月刊エンタメで連載中の「嶺脇育夫と南波一海のアイドル三十六房 EN!」で、収まりきらなかった部分を完全掲載。第11回目となる今回は、アイドルの「売れる」「売れない」について、珍しく(?)真面目に語っております。
 また、後半の「こぶしファクトリー」の熱いトークは本誌にはまったく入らなかった部分なので、ぜひここで! ――アイドルの「売れる」ってなにをもって「売れる」なんですかね? 嶺脇 武道館なのか、オリコンなのか、給料なのか。あと、承認願望はあるんじゃないですかね。みんなに知ってほしい、と。ただ、それが一般層までの認知ってなると……まだ難しいよね。例えば、オリコンで上位を取ったアイドルだとしても、どれくらい一般層に認知されているかというと……。 南波  それで食えるかどうかっていうのもありますよね。 嶺脇 そうね。いろいろあると思うけど、アイドルでメシが食えるっていうのは第一条件なんじゃないかな。Negiccoなんかはそもそもの規模が小さいからなんとかやってこれたけど。でも、ずっとということではないですよ。数年前までバイトしてたし。 ――地方アイドルたちで「本業アイドル」っていう人たちはどのくらいいるんですか? 南波 もしかしたらゼロじゃないですかね。
バイトしないと無理だし、実家暮らしじゃないと無理だし。以前のLinQだってバイトしている子たちが結構多かったから、それを考えると、アイドル1本で食えるっていうグループは片手で数えられるレベルじゃないかな。公共団体や民間企業が関わっているアイドルなんかは、売れたいっていうのとは別なのかもしれない。 ――Negiccoも、もともとはそうですよね。 嶺脇 そうそう。最初はプロになろうっていう感じじゃなかったと思うよ。ただただモーニング娘。のようになりたいっていう想いが強かったんじゃないかな。 南波 今、物凄い勢いでアイドルを辞めていくし、グループもなくなっているけど、それって、結局「アイドルになれば誰もがチヤホヤされてきた状態」じゃなくなってきたんですよ。それこそ、皮茶パパだってここでは有名人だけど、単独ライブやったら6人しか来ないとかあるわけですから! 嶺脇 (爆笑)。ここではAKB並の人気なのに! 南波 コメントも「皮茶パパきたー!」ってなるけど(笑)、ワンマンライブには6人しかいないわけで。
そう考えるとなかなか難しいですよ。 ――例えば、38mmなぐりーずさんとかは『UIROURI』で有名になりましたけど。 南波 話題にはなったし、一時は人も集まったと思うんだけど、音源を買って、そのあとにライブに通うかっていうのはまた別の話なんですよ。 ――三十六房で曲をかけて、「これいいじゃん!」ってなって、ライブに行くじゃないですか。そこから続く、続かないっていう差はなんなんですかね? 南波 いくつかあるんですけど、ライブとかルックスとか物販の対応とか、その積み重ねだとは思うんですよね。ただ、さくら学院とかを見たときに、「この人たちは本当の選ばれた人なんだ」ってわかるじゃないですか。顔とか造形とか、持っている華が特別で、アイドルってこういうことなんだなって思い知らされる。今は普通の子たちがアイドルをやっていますけど。 嶺脇 三吉彩花ちゃんですよ? べらぼうに美人じゃないですか。松井愛莉ちゃんとか。 南波 アイドルって誰でも名乗れはするけど、三吉さんと同じフィールドで勝負しなきゃいけない。それはなかなか大変ですよ、やっぱり。
