僕は本当に学生時代はモジモジ男で。女の人とは奥手で話もできませんでした。でも心の奥ではキャーキャー言われてる人がうらやましくて、そういう立場になりたかった。「どうすればいいんだ?」と思っていた時に出会ったのがお笑いの世界でした。
ちょうど千原兄弟さんやケンドーコバヤシさんたちが心斎橋二丁目劇場っていうところで大暴れしていた時期です。自分のコンプレックスすらも舞台でさらけ出して、ガンガン笑いを取っていた。「こんなことができるんや!」って思いましたね。それで僕も芸人になりたい、と。実際になってみると「人前に立って笑ってもらうのはこんなに気持ちいいんだ」と思いましたね。でも結局、芸人の世界でもモテるのはかっこいい人だけ(苦笑)。誰もがモテるわけじゃないことを知りました。
もっと売れたら、世間に認知されたら変わるかもしれない。
ひとつの大きなきっかけは、事務所の先輩のネプチューン・名倉潤さんやTIMさんたちが、鳴かず飛ばずだった僕らを、寄ってたかってネタから何から改造してくれたことでした。コンビ名も「宴人(えんじん)」から「Wエンジン」に改名。そしたらほぼ同時期に「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)の話が来て、たまたま番宣で出演されていた佐藤浩市さんが、僕らの「惚れてまうやろー!」のネタをレッドカーペット賞に選んでくださった。そこから一気に仕事が増えて、芸人としてご飯が食べられるようになりました。自分たちのこだわりを持ち続けることも大事ですけど、誰かのアドバイスに従うこともこんなに素敵な結果を招くんやな、と気づかされましたね。
芸人としてやっと認められた、そんな感覚になったのも、「レッドカーペット」の放送後でした。街行く人に「チャンさん、ありがとうございます!」って握手を求められたんです。相手の人は太っていてメガネをかけて、僕とそっくりな男性でした。
海外ロケで、火山の噴火口でドロドロと吹き出るマグマを見た経験も、僕の人生観を変えてくれました。圧倒的な大自然の驚異を見ると、自分の悩みなんてめちゃめちゃちっぽけなものに感じるんですよ。例えば本でも書かせてもらいましたが、僕は神社仏閣がすごく好きで。でも昔の神社仏閣って、雷が落ちたことで焼けてなくなってしまったものって結構あるんです。
「人間が自然に負けることはめっちゃ多くない?」と。モテない恨みつらみだとか、自分が太っていることとか、そんなことよりも「人間って自然の中で生きることで精いっぱいだよな? 見た目のような小さいことでモジモジするのって必要ないんだな」という風な気持ちになっていきました。
何かに巡り合っていくことで見方が変わって、そうすれば悩んでいたことも解決したりする。
【後編はこちらから】チャンカワイが語る晩婚のススメ「出会った瞬間に結婚を意識。辛い時代が長いほど幸せが大きい」