──それぞれ個性的なキャリアをお持ちとのことで、1人ずつ経歴とアナウンサーになったきっかけを教えてください。まずは先輩の西澤さんからお願いします。
西澤 学生時代、事務所に所属してラジオのリポーターやテレビ、イベントなどのMCをしていました。アナウンサーになりたいと思ったのは鮮明に覚えていて小学2年生の文集に将来の夢として書いていたんです。本格的に動き出したのは大学生になってからで、ミスコンを始め、女性アナウンサーの登竜門と言われているものには全て参加しました。アナウンススクールにも通って、その流れで学生キャスターやリポーターのお仕事をするようになりました。
──小学2年生から夢がブレなかったのがすごいですね。
西澤 ただ夢が閉ざされた期間はありました。キー局の就職試験を全て受けたんですけど全敗して、社会人1、2年目はサイバーエージェントで芸能人・有名人向けのアメブロの営業をやっていたんです。そしたら2年目の途中に、AbemaTV専属アナウンサー試験の公募がかかったのでエントリー動画を社内から出して合格しました。
──一般公募がかかるまで、アナウンサーになる術はなかったんですね。
西澤 私は2016年入社で同じ年にAbemaTVが開局したんですけど、いつかアナウンス室ができたらいいなという気持ちはありました。
──営業をやっていて良かったなと思う点はありますか?
西澤 まず社会人経験をしておいて良かったです。社会人としての基本的なスキルが身に付いた状態だったので、すぐにアナウンスの勉強に取り掛かることができました。また営業先が芸能事務所やタレントの方だったので、そこの繋がりがあったのもコミュニケーションの部分などで助かってます。
瀧山 私と藤田さんは西澤さんと違って入社時からアナウンサー職なので、基本的なパソコンの作業なども分からないことが多いんです。外部の方とのやり取りをするための文書を西澤さんに確認してもらったら100%の答えが返ってきます。
藤田 礼儀が全て身についているので、社会人として尊敬しています。
──瀧山さんは本誌(『月刊ENTAME』)とも縁の深いNMB48に所属していたんですよね。
瀧山 そうです。高校2年生のときに、それこそ表紙(本誌7月号)を飾っている村瀬紗英さんと同期でした。中学生のときからAKB48が大好きで、定期公演もライブも握手会も写メ会も行くような、がっつりオタクで、プライベートでもメンバーに会いたいという思いから2期生としてNMB48に入りました(笑)。
──グループを卒業した理由というのは?
瀧山 進路を考える時期に、グループ活動を続けるか迷ったんです。
──そもそもプライベートで会えた時点で夢は叶っていますしね(笑)。
瀧山 そうなんですけどね(笑)。でもアイドル活動がすごく楽しかったので、辞めたくない気持ちもありました。それで大学に進学して、しばらくしてから事務所に所属してラジオのパーソナリティーやテレビのアシスタントなどをしていました。NMB48の同期が『紅白』や『Mステ』などに出ている姿を見ると、また表舞台に立ちたいなという気持ちが芽生えたんです。ただ就職活動はちゃんとしようと考えていたので、そこに影響がない範囲でタレントのお仕事をしていました。
──そこからアナウンサーを目指したきっかけは?
瀧山 アナウンサーになりたい気持ちもあったんですけど、元アイドルですし、絶対になれないという諦めがあったんです。ただラジオのパーソナリティーとして毎日のようにスポーツ選手を取材している中で、自分の言葉でスポーツ選手の努力や活躍を伝えられる職業はアナウンサーしかないと思ったんです。一方で大学が文学部だったので日本語に携わる仕事をしたい気持ちもありました。それで大学2年生からアナウンススクールに通い始めて、今の仕事に就きました。
──タレント活動が今の仕事に役立っているところはありますか?
瀧山 人前に出ることやカメラの前に立つことが楽しいと思えるのはアイドル活動を経験しているからですね。あと辛いことがあっても耐えられる強い精神力が培われたのもアイドル時代があったからです。
西澤 入社した頃から見た目が仕上がっているなと感じました(笑)。今もそれは思ってますけど、それはアイドル経験があったのも大きいんでしょうね。
藤田 瀧山さんは最近、TikTokにいろいろ投稿しているんですけど踊りが上手くて、さすが元アイドルだなと思います。
瀧山 周りの勧めもあって始めたんですけど、AbemaTVに入ってアイドル時代の過去を消す必要もないし、元アイドルだからこそできることがあるのは自分の強みなのかなと思います。そうやって吹っ切れたのは最近のことですけどね。
──藤田さんもモデルなどの活動をしていたんですよね?
