10月3日からスタートした、NHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』。東大阪と五島列島を舞台に、空に憧れるヒロインの成長を描く物語だ。
そのヒロイン・岩倉舞を演じるのが、女優の福原遥さん。大阪制作の朝ドラとしては、前作の『カムカムエヴリバディ』に続いてオーディションで選ばれた。最近はヒロインオーディションを行わないケースも増えているが、『舞いあがれ!』ではなぜオーディションでヒロイン役を選んだのだろうか。制作統括・熊野律時チーフプロデューサーに話を聞いた。

【写真】2454人の応募者から選ばれた福原遥、『舞いあがれ!』場面カット【5点】

「基本的には朝ドラのヒロインはオーディションというのが伝統的に長くやってきていることではあるんですね。オーディションをする良さというのは、たくさんの方に応募していただいて、役柄のイメージにぴったりくる方を多くの可能性の中から選ぶことができる。なので、今回もオーディションを開催しました」

2545人の応募者の中から、福原遥さんが選ばれた決め手はどこにあったのか。

「福原さんご自身もすごく朝ドラへの思い入れを持たれていて、朝ドラにまっすぐに取り組みたいという強い気持ちが感じられました。それとやはり、今回のヒロインの役柄にこれほどぴったり来る方はないと思ったんですよね」

『舞いあがれ!』のヒロイン・岩倉舞は、先頭でぐいぐい引っ張っていくタイプのキャラクターではない。それとは逆に、柔らかな人間性で周りの人たちの思っていることを感じ取り、受け止めながら進んでいくというタイプだ。

「そこに福原さんのイメージがぴたりとあったんです。実際にお会いしてお話をすると、すごく優しい感じ、柔らかい感じ、周りの人への気遣いなど、ご本人自身の持つキャラクターが舞のキャラクターにすごく重なるなあと。
福原さんって、同じ場所にいるとそれだけで楽しくなって気持ちがなごんでいくんですよね。『一緒にいるとひなたぼっこをしている感じ』とよく言っているんですけど(笑)」

福原さんは、これまでもNHK・民放問わずさまざまな作品に出演してきた。それらの出演作品での演技から熊野プロデューサーは「ストレートな演技をする方だな」という印象を抱いていたという。

「作り込んだというよりは、素直な表現がいい方だな、という印象がありました。実際にオーディションでお芝居を観ても、相手役の投げてくるボールをすごく素直に返す。それにとても好感を持ちました。朝ドラって、長期間たくさんの方とお芝居をすることになるので、素直さって基本だけどすごく大事な要素なんですよね」

こうして福原さんのヒロイン役抜擢がオーディションで決まったというわけだ。そしてもうひとつ、オーディションには単に“ヒロイン役を選ぶ”だけではない意味がある。

「オーディションの良さというのは、いろんな方の個性とか可能性を見る機会になるんですね。これまでもヒロインの周りにいる同世代の出演者もオーディションに参加してくれた方の中からお願いすることがよくありましたから」

今回でも、ヒロインの幼なじみ・望月久留美役の山下美月さん(乃木坂46)はヒロインオーディションを通じて“発掘”したキャストのひとりだ。

「山下さんはアイドルなので普段は歌ったり踊ったりされているわけですが、お芝居をしてみるとすごく素敵な、地に足がついた感じなんですよね。キャラクターは堅実な考え方で苦労しながら進んでいくという久留美役にぴったり。
ヒロインの親友として長く出ていただくと、すごく素敵な久留美を演じてくれるだろうなという期待がありました。お忙しいと思うので受けてくれるかなあと思いながらオファーしたら、『ぜひやりたい』と言っていただけて、すごくありがたかったですね」」

10月24日からの第4週からヒロインの福原さんも山下さんも本格的に登場している。福原さんと山下さんは現場でも本当の幼なじみのような仲の良さを見せているそうで、今後の幼なじみ2人の関係性も、目が離せないところだ。

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