だって、ライブチケットの金額だってそんなに変わらないですよ。地下アイドルと普通のアイドルと。やっぱりスポーツ推薦でいい選手を集める高校と、普通の公立の高校で甲子園目指すのとでは違うじゃないですか。 ――『がんばれ!ベアーズ』みたいな話はないんですか、アイドルで。 嶺脇 Negiccoはある意味ベアーズですよ。ローカルから武道館いったら、本当に前代未聞です。そんなアイドルいないから。Perfumeがローカル出身で武道館やったというのもすごいことだと思います。でも、彼女たちは中学卒業くらいで東京に来てるし。Negiccoは未だに新潟に住んでるローカルアイドル(笑)。そう考えたら、武道館成功したら奇跡ですよ。 ――では、Negiccoと他のローカルグループはなにが違うんですかね? 嶺脇 僕はconnieさんがいたかどうかが大きいと思う。
connieさんがいなかったらこうはなってなかったと思うし、僕はファンになってなかったと思う。曲を作ってくれる人が専属でいたというラッキー。しかも、ファン。今は違いますが長い間、一円ももらわずにやってたから(笑)。自分の好きなアイドルに、自分の書いた曲を歌ってもらうっていうことに喜びを見出していたから。 南波 それはラッキーだとしても、Negiccoと他のローカルってなにが違うんでしょうね。まぁ……それがわからないから夢を追っちゃうんでしょうけど。そういう人たちがいっぱいいて、上手くいかないから辞めちゃう。ライムスターの歌詞じゃないけど、夢だと思っていたら実はそれが呪いだった、というか。 嶺脇 でも、Perfumeの存在は大きいですよ。あ~ちゃんとか、2000年代からやっているローカルアイドルはじめいろんなアイドル達の憧れなわけですよ。ただ、彼女たちも相当苦労してきたと思います。
それでもメジャーデビューのMV見るとわかるけど、まだ売れてない状況ですごいお金がかかっているように見える。それは何故かっていうと、メジャーだし、一緒に頑張ろうっていう大手事務所さんがいたからできたことだとも言えますよね。 ――話をまとめると……結局は事務所っていう(笑)。 南波 それはそうですよ(笑)。 嶺脇 だからNegiccoが奇跡なんですよ。 南波 でもドラマもあるじゃないですか。事務所は置いといて、ももクロもダスト組から路上ライブやって……みたいな。そのストーリーだけ見ると路上から始めても大きくなれるんだって夢は絶対あるし。 ――じゃあ、Negiccoが成功したら、それを見たアイドルたちはさらに夢を持つわけですよね。 嶺脇 そうだと思う。だけど、Negicco は12年やってるからね(笑)。全部を犠牲にして。
南波 そこに憧れるのはいいけど、気付いたらすべてを失っている可能性もありますけどね。 ――でも、三十六房はそういうアイドルたちを応援しているんですよね? 南波 もちろんそういうスタンスですけど、でも、俺もドライだから。その場に面白いモノがあればいいっていうだけ。 ――頑張っているからちょっと贔屓する、とか。 南波 例えばヒップホップとかダンスミュージックとか12インチを1回出して終わっちゃう人っていっぱいいて。その感じに近いのかもしれないです。いいのが出れば買うし、いなくなったらそれまでというか。 ――じゃあハートフルな番組に見えて、そこはドライであると(笑)。 南波 やっぱり面白いから曲をかけているんですよ。頑張っているから、頼まれたから曲をかけるってなってくると……ちょっとね。 嶺脇 多少はありますよ。頼まれたからかけるとか。 南波 ただ一定の基準値は持ってないと、単純に番組がダメになっていくから。それをやってしまうと。 ――そのスタンスで3年やってきたんだと。 嶺脇 でも、これで3年って凄いよね(笑)。Negiccoの1/4だけど。Negicco姐さんですよ(笑)。 南波 終わる終わると言われたアイドルブームも続いて。 ――番組でも仰っていた番組リニューアルっていうのは? 嶺脇 現場の方からもうちょっと番組回数を増やしたいって声がね。観てくれている人が結構いるので、やっている側からしたら人気コンテンツであると。であれば、数を増やしたいと。