【関連写真】1st写真集も発売した守屋麗奈 撮り下ろし写真
まず、櫻坂46の2022年をざっと振り返ってみよう。2022年は2020年に次いで多くのメンバーが卒業した年だった。一期生でありグループの支柱でもあった渡邉理佐、インテリアイドルとして独自路線を歩んだ原田葵、裏側でメンバーを支え、尾関スタイルなどバラエティでも大活躍した尾関梨香、そしてキャプテンとしてグループを支えてきた菅井友香の卒業だ。中でもキャプテンとして約5年半支えてきた菅井の卒業は、ひとつのグループの区切りを感じさせるものとなった。しかし、菅井の後を引き継いでキャプテンに就任した松田里奈を筆頭に二期生はそれぞれのフィールドで活躍し存在感を発揮しており、すでにグループは前を向いている印象を受ける。
そうした中で、櫻坂46は実に1年ぶりとなるシングルのリリースを発表。そこでセンターに選ばれたのが二期生の守屋麗奈だ。2021年からは『ラヴィット!』(TBS系)のレギュラーに抜擢されたり、4thシングル『五月雨よ』では初の櫻エイトに選ばれたり、1st写真集『笑顔のグー、チョキ、パー』(竹書房)を発売したりと、怒涛の日々を駆け抜けた。そんな守屋は1stシングル『Nobody’s fault』では選抜に入りすることができていないように加入当初は決して目立つようなポジションではなかった。
転機となったのは『そこ曲がったら 櫻坂?』(テレビ東京系)で櫻坂46にはこれまでいなかったぶりっ子キャラを確立させたことだ。
パフォーマンス面においては、楽曲の世界観を繊細に表現するしなやかなダンスや可愛らしい表情で魅了する。2021年に開催された『櫻坂46 BACKS LIVE!!』では、森田がセンターを務めている『ブルームーンキス』でセンターに立ち、守屋らしい笑顔弾けるパフォーマンスで存在感を見せつけた。『BUBKA 2022年8月号』では「自分なりの『ブルームーンキス』ができるんじゃないかと思って立候補させていただきました」と当時を振り返っており、パフォーマンス集団として知られる櫻坂46の世界観を踏襲しつつ、守屋は自らの個性でもある笑顔を武器に新しいグループのかたちを作り上げているように思える。
今回の『桜月』は表題曲で言えば『五月雨よ』に近い壮大で美しいメロディが特徴的で、しなやかなダンスや笑顔が映える守屋にぴったりな楽曲だ。これまでの固定化されたイメージから脱却し、櫻坂46のグループとしての多様性を見せつけていくシングルのようにも感じられた。
これまで櫻坂46としては森田ひかるや山崎天ら二期生が表題曲のセンターを務めてきた。かねてから欅坂46からグループの基盤を築いてきた一期生ではなく、二期生をパフォーマンスの中心に添えてきたことは櫻坂46の層の厚さを感じさせる。また、2ndシングルまでは森田がセンターを務め、3rdシングル以降に至っては田村保乃、山崎とフレキシブルにセンターが入れ替わってきた。これはどのメンバーでもセンターに立てるポテンシャルを秘めたグループであることを示すことができると同時に個性が世間に伝わりづらいというある種のデメリットも抱えている。
そうした中で鍵になるのが守屋の存在ではないだろうか。
そんな彼女がセンターに立つことで期待されるのは、櫻坂46がより世の中に広まっていくこと。昨年は世間に対してグループの集大成を見せつける場でもある『NHK紅白歌合戦』への出場が叶わなかった。ここ数年でバラエティやモデルと外仕事で存在を大きくし、これまでとはまるで異なるセンター像を持つ守屋の存在はグループがさらに一歩先へと進むきっかけとなるはずだ。
また、カップリング曲となる『Cool』についての情報も解禁となり、センターには大園玲が初めて抜擢。大園は今年4月に1st写真集の発売が決定、各アイドル誌でも表紙を飾るなど、確実に注目を集めているメンバーだ。『桜月』とは異なる、力強くメッセージ性のある楽曲で、表と裏で櫻坂46の多彩な魅力が現れている。ただ一点を見つめる大園の力強い眼差しと自由で開放的なダンスはこれまでの櫻坂46の世界観を引継いでいるようでもある。新たなキラーチューンとしてライブで早く見てみたい。
さらに同シングルには三期生曲『夏の近道』も収録される。
櫻坂46は新キャプテンの就任、そして三期生の加入と転換期を迎えている。ここからが本当の勝負所だ。公式ブログで守屋は「また新たな櫻坂を発見していただけたら嬉しく思います」とコメントしていた。守屋を中心に櫻坂46がこの先のまだ見ぬ新しい景色を見せてくれることに期待したい。
※山崎天の「崎」は「たつさき」。
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