芸人が一夜にして夢を掴む賞レース『M-1グランプリ 2021』の決勝に駒を進めたファイナルスト唯一の男女コンビ、ゆにばーす。今回、エキセントリックなキャラで「イエーイ!」と笑いを提供するボケ担当のはらに、年末への意気込みと、偏愛する「動物の交尾」について話を聞いた(取材は2021年10月)。
(前後編の後編)

【前編はこちら】“M-1決勝進出”ゆにばーすはらが語る相方・川瀬名人の才能「結成当初はバチバチ、今はすげえなって」

【写真】『M-1グランプリ 2021』決勝進出を果たしたはら(ゆにばーす)

――はらさんは、個人のYouTubeチャンネルで、別人のように変身する「詐欺メイク」を配され、大きな話題になっていますね。

はら 芸人っぽいことをやりながらメイクもやって、というのはけっこう難しいんですよ。両方成り立たせようとすると、なんかめっちゃギャップがあって。なので「自分のチャンネルはメイクだけにしよう」って決めています。

――メイク動画をやる女性YouTuberの方はすごく多いじゃないですか。何か違いを出すために考えていることはあるんですか?

はら いや、そこを勝ち抜くというよりは、「見てくれる人がいれば見てください」という感覚ですね。時間があればやる、という感じです。活動の軸足はお笑いの舞台に置いていますね。

――なるほど、素晴らしいと思います。あと、最近のはらさんを語るキーワードでいうと、「動物の交尾」が挙がりますが。

はら ああ、ありがとうございます。あははは。
楽しいんですよね。勉強になるし、知識として残るし。

――さらば青春の光さんの配信番組にゲストに出られて、動物の交尾について熱弁する姿を見たんですが、それが面白すぎました。

はら 番組の作家さんが「性欲界の東洋一さんだ!」って言ってくれました(笑)。恐竜研究の第一人者の方なんですけどね。私の前の回に川瀬がゲスト出演したんですけど、川瀬はM-1で1時間、私は下ネタで1時間話し続けたという(笑)。1回も漫才の話はしませんでした。すいません、そんなコンビです(笑)。

――いったい何でまた、動物の生殖行動に興味を持ってしまったんですか?

はら 私、彼氏と付き合ったことがないんで、とにかくそっちの欲が強くて(笑)。昔から興味だけはずっとあったんで、それをずっと悶々と抱えてたんで動物の方にまで行っちゃいました(笑)。

――早熟だったと。性への目覚めについて聞いていいですか?

はら はい。
6歳とか7歳くらいだったかな?

――めちゃくちゃ早いですね(笑)。

はら 親が録画してた『トップガン』(86年/トム・クルーズ主演)のビデオが家にあって。で、今観たらただのキスシーンなんですけど、当時はそのシーンだけを見たくてたまらなかったんですよ。でも、「親と一緒に観ちゃいけない」っていう感覚もあって、家で1人のときにそのシーンを繰り返し観る、ということをしていまして。

――隠れてエッチなビデオを観る思春期の男とまったく一緒!

はら 巻き戻してそこからすぐ再生できるようにしてました(笑)。でも、親が観るときに必ずキスシーンから始まるから「これはおかしい!」ってなって、ビデオを隠されたんですよ。あの名作を(笑)。捨てられたと思っていたら10年後ぐらいに見つけました(笑)。

で、小中高と、性への興味がムクムクと大きくなっていくと同時に、小学校のときに『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)を観て芸人になりたいという気持ちが出て、そこからお笑いと下ネタが同時進行で……、同じ熱量でやらせてもらってます(笑)。

――コンプライアンス全盛のご時世で下ネタはご法度の感がありますが、まさか動物の交尾が持ちネタとして認知されるとは(笑)。すごい抜け道です。お好きなのはテンの交尾だと聞きましたが。


はら そうなんですよ。交尾の最中、オスが全然メスの方を見ないっていう。ベビーフェイスで可愛い動物なのに、けっこうSなんです(笑)。すいません、こんな話ばっかりしてます。

――我々が知らないだけで、その動物ごとに特徴があるんですね。

はら そうなんですよ(力説)! たとえば鴨は、メスが性病に罹っていないオス鴨を選ぶらしいですよ。くちばしの色で判断するそうです。あと鴨の生殖行動はものすごく素早く行われるんでメスが逃げられないこともあるんですけど、その場合メス鴨は体内で性器の形を変えて、オスの精子を受精しないように行き止まりの方に誘導することができるらしいんですよ! 

性器の中がインカ帝国の宮殿ぐらい迷路状になってるという(笑)。賢くないですか!? ……載せられます、これ?

――生物学的な話ですし、面白いので大丈夫だと思います(笑)。

はら 最近は哺乳類とかだけじゃなくて、無脊椎動物にまで興味の範囲が広がってるんですよ(笑)。例えば、パロロワームっていうミミズみたいな虫がいて、そいつは年に1回、決まった日にしか交尾しないんです。

その日に乗り遅れたら死んでしまうしかないっていう。
そのときは海がパロロワームでいっぱいになるんで、現地の人は網を持って待ち構えて、集まったところを一気に捕まえて、焼いたり揚げたりして食べるんですって。栄養分が豊富らしいんです。めっちゃ面白くないですか? で、同時にめっちゃ切ない(笑)。私が惹かれるのはこういうところで。

――どういうことでしょう?

はら なんか、動物の交尾って生きるか死ぬかの話なんですよ。そのために生きてきた、みたいなところがけっこうあって。恋愛ドラマよりも感動するし、泣けてきちゃう。想像力が豊かなんでしょうね。生態を調べて情報を集めて、それをインプットしてから交尾を見るとストーリー性が生まれるんです。

行為を、ただ快楽のためだけだと考えている人間は甘いぞ、と。いかに子孫を残していくか、っていう戦いなんだということを伝えていかなきゃいけないですね……何の話してるんでしょうね(笑)。

――きっと今後の自分の恋愛に、何か役立てることはできると思いますよ(笑)。


はら それが、最近は悶々とし過ぎた性欲が、こういう動物の情報や生態を知ることによって「自分はなんていやらしい気持ちでいたんだ! 動物は命がけなんだから、私と比べちゃいけない!!」って、欲が治まっていくようになってきて(笑)。人間として落ち着いて、トゲもなくなったと思います。だから今は、M-1に集中するだけですね(笑)。
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