そういう意見があって。ただ、月曜だとアイドルネッサンスあるから南波さん来れないよね、とか(笑)。というか、TIFで番組やりませんかって声を掛けてもらってお断りするような番組なんで(笑)。普通はそこ乗るでしょって。でも「さくら学院見られなかったらどうするんだよ!」って断る(笑)。 南波 レギュラーで時間が取られると、なにかあったときに身動き取れないんじゃないかって妙な不安が(笑)。 嶺脇 だからね、今のスタンスのまま、放送時間を少しだけ増やすっていうくらいがね。ただ、20時とかに前倒しにすると俺の仕事もあるし。 南波 現実的なアイデアがありますよ。21時15分から始める(※通常は21時30分から)! 嶺脇 (爆笑)。 南波 いつもそのくらいには準備できてるから。そしたらもう2~3曲かけれる。 ――そんな3年のリニューアルで15分前倒すだけですか(笑)!? 嶺脇 「三十六房がリニューアルします!」って、発表したら15分前倒しっていうね(笑)。なんじゃそりゃ!って。 南波 「来月の回に大発表あります!」って言っておいて、「3周年を迎えるにあたり、なんと15分前倒し!」(笑)。でも実際、そのくらいでいいんじゃないですか? 我ながらいいアイデア!――じゃあ、そのリニューアルがどういう結果になるかは番組で発表して頂くとしまして(笑)、今年の夏のアイドル活動の総括も2人にお聞きできればと。 嶺脇 集中的に見ようと思っていたっていうのもあるけど、アイドルネッサンスかなぁ。毎週のように見てた。 ――橋本佳奈ちゃんが9月いっぱいで辞められるという……。 嶺脇 かなぼんね。 南波 そういうのとは無縁のグループだと思ってましたけどね……残念です。 嶺脇 まぁあとは、はまちゃんだね。 ――豊洲のメジャーデビューイベントに行ってきました! 『ラーメン大好き小泉さん』の振りが可愛い! 嶺脇 行きたかったなぁ。メジャーデビュー、感無量ですよ。4年間長かった……。たぐっちとはまちゃんは一番長くて4年半くらいやってるからね。しかも、何度もオーディション受けて落ちて……。ちゃんと知ってる人は知ってるドラマがあるんで。 南波 心が折れちゃう子もいましたからね、今まで。 嶺脇 去年はたなぴょんとくるみんが心折れちゃったからね。その前はりっちゃん。それで唯一残ったっていうこのメンバー。本当に頑張ったなと。可愛いし。ハロプロを背負って立つグループになってほしいですね。でも、今回メジャーデビューするっていうことで、「こんなに人気あったっけ?」っていうくらい盛り上がってますよね。デビューって大きいんだなって。 ――ルックスがみなさん可愛いっていうのも話題のひとつですよね。 嶺脇 そんなの僕は4年前から知ってましたけどね! って、いきなり古参ぶるけど(笑)。だって4年前は、はまちゃん可愛いって言ってたの、僕の知ってる範囲でいうと僕とピストルさんくらいでしたよ。2013年のTパレ感謝祭やったとき、裏で研修生のイベントやってて。俺は豪さんと司会やってたから行けないじゃないですか。で、感謝祭に来ていたアップフロントの人に「今、はまちゃんの人気グイグイきてるでしょ!」って言ったら、「なに言ってるんですか。浜浦大好きって騒いでるのは社長とピストルさんだけですよ」って言われましたもん(笑)。「えぇ~! “だけ”!? そんな!」って(笑)。 南波 僕も昨日、川崎のリリースイベント行ってきましたよ。希望を感じるグループですよね。こぶしってカントリーガールズと対をなすグループだと思うんですよ。つばきっていうより。カントリーがひたすら可愛い感じで、こぶしはパワーで押す感じというか、ドスコイというか(笑)。念には念な感じ。そのセットがハロー!のヌーベルバーグというか、新しい波をすごく感じる。 ――Berryzイズム継承なんて言われてますが。 