4月15日、雨の土曜日。東京のKANDA SQUARE HALLで、B.O.L.Tの解散ライブ「The LAST」が行われた。
B.O.L.Tは、ももいろクローバーZや私立恵比寿中学らが所属するスターダストプラネットの最年少アイドルグループ。内藤るな22歳、高井千帆21歳、白浜あや15歳、青山菜花14歳の4人組。2019年7月15日の初ステージからの活動期間は3年9ヶ月。そのすべてが詰まった集大成とも言える解散ライブをレポートする。

【写真】B.O.L.Tの解散ライブ「The LAST」の様子【7点】

まず、オープニングでは、過去のMUSIC VIDEOのフラッシュ映像が流れた後、スクリーンに「The LAST」の文字が大きく映し出されてライブがスタート。スクリーンが上がると、メンバー4人の後ろには、ファンのメッセージがびっしりと書かれたB.O.L.Tロゴマークのドロップ幕が掲げられていた。チケットはソールドアウト、会場に入り切れなかったファンの思いも、そこには記されている。そんな愛に溢れた会場で、1曲目に披露されたのは、初ステージから歌われてきた『星が降る街』。「史上最強の1日を作ろう!」と呼びかけ、クラップやジャンプ、コールを促しながら、バンドサウンドのロックナンバーを6曲一気に続けてパフォーマンスした。

最初のMCパートでは、それぞれが解散ライブへの思いを語った後、「今日は長くなるかもしれないけど、大丈夫?」と煽って、ファンの期待値を高めまくった状態で次のブロックへ。声出し解禁を待ち望んでいたファンを巻き込んでのタオル曲『Catch The Rainbow』とサビでファンも一緒に両手を上げ下げする『SLEEPY BUSTERS』での会場の一体感は、間違いなく前半のハイライトとなった。

続く2つ目のMCパートでは、今回のステージ衣装の話題に。
“ほぼ”新衣装と表現された今回の衣装、実は、B.O.L.Tがこれまでに着ていた衣装の生地を繋ぎ合わせてリメイクされたものだった。中には、2日前の歌番組まで着ていた衣装の生地も含まれている。影で支え続けてきたスタッフの愛も感じられ、会場中にB.O.L.T愛が溢れていることを再確認させるエピソードだった。

そして、次のブロックでは、『BON-NO BORN』、『BY MY SIDE』と続き、そのまま激しめのロック曲が続くかと思いきや…、『未完成呼吸』、『Hear You』、そして、Dragon Ashのカバー『HOT CAKE』というミディアムロックナンバーの3曲を熱唱。この間は、ほとんど煽りもなく、ファンも4人の歌声に聴き入る時間帯となった。

さらに、そこからミラーボールが回り、人気曲『スーパースター』、『axis』へと続いていく流れは、まさしく中盤のハイライト。考え抜かれたセットリストへのこだわりを感じずにはいられない。

その後、短めのMCを挟んですぐに、怒涛のラストブロックに突入。『雨のち晴れ』の曲紹介をすると、一際大きな歓声が上がる。この日の天気さえも味方につけて、曲がさらに映える形となった。しかも、歌詞の内容がメンバーがこれから歩む道ともリンクし、ファンにとっては、雨の記憶と共にこの曲のパフォーマンスが心に刻まれたに違いない。

また、ライブでまだあまり歌われていなかった最新シングル『Accent』も披露。
この曲を待っていたファンも多かったのだろう。中盤のミディアム曲のゾーン同様に、じっくりと聴き入っていたのが印象的だった。そして、再び、後半では、内藤がイントロや曲間に「クラップ!」、「ジャンプして!」、「サビいくよ!」と煽りながら、ラストスパートをかけてゆき、最後は『夜を抜け出して』で本編が終了。このブロックで連続パフォーマンスされた楽曲数は、実に12曲だった。

これで、本編でB.O.L.Tが歌った曲は32曲。それでも、まだライブの定番曲で歌われていない曲が残っていた。勘の良いファンは最初のMCでも察していたかもしれないが、ここから全曲コンプリートへと向かうアンコールがスタート。まずは、ファンも一緒になってフリを楽しむ定番曲『寝具でSING A SONG』と『Please Together』の2曲を披露。

B.O.L.Tの曲は、4人の決めポーズで終わる曲が多いのだが、この2曲はまさにその象徴。『Please Together』の最後、ステージ上の4人が土下座のポーズで終わると、ファンもその場で身をかがめて全員が同じポーズに。会場が本当にひとつになった瞬間だった。

最後のMCでは、1人ずつ涙をこらえながら、会場のファンや配信で観ているファン、スタッフ・関係者への感謝の気持ちを伝えると共に、メンバー同士でも思いを伝え合った。
中学3年生コンビの白浜と青山の2人は、お互いの存在の大きさを語り、白浜が青山を「最高の相方だった」と言ってハグを交わすと、10年近く一緒にステージに立ってきた内藤と高井もお互いに、相手の幸せが自分の幸せだと語り、会場の涙を誘った。

そんな4人のバランスや関係性が愛おしく思えるやり取りを経て、「まだまだ素敵な景色を見させて!最後は笑顔で…」と語り、『スマイルフワラー』と『OUR COLOR』を熱唱。これで、B.O.L.Tとしてリリースされた全36曲すべてを歌い切り、アンコールが終了した。

しかし、ファンからの更なるアンコールの声は鳴り止まず、ダブルアンコールへ。最後は「大切な始まりの1曲」だという『星が降る街』を再び歌唱。何度もファンと一緒にジャンプし、最高の一体感をもって、約3時間半のラストライブが幕を下ろした。「本当に楽しかったし、後悔はない」と言い切ってステージを去る4人のキラキラした笑顔がすべてを物語っていたし、声出しが解禁され、しかも全ての曲が聴けて、多くのファンにとっても悔いのないラストライブとなったことだろう。

改めて、こうしてB.O.L.Tの楽曲を聴いてみると、サビのキーがとても高い曲、曲中に緩急の展開がある曲、転調する曲など実は難しい曲が多い。解散ライブでは、そんな難曲に挑み続けてきた彼女達の努力の歴史も感じられたのではないだろうか。最後に、内藤が話したように、B.O.L.Tが解散しても、楽曲が色褪せることはない。ライブで聴くことはもう叶わないかも知れないが、楽曲を推し続けることは出来る。

サブスク等でこれからB.O.L.Tの楽曲と初めて出会う人もいるだろう。
王道アイドルソングにはない、癖の強いアイドルポップにもない、ロックなアイドルソングがB.O.L.T楽曲の最大魅力。アイドルファンのみならず、ロックファンやバンドファンにも、B.O.L.Tの楽曲を知って欲しいし、聴き続けていって欲しいと思わせてくれるような全力の全曲パフォーマンス。B.O.L.Tの3年9ヶ月のすべてがそこにはあった。

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