今年は、80年代から90年代に活躍したアイドル歌手がとても元気だった。

ジャパニーズ・シティポップが再評価される中、菊池桃子は、実に35年ぶりに作編曲家の林哲司と共同制作したアルバムをリリース。
収録曲全16曲すべて作曲は林哲司。新曲も2曲収録され、往年のファンは歓喜した。アルバムリリースに合わせて、ラジオへのプロモーション出演、林哲司とのコラボライブ開催など、歌手・菊池桃子として、精力的な活動を見せた1年だった。

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そして、今年デビュー40周年を迎えた中森明菜は、8月に突如、Twitterを開設。再始動に備えて、新たに個人事務所を設立し、ウェブサイトを立ち上げたことを報告すると、Twitterのフォロワー数は、瞬く間に46万人を超えた。11月にはテレビで特番が組まれ、12月には中森をスカウトした初代プロデューサーらの証言で構成した書籍と、初期のシングルベストが同時発売される。
この流れを踏まえると、来年は新曲が聴けるのでは?とファンならずとも期待してしまう。

さらに、今年は、80年代後半から90年にかけて、「アイドル四天王」と呼ばれていた中山美穂南野陽子浅香唯工藤静香の4人全員がそれぞれライブ活動を行っている。中でも、ソロデビュー35周年の工藤静香は全国ツアーを開催。7月には「うたコン」、8月には「The Covers」、9月には「SONGS」と、NHKの歌番組に立て続けに出演している。となると、年末の紅白出場もあるのでは?と思わずにはいられない。

そんなアイドル全盛期に人気を博した彼女達の再始動に興奮したのは、X世代(1965年から1980年生まれ、今の40代から50代中盤)ばかりではない。
今や、昭和の歌謡曲やアイドルソングは、サブスクやTikTokなどをキッカケに、Y世代(1981年から1996年頃に生まれた世代)をも飛び越えて、Z世代(1997年以降に生まれた世代)にまで聴かれるようになった。彼らにとっては、ジャンルも発売された年も関係なく、とにかくいい曲はいい!という捉え方で、新鮮に響いているようだ。

ここで、1人の韓国人プロデューサーにも注目しておきたい。DJでもある彼の名は、Night Tempo。この夏はフジロックに出演し、来日ツアーも行うなど、日本の音楽ファンからも絶大な支持を集めている。そんな彼のツアーのタイトルは「ザ・昭和グルーヴ・ツアー 2022」。
ジャパニーズ・シティポップ・ブームの火付け役の1人としても知られる彼らしいタイトルだ。Night Tempoは、菊池桃子、中山美穂、工藤静香らの楽曲のリミックスも手掛けているので、彼を入り口にして、往年のアイドルソングを聴くようになった音楽ファンも少なくないようだ。

ここまでは、80年代にデビューしたアイドルをピックアップしてきたが、最後に、90年代前半にブレイクした2人のアイドルも紹介したい。宍戸留美と元CoCoの宮前真樹だ。 「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・シ・シ・ド・ル・ミ」のキャッチフレーズでデビューした宍戸は、正統派アイドルというよりも、個性派アイドルとして人気を博した。現在は声優として活躍中で、女子から圧倒的な人気を誇るアニメ「おジャ魔女どれみ」のおんぷちゃん役としても有名だ。


同作品の主題歌「おジャ魔女カーニバル」(MAHO堂)は、アニソンのキラーチューンとして、カラオケでも大人気。たびたび、テレビやラジオのアニソン特集でも紹介され、歌番組の大型特番などで、宍戸がMAHO堂の一員として、パフォーマンスを披露することも増えてきた。さらに、再注目の大きなキッカケとなったのは、先日のバラエティ番組「しゃべくり007」への出演だろう。当時と変わらぬ愛くるしい笑顔で、かつてのファンのみならず、番組出演者、視聴者を魅了した。

そして、もう1人は宮前真樹。宮前は、三浦理恵子永作博美が在籍した乙女塾出身で、三浦らと5人組アイドルグループCoCoとしてデビューを果たした。
グループ解散後、2004年に芸能活動を休業し、現在は料理研究家として活動しているが、先日、50歳を迎える来年1月に、約30年ぶりにCDをリリースし、ライブを開催することを発表している。「はんぶん不思議」などCoCoの名曲を再び生で聴くことが出来るのか?期待は高まるばかりだ。

X世代の男性の皆さん、今日ご紹介したのは、アイドル全盛期に活躍した女性アイドルの今の姿。来年以降の動きが気になるアイドルも多い。もしかしたら、あなたが熱狂したあのアイドル歌手も「大人アイドル」として再活動をしているかも知れない。是非、かつて好きだったアイドル達の近況を追ってみて欲しい。
第3第4の青春を取り戻せるかも知れないし、もしかしたら、当時のアイドルソングが世代を超えて、Y世代の職場の同僚やZ世代の息子や娘との会話のキッカケにもなるかも知れない。

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