【写真】アイドル&大食いファイターとして活躍するもえのあずきの撮り下ろしカット【14点】
「最初から大食いファイターになろうと考えていたわけではないんですよ。小さい頃は、とにかくアイドルになりたくて。たしかに他の子よりは食べるほうだったかもしれないけど、世の中には私なんかよりもすごい人はいくらでもいるだろうと考えていましたし。それに学校では少食のふりをしていたんですよね。誰よりも小さいお弁当箱を使っていましたから。思春期の女子って“小さいお弁当箱マウント”があるんです(笑)」
頭脳明晰で同志社大学に合格したもえのだったが、アイドルになるという幼い頃からの夢を諦めることはできなかった。そこで一念発起して上京すると、アイドル育成型エンターテインメント・カフェ「AKIHABARAバックステージpass」に勤務しながら、バクステ外神田一丁目のメンバーとしての活動を開始。同プロジェクトはつんく♂もプロデュースに携わっていたため、ハロプロ本体ではないものの、広い意味ではつんく♂ファミリーの一員となった格好だった。
「バクステはすごい大人数グループなので、ボーっとしていたら埋もれてしまうんです。いつも『売れたい』『有名になりたい』と考えていましたね。ハングリーだったと思います。
このようにして行われた番組内の大食い企画で、もえのは2位以下に大差をつけて圧勝する。そもそもこの出演はライブ前に「お弁当ひとつじゃ足りないんですよ~」などと話していた様子をつんく♂に目撃されたことで決まったという。常軌を逸した食べっぷりを目の当たりにした恩師は「本家(『元祖!大食い王』/テレビ東京系)にも出られる」と太鼓判を押した。
「感覚としては“運動会の徒競走で全力ダッシュしてみたら、周りの子が幼稚園児みたいに遅くて戸惑った”みたいな……。自分自身に衝撃を受けました。みんなもテレビに出たくて必死だから、決して手加減しているわけじゃなかったんですけどね。覚えているのは番組の中でつんく♂さんに『神』って言われたんですよ。私からすると、つんく♂さんこそ神のような存在。神様に神と呼ばれたことで、この大食いという特技を伸ばしていこうと覚悟を決めました」
そもそも、もえのは熱心な大食い番組視聴者ではなかった。
「最初の『大食い王』は予選落ちしちゃったんですけど、チラっと映っただけなのに反響がすごかったんですよ。番組の力を思い知らされましたね。当時の私は選抜メンバーに入っていなかったので、知名度を上げることでアイドルとしてステップアップしたかったというのが本音。『大食い王』の出演以降はメディアの取材を受ける機会も増えましたし、運営推薦枠というかたちで選抜入りもできるようになったんです。私の場合、あくまでもアイドルとしての色付けとして大食いがありましたからね。大食いは目的じゃなかった。そこが他の大食い選手と決定的に違うところじゃないかな」
大食いはアイドルとして名を売るための手段──。そう認識していたもえのにとって、重要なのは勝つことよりも目立つことだった。
「テレビに出るようになったからお店(「AKIHABARAバックステージpass」)でのランキングが上がるかというと、そんな単純な話でもないんです。むしろ忙しくなると出勤することが現実的に難しくなり、純粋なグループのファンの方からは敬遠される部分もあったかもしれません。それでも世間一般からは『バクステ? あぁ、大食いのもえあずがいるグループか』みたいに認識されることが増えてきて、自分の役割がだんだん見えてきたんですよね。正直、最初は自分のことしか考えていなかったです。だけど途中からはグループを有名にするために頑張っていた部分が大きかった。食べていると、メンバーの顔、そのご家族の顔、つんく♂さんの応援とかが頭に浮かんでくるんですよ。背負っているものがあるからこそ、限界まで食べられたんだと思います」
記事後編では「大食い選手として頂点に昇り詰めるまでの葛藤と苦闘」「戦いに向けた心掛け」「アイドルを続ける絶対的な理由」などにも言及。さらにディープに大食いアイドルの魅力に迫っていきたい。
【後編はこちら】大食いアイドル・もえのあずきが覚醒した瞬間「女王・赤阪尊子との出会い、最後に問われるのは精神力」