【写真】ドラマでは女装を披露した阪本奨悟 撮り下ろし写真【5点】
──出演が決まった際の心境はいかがでしたか。
阪本 率直にすごく面白そうな題材だと思ったので、参加できることは楽しみでした。女装する男の人をメインに描く作品はそう多くはないと思うんですが、その中でもここまでこだわりを持って、女装を描いた作品は少ないと思います。僕自身、自分が演じきれるか不安はありましたが、これを自分のものにできれば大きなやりがいを感じられるんじゃないかなとも思っていました。
──劇中でした様々な女装の中で、特に楽しかったのはどんなものですか。
阪本 ロリータ系の衣装は現実を忘れさせてくれるようで、すごく楽しかったです。自分が一生着ることのなかったような服装ですが、美しくメイクもしていただいて、ウィッグも合わせてもらったので、すごく特別な時間でした。ロリータの衣装のまま、街中を歩いたりもしてしまいました(笑)。
──恋々乃=九井恭平という役どころをどのように捉えていましたか。
阪本 恋々乃としての恭平は、晴臣に対して母性のようなものを持っている人なのかなと感じていたので、そこを大事に演じました。
──女装したご自身の姿にはどんな感想を持ちましたか。
阪本 メイクさんと衣装さんに本当に助けられました。日々、メイクをされながら僕自身も変わっていったような感覚があります。「どんどんかわいくなっていけているぞ」と自己肯定感がすごく上がってたので、周りがうるさく思うくらい、自分でも自分のことをかわいいと言っていました(笑)。ロリータの衣装を着た時なんかは、普段の自分だったら恥ずかしく思うような仕草や大げさなぶりっ子をすることにも心理的なハードルがなくなっていました。
──今作について、俳優仲間からの反響などはありましたか。
阪本 以前、『王室教師ハイネ』という作品で共演した橋本祥平くんから、恋々乃のビジュアルが発表された瞬間に「かわいいね」とメッセージをいただきました(笑)。彼も女装の経験があったと思うんですが、そんな祥平にかわいいと言ってもらえたことは自信に繋がりました。僕の家族もケラケラ笑いながら楽しんでくれて、父親にも「かわいい」と言われました(笑)。
──今作での女装は、性自認の不一致によるものとは違い、前向きに生きるための「新しい自分」のひとつとして描かれている印象を受けました。
阪本 たしかに僕も、最初はLGBTQを扱う作品になるのかなと思っていたんですが、台本を読み込んだり、監督さんやプロデューサーさんと打ち合わせをさせていただいたりする内に、今作で描いているのはそういうことではないということに気付きました。女装を通して、自信を持って強い自分でいられるようになるということが描かれてる作品なんだなと理解してからは、違うベクトルで演技をさせてもらうようになりました。
──阪本さんは俳優以外にシンガーソングライターとしても活動されていますが、「違う自分」を持つという意味で共感する部分はありますか。
阪本 役者でも音楽活動でも、表現するという意味では近いものはあります。けど、自分で0から1を作る音楽と、与えられた脚本を自分のものにしてその世界で生きるという役者と、両方で活動することができて良かったと思う瞬間はすごくあります。並行していることで相乗効果を感じられることも多いです。例えば今回、今まで自分が足を踏み入れたこともなければ、考えたこともなかった女装子(ジョソコ)の世界を知れたことが、今後、音楽を作る上で重要になってくることもあると思います。様々な活動をすることで、表現者としてプラスに向かっていけていると感じています。
──女装を通して、美意識に変化はありましたか。
阪本 こんなことを言うのはあれですが、僕はもともと美意識が高い方なんですよ。他の俳優さんを見て、「え、スキンケアそんな感じでいいの」と思うこともあるくらい(笑)。そういう意味では、ケアは変わらずにしています。
──SNSで「奨悟くんの女装がまた見れるなんて」という喜びの声も見受けられました。過去に女装をする機会もあったのですか。
阪本 今回のような本格的なものではないんですが、自分の番組の企画でやったことがあったと思います。その時には女装用のウィッグと、女子っぽいメイクをざっくりしてもらったような感じなので、今作ほど入念に打ち合わせをしたわけではなく、遊びのような感覚でした。今回は、当時の自分のマインドとは比べ物にならないくらい、濃厚な時間を過ごしました。過去の女装は恥ずかしさもあったし、ちょっとおちゃらけてやっていたところもあったので、今思うと、本気で女装をやっている方に対して申し訳なかったなとも思います。阪本奨悟の本気の女装は今回のものなので、更新してもらえるとうれしいです。
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