福岡ソフトバンクホークスの日本シリーズ制覇で博多の街が大盛りあがりとなった翌日、ヤフオク!ドームにほど近いHKT48劇場には、さらなる熱が充満していた。 10月1日に「学業に専念したい」と突然の卒業を発表したチームⅣの後藤泉。
そこからの1カ月間、出来る限り、劇場公演に出演してきた彼女だったが、ついにこの日がラストステージとなった。 他の姉妹グループと比べて、卒業していくメンバーが極端に少ないHKT48だけに、卒業公演は非常にレアなケース。だからこそ、いつもとは違う熱が劇場内にこもる。いや、劇場の客席だけではない。ロビー観覧にも鈴なりのファンが集まっていた。我々が取材で入るときは、お客さんの邪魔にならないよう、入場が終わり、ロビー周辺が空いてからにするのだが、この日は劇場の入口に到達するまで、人をかき分けていくぐらいの混雑ぶり。もう開演前から空気感はできあがっていた(客席後方ではこの日、出演予定のないメンバーや研究生たちがズラリと並んで観覧していた)。 影ナレはもちろん後藤泉が担当。諸注意の中に「泣いた方は強制退場となります」という一文が紛れこんでいて、もう半泣き状態になっているファンから「えーっ!」という声があがる。最後まで笑顔で公演を務めたい、という彼女ならではの意思表示。そして、そのルールは観客だけでなくメンバーにも適用されることがのちのち明らかになる。 いつものように幕を開けた『シアターの女神』公演。
全員で歌い、踊る最初のブロックでは、すべての楽曲が客席からの大きな「いーちゃん!」コールで終わる(ちなみに入口で記念Tシャツが配布されたため、ほぼすべての観客がお揃いのTシャツを着ている、という一体感ありまくりの光景が広がっていた)。 MCコーナーのテーマもすべて「後藤泉」で統一される卒業公演ならではの構成となっていたが(体調不良のため、急きょ、休演となってしまった森保まどかからのメッセージも読みあげられた)、それはセットリストにも反映されていた。 ユニット曲では、まず『キャンディー』でセンターを務めたあと、1曲挟んで、今度はソロ曲の『夜風の仕業』をしっとりと歌いあげる(ちなみにこの曲は、彼女にとって、これが最初で最後の披露となった)。やり残したことがないように、という配慮があちらこちらに感じられた。 そして、ここでサプライズ。チームHから坂口理子と駒田京伽が電撃参戦。冨吉明日香を加えた『いもむChu!』で、通常のセットリストにはない『ガラスのI LOVE YOU』を2年ぶりに披露。残念ながらSKE48に移籍してしまった谷真理佳は参加できなかったが「本当は5人で最後に『片想いの卒業式』を歌いたかったけど、真理佳はもうSKE48のメンバーだから、わがままは言えない。ちゃんと話し合った結果、4人で歌わせてもらうことになった」(後藤)。 それでもちゃんと谷からはお手紙が届いており、しっかりとHKT48劇場には『いもむChu!』の“5人”が揃っていたことだけは書き記しておきたい。 本編終了後はファン代表による『感謝状』読みあげからの「いーちゃん」コール発動でアンコールに突入。あっという間に時間は流れていくが「次が最後の曲です」「えーっ!」の流れから「じゃあ、もうちょっとだけやっちゃいますか?」と後藤泉が田中優香とWセンターを務めた『ハワイへ行こう』(5thシングル『12秒』のカップリング)をファイナル披露。
さらにHKT48での3年間の軌跡をまとめた特別映像が流されると、客席のあちこちからすすり泣く声が……。それでも、後藤泉は最後まで泣かなかった。 「私が卒業するからヲタ卒するっていう人がすごく多いんですけど、そんなこと言わないでください。私と一緒にHKTヲタとして応援していきましょう!」 最後の最後まで自分のことよりも、仲間のことを考えた言動を貫き通した彼女は、オーラスに用意された『約束よ』も、しっかりと歌いあげた。周りで歌っているメンバーたちが涙をこぼしても、あくまでも笑顔、で。 キャプテンの多田愛佳が「なにか言い残したことはない?」と聞くと「ないです!」と即答した後藤泉は、観客の「夢に向かって行ってらっしゃーい!」の大声援に送られて、最後の公演を終えた。ここで『いもむChu!』のメンバーが登場。坂口から記念のアルバムが、駒田から花束が贈られた。そして、仕事のために公演には出られなかった朝長美桜も私服のまま駆けつける最後のサプライズ。たくさんのメンバーに囲まれ、本当に賑やかな有終の美を飾ることができた。 突然、はじまってしまったメンバーとのハグ会を終えると「最後にやりたいことがある!」と言い出した後藤は「これからもHKTのことを応援してくれるかな?」と指原莉乃のお約束ムーブを。超満員の観衆からの「いいともー!」で卒業公演は幕を下ろした。
ステージから後藤泉の姿が消えたのは午後8時50分52秒。いつもより長くて、濃密すぎた時間を、きっと、彼女は一生忘れないだろう。 3年間の在籍で500回以上の公演に出演した(昨年だけでも163公演。これは2014年の48グループでの最多出演記録である)、まさに『シアターの女神』は、劇場に愛されて、そしてファンに愛されたまま、普通の女子高生へと戻っていった。一度も選抜入りできず、総選挙でもランクインできなかったメンバーが、ここまで温かく、記憶に残る卒業公演で送りだしてもらえたのは、彼女の人柄はもちろんのこと、劇場での貢献度が大きいと思う。ファンも、メンバーもその姿を3年間、ずっと見続けていたのだから。 この日の公演に参加したメンバーたちは、つい忘れてしまいがちな公演の大切さ、そして劇場の尊さを、改めて後藤泉の背中から学んだに違いない。誰よりも劇場に出演し続けた彼女にしか残せない置き土産……ありがとう、そして、おつかれさまでした。 text 小島和宏
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