藤田 学生時代にスカウトを受けてモデル活動をしていたんですけど、そういうお仕事を見ていた母から「アナウンサースクールに通ってみたら?」と言われて通い始めたんです。そこで学生キャスターに選んでいただいて、ネット番組やイベントなどに出演させていただくうちに、「アナウンサーって素敵なお仕事だな」と思うようになって、アナウンサー試験を受けました。流されるままに生きてきたところがあるので、お2人に比べたら恥ずかしい限りですけど……。
──様々な経験が今の仕事に生きているのはどういうところですか?
藤田 好奇心旺盛になりましたし、求められていることを全力で頑張ろうという姿勢も身に付きました。
西澤 藤田さんは小さなことにも気を配れるんですよ。
瀧山 素直な性格で、思ったことは隠さず言ってくれるので同期として助かってます。
──アナウンサーになって苦労している点は?
西澤 アナウンサーの先輩がいないことですね。他の局ならテレビに出演する前に直属の先輩方の姿を見て学ぶことができると思うんですけど、それが私たちにはなかったんです。AbemaTV自体が新しいサービスなので、私たち自身も試行錯誤を繰り返してきました。やっと最近になってアナウンス室に基盤ができてきたのかなと思います。
瀧山 私と藤田さんは新卒で入ったので、アナウンサーとしてだけではなく社会人としてもひよっこだったので、本当に何をしていいのか分からなかったんです。ただがむしゃらにアナウンスレッスンに取り組んでいた時期はきつかったときもありましたが、今は模索しながらもお仕事が増えてきて楽しむ余裕もできてきました。
西澤 そもそもサイバーエージェントがそういう会社で、自分たちで探りながら新しいものを作っていこうというのがポリシーでもある気がしていて。手探りをしながら1番良い形を求めている段階なので、それを楽しみながらできていますね。
──共演者で特に勉強になった方は誰ですか?
西澤 『チャンスの時間』で共演させていただいている千鳥さんです。アナウンサーになって初めてのレギュラー番組で、芸人さんとの距離感やアナウンサーとしての立ち位置は、お2人と接しながら学んでいます。
瀧山 制作業務のお手伝いをしていたときに担当したのが『矢口真理の火曜The NIGHT』で、そこで毎週2時間に渡って矢口さんのMCを間近で見て、すごく勉強になりました。細かい部分で言うと、CMに入る5秒前に、CM明けも絶対に見たくなるような一言を瞬時におっしゃるんです。すごく気さくな方で、番組がない日でもスタッフを飲みに誘ってくださるんですよ。矢口さんのように愛される方が、ずっと芸能界に残っていくんだなと思いました。
藤田 『Abemaミッドナイト競輪』で共演することの多いパンサーの向井慧さんです。スタッフさんが求めているであろう発言をいつも的確にされていて、トークの回しの技術も素晴らしい。行動も伴っていて、本番中に5千円で75万円を当てたことがあるんです。それは芸能人としての才能もあると思いますが、ちゃんと番組に向き合って研究されているからだと思います。
──最後にAbemaTVならではの良さはどこにあると思いますか?
西澤 移動中でも観られることと、チャンネル数が多くて多彩なジャンルを網羅しているところです。
藤田 いろんなチャンネルがあって、誰でも引っかかる番組があると思うので、地上波よりも自分の興味に当てはめやすいと思います。
瀧山 視聴者との距離が近くてSNSのコメントをダイレクトにいただけるのは貴重ですし、私たちの成長にも繋がっています。
▽瀧山あかね(たきやま・あかね)
1994年5月10日生まれ、兵庫県出身。
▽西澤由夏(にしざわ・ゆか)
1993年8月12日生まれ、埼玉県出身。学生時代にキャスターやレポーター、ミス中央大学としての活動を行い、卒業後にサイバーエージェントに入社。後にAbemaTV専属アナウンサーに。現在は『チャンスの時間』(火曜 24時~)などに出演中。
▽藤田かんな(ふじた・かんな)
1994年5月18日生まれ、埼玉県出身。大学時代にモデルやキャスターとしての活動を行い、2018年4月からAbemaTV専属アナウンサー。現在は『WinTicket ミッドナイト競輪』(夜20時半~)などに出演中。