南波 ベリの曲を歌ってるからそういう感じになってますよね。個性がバラバラで、ユーモアで押せる感じは似てるかもなぁ。 嶺脇 ハロプロの未来ですよ。 南波 南波 ハロプロに興味のない知り合いも、「こぶしが気になるのはなんでだろう」って言ってた。ハロプロの外の人でも引っかかるようななにかがあるんだろなと。 ――僕もハロプロを一切通ってないんですが、こぶしは物凄く引っかかります。野村さんが特に。 嶺脇 みなみなね。表情が豊かだよね。うちのカミさんはみなみなに関しては古参ぶってくるからね(笑)。「今頃!」みたいなことを言われるよ(笑)。 南波 2年前の研修生発表会のときからでしたよね、確か。 ――ハロの人って、にわかというか、新参に厳しいじゃないですか。 南波 こぶしは入りやすいですよ、始まったばかりだから。 嶺脇 どんどん入ってほしいよ! 言ってくるのは一部のヲタだから(笑)! 南波 そう、面倒な人たちだけだから(笑)! 嶺脇 俺は全然言わないよ。だって人気出てほしいもん! でも、確かにそういう人たちはいるかもね。 南波 でも、それはハロー!限らずどこでもいますよ。わーすたが好きって言ったら、「俺はスト生の頃から見てる!」とか言われたり(笑)。 ――そういえば、また編集部の島村の方から、ハロコンのJuice=Juiceがよかったと。植村、宮崎がグイグイきてる感じについてお二人の意見が聞きたいと。 嶺脇 ハロコンまったく記憶にないからなぁ(笑)。 南波 嶺脇さん、今回のハロコンには厳しいですよね(笑)。 嶺脇 いや、今回シャッフルがなかったんですよ。でもそれってひなフェスと一緒じゃないですか。なんでひなフェスを年に2回もって……いろいろと事情はあると思うけど、シャッフルが見たいんじゃないのかな、俺は。 ――俺は(笑)。 嶺脇 俺はシャッフルが見たかったんだと、なくなって初めて気付いたよ(笑)。あと、ハロにしてはミスが多かったんじゃないかなと。ディテールだけど、立ち位置間違えたり、ぶつかったり。ハロってそういうことないから、珍しいなと。あとは、舞台に上がりきらないほど人数が増えたし、衣装も同じだったりするから、はまちゃんが探せなかったんだよねぇ……。人数が多いから客席に下りたりするの。それがはまちゃんだったりすると、俺はファミリー席だから見えないんだよ。だから、はまちゃんがいないんですよ! 南波 というか、Juice=Juice関係なくなっちゃた(笑)。いや、Juice=Juiceは完成度がめちゃくちゃ伸びてるんですよ。ツアーを物凄くやってるから。植村あかりちゃんとか、言ってしまえばポンコツキャラだったのに、今は本当に上手い。ただね……完成度が高くなったら、なったでね……。 ――またこの問題ですね(笑)。完成されているより、アイドルはポンコツの方が推せるっていう。 南波 佳林ちゃんの隠しきれないアイドル性とか、そこらへんももっとフィーチャーしてほしいなと。すでに渋い領域に入りつつありますよ、Juice=Juice。 嶺脇 プロフェッショナル感が出てるよね(笑)。ウチのカミさんなんかはね、そうなると、「上手い人はいっぱいいる!」とか言い出すから(笑)。 ――厳しいなぁ、みんな(笑)。 嶺脇 ただ、「アルバムはいいね」って言ってたけど。やっぱりね、かみさんも音として聞く分にはいいみたい。 南波 上手いっていうのは、それだけで評価に繋がるポイントのひとつだから、全然いいことなんだけどね。 嶺脇 というか、エンタメさんはハロのページ増やしてよ。あっ、はまちゃんのグラビアやろうよ、グラビア! はまちゃんとれいれいでさぁ。 南波 それ、ただの推しでしょ(笑)。
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