【写真】極楽とんぼ・加藤浩次のインスパイア!? 渡辺未詩「2人まとめてジャイアントスイング」が話題【6点】
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プロレスをまったく知らずにプロレスラーになってしまった渡辺未詩。それゆえ彼女にはある感覚が欠落していた。
「チャンピオンを目指すって感覚がなかったんですよね。同期の(乃蒼)ヒカリちゃんから一緒に挑戦しようって言われて、はじめてタッグのチャンピオンに挑戦したんですけど、そこではじめて、そうか、私はここを目指せばいいのかって。アイドルだったらオリコンで1位になるとか、そういう目標はありますけど、そこに形はないじゃないですか? でもプロレスでチャンピオンになれば、ベルトという目に見える形があるし、ファンの方に直接、見せたりして共有もできるんですよ!」
はじめてチャンピオンベルトを巻いたのはデビューから約2年後。ただ、ベルトの意味に気づくのが遅かったことが功を奏して、そんなに長い時間がかかったとは感じなかった、という。こういうエピソードひとつひとつが、プロレスとアイドルを同時にはじめる、という前代未聞の実験の成果なのだろう。
アイドルとしてもライブハウスでの対バンなどを積極的にこなしてきたが、最大の特色は試合前にリングで歌うこと。東京女子プロレスの興行は必ずアップアップガールズ(プロレス)の歌のコーナーからスタートする。
実際、筆者が最初に目を惹かれたとのは『アイドルとして』の渡辺未詩だった。本当に楽しそうに、イキイキとパフォーマンスする姿からは、心からアイドルが好きなんだろうな、という想いが伝わってきたし、アイドルの応援作法がわからないプロレスファンをしっかりと煽っていく姿勢にも感心した。
「やっぱり興行としてみなさんに満足してもらいたいじゃないですか? それとプロレスの試合だとなかなかお客さんの顔を見る余裕がないんですけど、歌のコーナーでははっきりと見えるんです。それで今日はどんなお客さんが来てくれているのかなって確認もできるんですよね。昨年、後楽園ホールのメインイベントで勝ったとき、締めの挨拶をやらせていただいたんですけど、あっ、今日はオープニングと締めを両方できた! って。これってアップアップガールズ(プロレス)にかできないことだよなって、はじめて体感できました」
2018年のTOKYO IDOL FESTIVALではアイドルとしてスマイルガーデンのステージに立ち、さらにプロレスラーとして路上プロレスにも参戦。渡辺未詩も「アイドルとしての夢が叶っただけではなく、プロレスと両立していることも認めてもらえた」と手応えを感じていた、という。しっかりと両立の道を切り拓いてきたのだが、コロナ禍でアイドルとしての活動は縮小せざるを得なくなってしまう。
「ただ、コロナ禍でもプロレスはかなり早い段階で興行が再開されたので、私たちはリングで歌い続けることができたんです。きっとアイドル業界の中で、私たちがこの3年間でもっともたくさんのライブをやってきたんじゃないですかね?」
昨年7月、大田区体育館での試合で久しぶりに観客の声出しと紙テープの投げ入れが条件つきながら認められたのだが、歌のコーナーで歓声を浴びた渡辺未詩は感涙を流した。アイドルもプロレスも、そこにお客さんがいないと成立しない。ただ、大きな歓声に包まれたことで「お客さんと一緒に作りあげていくもの」であると再認識もできた、という。ただただ感涙を流したのではない。これからよりよいものをアイドルとして、プロレスラーとして観客と一緒に作りあげていく、という決意の涙でもあった。
その数か月後、インターナショナル・プリンセス王座を獲得。プロレスをまったく知らなかったアイドル志望の少女がついにシングルのチャンピオンになった。デビューから約5年が経とうとしていたが、そのプロセスは彼女がファンから真のプロレスラーとして評価されるためには必要だったのかもしれない。
彼女の得意技はジャイアントスイング。もはや業界屈指の使い手といっても過言ではないだろう。
「自分にあんなにパワーがあるなんて、プロレスラーになっていなかったら、一生、気がつかなったと思います(笑)。ひとつ夢があって、私、加藤浩次さんをジャイアントスイングで回してみたいんですよ! 以前、めちゃイケで加藤さんがさっしーさん(指原莉乃)とかAKB48のメンバーを回していたじゃないですか? アイドルだったら、私も回されたいと思うんでしょうけど、プロレスラーもやっている私にしかできないですよね、加藤さんをジャイアントスイングでブン回すって。あとチャンスがあれば、ももクロのあーりん(佐々木彩夏)さんも回したいです」
アイドルとプロレスを両立しているからこそできるスケールの大きなチャレンジ。2023年、それは世界に向けて展開されようとしている(3回目につづく)。
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