齢が1つ上でどちらかというと対等な関係だったため、果たして後輩にどう接するのか、後輩と活動することでどう変化するかは想像がつかない部分だった。しかし蓋を開けてみると、新メンバーが苦戦するリズムのとり方を自身で編集した楽曲を使って指導したり、少しの変化にも気づき寄り添う姿があったのだ。選ぶ言葉や表現がユニークなこともあり、突拍子のなさや大胆さに目が行きがちだが、仲間から受け取った愛は彼女の心にしっかりと根付き、ともに活動するメンバーたちやグループへと注がれていった。
グループのエースと呼ばれ、憧れの先輩として名前が上がることが増えても、この10年“らしさ”を失わず、自分のペースで歩み続けてきた彼女。その中で、音楽への向き合い方はどんどん深くなっていったように感じる。特につんく♂楽曲への思いは人一倍で、その曲の音や言葉、リズムの1つひとつが使われる意味を考え、とことん向き合い、やがて自らも作詞作曲を手掛けるようになる。もしかしたら言葉だけでは伝えきれないことを表現するために、佐藤は音楽と出会えたのかもしれない。そうやって真摯に実直に音楽に寄り添う彼女がいることは、今のモーニング娘。
佐藤優樹について「あいつの勝負は22やな」とつんく♂が話したのは2012年のこと。奇しくも佐藤は22歳でモーニング娘。から卒業する。卒業を決心したのは体調面の問題もあるが、先輩の鞘師がひとりのアーティストとして活動する姿に刺激を受けたこと、そしてつんく♂の「22歳が勝負」という言葉について考えた結果だとブログで触れている。モーニング娘。として活動した10年の集大成となる卒業ライブで、仲間たちとともにどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、どんな言葉を残すのか、楽しみに待ちたい。そしてソロで活動を始めたときには、どんな音楽でわたしたちを驚かせてくれるのだろうか。