2019年のドラマ初出演以降、しっかりと地に足をつけた表現力を身に着け、俳優として順調にステップアップしてきた乃木坂46山下美月。今や乃木坂46を代表する女優として成長を遂げている彼女は今、現在放送中のNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』に出演している。


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48グループ/坂道グループ全体を見てみると、これまでに『まんぷく』に出演した深川麻衣を始め、『カムカムエヴリバディ』の川栄李奈や『なつぞら』の渡辺麻友など、多くのメンバーが朝ドラに出演してきた。

だが、現役アイドルでの出演となると、2016年に『べっぴんさん』に出演したももいろクローバーZの百田夏菜子まで遡らなければならず、それだけに山下の朝ドラ出演は快挙と言えるだろう。驚くべきことはヒロインの親友役という重要なポジションを与えられているということだ。

山下といえば、女優としてはやはり“あざといキャラ”というパブリックイメージが強い。これまでも男性を翻弄するビデオガールを演じた『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』(テレビ東京系)を始め、しっかり者だが感情が表に出ない“低温女子”を好演しあざといキャラの片鱗を見せた『着飾る恋には理由があって』(TBS系)、天然魔性系女子大生として教授を沼へと落としていった『じゃない方の彼女』(テレビ東京系)、さらには『あざとくて何が悪いの?』内の「あざと連ドラ」で見せた男性を虜にするあざとい表情や演技など、どこかエキセントリックでひとクセあるキャラクターを演じてきた。

中でも、山下のあざといイメージを確立させたのはヒロインとして出演した『じゃない方の彼女』だろう。2021年は山下にとって『僕は僕を好きになる』で初のセンターに抜擢されたタイミングであり、まさに乃木坂46の顔として広く知れ渡った年。『じゃない方の彼女』で見せたあざとさ満点の渾身の演技はその活躍に一役買ったといっていい。

こうしたあざといキャラについて、山下はインタビューで「役としてではなく“山下美月”としてそういうものを求められると、ちょっと躊躇してしまうこともありました」としつつも、「今までやってきたことの積み重ねで今回も怜子役をやらせていただけることになったと思うので、そういう繋がりの大事さはものすごく実感しています」とあざといイメージへのポジティブな印象を語っていた。

役者にとってある一定のイメージを持たれるというのは良い面もある一方で固定されたイメージに縛られてしまうというマイナスな面も多少はあるものだが、山下はそれを前向きに捉えているという点が役者としての強みでもある。

その一方で映画『日日是好日』やドラマと映画の両方に出演した『映像研には手を出すな!』のようにあざといキャラに囚われない演技を度々見せてきた。『映像研には手を出すな!』では漫画を原作とした作品ということもあって、登場するキャラクターはリアリティよりも、空想上の設定や言動が非常に多い。
そこをいかに表現するかにある種役者としての力量みたいなものが現れるといえるが、山下は水崎ツバメとしての説得力を高いクオリティで表現していた。今でこそあざといキャラとしてのイメージが浸透しているが、それだけでは決してない。

『舞いあがれ!』で山下が演じるのはヒロイン・岩倉舞(福原遥)の幼なじみで親友の望月久留美。幼いころに両親が離婚して父子家庭で育てられ、父親の失業によって経済的に貧しい子ども時代を過ごしてきたというバックグラウンドを持っているがゆえに、舞とは対照的に堅実な看護師の道を目指している。

望月久留美という役は、山下がこれまで経験してきたどの役柄とも異なる方向性が求められている。朝ドラで求められるのはあくまでも日常に根ざした自然体な演技だからだ。それはこれまで山下が演じてきたキャラクターとは求められる役割は少々異なってくるだろう。そのため、山下の出演には多くのファンが驚きをもって迎えただろうし、筆者も同じである。

3日に放送された第1話ではまだ山下の登場はなかったものの、ヒロインの幼なじみ枠ということで、今後はかなりの頻度で登場することが予想される。そんな山下に求められているのは、いかに朝ドラの雰囲気に溶け込めるのかというところだろう。

YouTubeで公開されているメイキング映像では福原遥とともに笑顔で談笑する姿や関西弁で会話しているシーンなど、等身大で自然体な山下の表情が映し出されており、久留美としてすっかり馴染んでいるように感じた。山下の華やかでいて素朴さも持ち合わせた役者としての姿はきっと朝ドラに彩りを与えてくれることだろう。


朝ドラは老若男女に愛されているドラマ枠ということもあり、山下には幅広い世代に親しみのある幼なじみ像を見せていってほしいし、山下美月の存在が本作を通して浸透していくことによって、乃木坂46が世代を超えて愛される存在になっていくことに期待したい。

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