アメリカの女性解放運動のパイオニアとして活躍したグロリア・スタイネムの自伝的映画『グロリアス 世界を動かした女たち』が5月13日に公開された。

【写真】ルル・ウィルソンが出演する映画『グロリアス 世界を動かした女たち』

『グロリアス 世界を動かした女たち』は様々な環境で、女性が虐げられる現場を見てきたグロリアと、それに共感する女性たちの男性優位主義への戦いの物語。
どのようにして世界を動かした運動家のグロリアが誕生していったのかを、4人の女優がそれぞれの時代を演じわけながら描いていく。

ブロードウェイ・ミュージカル「ライオン・キング」の演出を手掛け、全編ビートルズの曲を使用したミュージカル『アクロス・ザ・ユニバース』(2007)では、奇抜な色合いとセンス抜群の表現力によって、見事なアート作品に仕上げたジュリー・テイモアが監督を務めているだけに、本作の中にもアート的な描写が多用されていることにも見どころのひとつだ。

完成度が高く、メッセージ性の詰まった作品であることを前提で、出演する女優にも注目してもらいたい。公式ホームページには、グロリアを演じた女優として、20代以降を演じたアリシア・ヴィキャンデルと、40代以降を演じたジュリアン・ムーアしか載っていない。作品自体が主に2つの世代の出来事が交差する構造となっているためだろう。

しかし忘れてはいけないのが、幼少期を演じたライアン・キーラ・アームストロングと、特に10代を演じたルル・ウィルソンだ。


ジュリアン・ムーアらと比べて、登場シーンはそれほど長くはないが、存在感をしっかりと残しており、将来への期待を感じるはず。

そもそもルル・ウィルソンという女優をご存じだろうか。まだ日本では、あまり知名度のない女優ではあるが、3歳の頃から業界で活躍するルルは、これまでに『NY心霊捜査官』(2014)『ウィジャ ビギニング ~呪い襲い殺す~』(2016)『アナベル 死霊人形の誕生』(2017)といった、ホラーやサスペンス作品に幼少期から多く出演している、ホラーに毒された女優だ。

親の目線で見てしまうと、将来が不安になってしまうかもしれないが、ホラーファンとしては、注目せざるを得ない。

彼女の魅力は、なんといっても眼力。例えるなら『タリーと私の秘密の時間』(2018)や『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019)などに出演するマッケンジー・デイヴィスに似た眼力の持ち主である。
その眼力が存分に活かされたのが、14歳の頃に主演を務めた『BECKY ベッキー』(2020)だ。

母親を病気で亡くした少女が、護送中に脱走したネオナチに家族が襲われ、ついに覚醒。定規や色鉛筆といった子どもらしいアイテムを駆使して、ネオナチたちを皆殺しにしていくというもので、14歳にして早くも血まみれヒロインの称号を手に入れたのだ。

『BECKY ベッキー』は、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」で期間限定公開されたのち、2022年4月6日にレンタル、U-NEXTなど動画サービスで配信中だ。

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▼『グロリアス 世界を動かした女たち』
5月13日(金) kino cinema横浜みなとみらい他にて全国順次公開
監督:ジュリー・テイモア
脚本:ジュリー・テイモア、サラ・ルール
出演:ジュリアン・ムーア、アリシア・ヴィキャンデル、ティモシー・ハットン、ジャネール・モネイ、ベット・ミドラー、ルル・ウィルソンほか
2020年|アメリカ|英語|147分|カラー|ビスタ|5.1ch|原題:The Glorias|字幕翻訳:高橋彩|G
提供:木下グループ 配給:キノシネマ
公式サイト: https://movie.kinocinema.jp/works/theglorias

▼『ベッキー』
株式会社ハピネット・メディアマーケティングよりレンタル中、または一部動画サービスで配信中
監督:ジョナサン・ミロ、カリー・マーニオン
出演:ルル・ウィルソン、ケヴィン・ジェームズ、ジョエル・マクヘイル
原題:BECKY 2020 年/アメリカ/94 分 (C)2020 BECKY THE MOVIE, LLC