前田敦子、趣里、伊藤万理華、黒川芽以といった注目の女優陣が出演する映画『もっと超越した所へ。』が10月14日から全国公開されている。


【写真】前田敦子、伊藤万理華らがクズ男に沼る女性を熱演、映画『もっと超越した所へ。』場面カット【8点】

パターンは様々、4人のクズ男に悩まされる4人の女性の物語。

クズ男って、そもそも相手だけが悪いのだろうか? 自分から現状を打開しようと考えたことがあったのだろうか? 恋愛ってこういうもの、男ってこういうものという固定概念こそが、クズ男を作ってしまうメカニズムではないのだろうか……。斬新な解釈、そしてネタバレ厳禁な着地点こそ本作の“超越”した所なのだ。

パワハラやDVといった、極度のクズ男というよりは、普通にいそうでいて、しかも自分がクズだと気づいていない、そんな絶妙なラインのクズ男たちだからこそのリアリティがあり、多くの人が、自分は? 自分の相手は? と、自身の恋愛を振り返ってしまうだろう。

今作で原作・脚本を手掛けているのは根本宗子
これまで『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(2015)や『ねもしすたぁ』(2015)でも脚本を手掛けており、女性の本音を切り取りながらも、「本当にそれでいいのか? 傷を舐め合うだけでいいのか?」といった、どこかシニカルで自虐的なテイストは今作でも健在。

結末も含め斬新な物語。それに加え演出も斬新だ。ほとんどのシーンが部屋の中、つまりワンシチュエーションで展開される。それもそのはず。
根本宗子は、もともと劇作家であり、今作の原作も舞台劇だ。映画用に変換されるのではなく、舞台感をあえて活かしたものとなっている。

ちなみに根本宗子本人は、今まで手掛けてきた舞台作品の中で、今作こそ映画化のオファーがないだろうと思っていた作品だと語っている

そして個性的な俳優陣の演技にも注目してもらいたい。特に前田敦子の演技。前田敦子といえば、AKB48卒業後しばらくはどうしてもグループのイメージが付きまとっていたが、近年はドラマ、映画、そして舞台でハイペースに活躍しており、すっかり女優としての存在感を確立している。

AKB48の舞台裏に密着したドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』(2011)の中で、おもいっきりスッピン姿を披露しているのを観たときから、ただ者ではないと思ってはいたが、ここにきて急成長を遂げている。


古典からジャンル映画まで、無類の映画好きとしても知られているだけに、インスピレーション元が多いこともあってか、役の幅が広いのも強みだ。今年の8月に公開された『コンビニエンス・ストーリー』ではミステリアスな女性を演じ、12月公開の『そばかす』では、元AV女優を演じるなど、その役の幅は留まるところを知らない。

すでに2023年公開作品として、『そして僕は途方に暮れる』(東京国際映画祭、ワールド・プレミアにて先行上映)や『あつい胸さわぎ』といった新作が待機中と、前田敦子の勢いは増すばかりだ。

【ストーリー】
クズ男に沼る4人の女性――。家に転がり込んできたストリーマーの怜人をつい養ってしまう衣装デザイナー・真知子。意味不明なノリで生きるフリーター・泰造と暮らすショップ店員・美和は泰造に絶大な信頼を置いている。
プライドばかりが高く、承認欲求の塊である俳優の慎太郎のお気に入りである風俗嬢の七瀬は今日も淡々と仕事をこなす。父親の会社で働くボンボンで自己中心的な富と共同生活を送る元子役のタレント・鈴は世話をするのも楽しそう。それなりに幸せな日々を送っていた4組のカップルに訪れた、別れの危機……。ただ幸せになりたいだけなのに、今度の恋愛も失敗なのか?それぞれの”本音”と“過去の秘密”が明らかになる時、物語は予想外の方向へと疾走していく!

▽『もっと超越した所へ。』
出演: 前田敦子、菊池風磨、伊藤万理華、オカモトレイジ、黒川芽以、三浦貴大、趣里、千葉雄大
監督:山岸聖太
脚本:根本宗子
原作:月刊「根本宗子」第10号『もっと超越した所へ。』
10 月 14 日(金)、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

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