竹内涼真が、3月24日(金)20時からテレビ東京系でオンエアされるサスペンスドラマ『ペルソナの密告 3つの顔をもつ容疑者』で、解離性同一性障害(DID)の青年を演じる。主演・沢村一樹演じる元刑事が追う連続誘拐事件の容疑者、という役どころだ。
いくつもの人格を演じ分ける難役に挑む竹内に本作について、意気込みや役作りについてなど話を聞いた。

【写真】複数の人格が入れ替わり出現する難役に挑戦、竹内涼真のドラマカット【8点】

本作で竹内が演じるのは、複数の人格が入れ替わりに出現する解離性同一性障害(DID)を抱える青年・元村周太。その交代人格には暴力的な青年・バクや瞬時に物事を暗記する事ができるなど天才的なIQをもつ少年・カブトといった年齢も個性も全く異なるキャラクターが登場する。

「DIDに関する資料を読み込んだり、実際にDIDの子供たちと触れ合う機会があり、一緒に遊ぶ中でたくさんヒントをもらいました。元村がなぜDIDという症例を抱えるようになったかという理由には、幼少期の辛い経験が影響しているんです。自分に足りないもの、満たされないものを一生懸命、無意識のうちに埋めていて、自分の感情を押し殺してしまった結果、自分を守るため、自分への愛情を勝ち取るために新しい人格が生まれたんじゃないかなと思いました。それぞれ喋り方やしぐさ、正確も全然違いますが、目的というか物語のゴール、向かっている方向はみんな同じなんじゃないかと。そういった感覚で、交代人格の一人一人は僕がこだわって作りました」

複数の人格が入れ替わり、豹変する瞬間が一番の見どころになっていると語る。

「監督から、人格が変わる瞬間の目にこだわりたいと言ってくださったのでそこは意識しました。出来上がったものを見ると、鋭くなったり、優しくなったと感じるかもしれませんが、僕のなかでそういった意識はあまりなくて。ただチェンジした瞬間、切り替わった人格がいきなり喋り始めるのではなく、少し余白が欲しいということなのかなと思ったので、そこには一生懸命応えています」

竹内演じる元村が連続誘拐事件の容疑者として取り調べを受けることになったことから、物語は動き出す。元村が事件にどう関わっているのか。
それが事件の鍵になるが、真相に迫る元刑事で今は一人娘を育てる専業主夫・獅子舞亘を演じる沢村一樹とは、本作が本格初共演だ。

「沢村さんが大きな懐で受け止めてくださるので、一緒にお芝居をするのが楽しかったです。目の前のキャッチボールを大切にしてくださるので、その場で生まれるものもたくさんあり、いい距離感でお芝居させていただきました」

沢村とのやり取りから、役に深みが出た部分もある。

「例えば、交代人格のカブトは愛情に飢えている7歳の男の子なんですけど、このカブトを沢村さん演じる獅子舞がかわいがってくれるんです。カブトにとっては愛情をもらえるチャンスだから、それを逃さないように一生懸命頑張ります。実際演じていて、獅子舞が向けてくれる愛情に対して湧き上がってくる気持ちは、台本を読んでいたとき以上のものがありました。他の交代人格のバクにも、獅子舞にはあまり圧をかけたくないなと思う気持ちが出てくることがあって。沢村さんは目の前で起こることに繊細なリアクションをしてくださるので、それが今回発信する側を演じる僕としてはすごく助かりました」

複数の人格を演じ分けるようなキャラクターを担うのは、本作が初めてだという竹内。「僕がこういう役を演じるのを皆さん見たことがないと思いますし、自分もすごく挑戦してみたかったので、今回演じることができてうれしかったです」と笑顔を見せるが、本作への出演は自身にとっても新たな挑戦になったという。

「僕が今回、この役を通して気付いたのは固定観念を捨てる大切さです。自分のなかでの決まりをなくして、いろんなアイデアを抽出するという作業を役作りの過程で行いました。その結果、自分のスタイルはこれだ、と決めつけるのではなく作品ごとに新たなスタイルを見つけていくのが大事だということに気づきました。
新しいものに挑戦するときは自分が興味を持ったことをいろいろ試してみたいと思います。あとは周りを見て頼ることの大切さも実感しました」

連続誘拐事件を発端に、元刑事とDIDを抱える青年との深い人間ドラマが描かれる本作。「感情移入できるところも多い」とアピールする。

「『人は誰だって、いくつもの顔を使って生きている』という獅子舞のセリフがあるんですけど、結構みんな図星なんじゃないのかな。意識的に変えている人もいれば、自分がいる場所や雰囲気によって自然と変わる人もいると思うんです。僕自身も現場にあわせて佇まいを変えることがありますし。そういった部分も含めて、単にシリアスで難しい内容ではなく、人間を深掘りした厚みのあるドラマになっています。人間の愛をしっかり描いた作品をお見せできるんじゃないかなと思います」

取材・文/吉田光枝

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