俳優・横浜流星の躍進が著しい。“若手イケメン俳優”として台頭してきた彼が、今や卓越した演技力をもつ実力派俳優として名を馳せている。
彼に転機が訪れたのは、いつ頃のことなのだろうか。

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現在の横浜の演技力をはっきりと証明したのが、4月から公開されている映画『ヴィレッジ』だ。

劇中では黒木華中村獅童といった実力派のキャストに囲まれつつ、閉ざされた村で生きる主人公・片山優を怪演。何もかも諦めたような彼の虚ろな瞳には、多くの人が圧倒されたはずだ。

その迫力は各界の著名人にも伝わったようで、俳優の藤原竜也は「藤井監督の熱い思いに呼応した、横浜流星くんをはじめとする俳優の皆さんに魅せられました」とコメント。ほかにも多数の俳優や映画ライターたちが、横浜の演技力に舌を巻いている。

そんな彼の役者人生を振り返ると、まず2011年に『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系)でドラマデビュー。深田恭子主演の『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)で一躍有名となり、瞬く間にスターダムへと駆け上がったイメージだ。

しかし当時はまだ「若手イケメン俳優」の認識が強く、演技力というより彼本人のカッコ良さが注目を集めていた印象が強い。大きな変化があったと思われるのは、恐らく2022年頃だろう。

というのも同年に放送された紀行バラエティ番組『アナザースカイ』(日本テレビ系)で、横浜自ら俳優人生の転換期について語ったことがある。

当時、俳優歴11年を迎えた横浜は「本当に分岐点にいるのかなって思います」と切り出し、「自分はそんなこと思って無いからいつも違和感を感じるんですけど、『若手イケメン俳優』みたいな……。
(中略)ありがたいことですけど、いつまでもそこに居られないなっていう……」と胸の内を吐露。

続けて「ちゃんと映画人として認めてもらう、生きていく上では考えていかないといけないなってところに来ていると思います」と力強く語っていた。

確かにそれまで横浜が演じてきた役柄は、クールでカッコ良く、女性にモテそうなキャラクターが多かった。そんなイメージを打ち砕いた2022年の出演作品といえば、映画『流浪の月』が真っ先に思いつく。

同作で彼が演じていたのは、主人公の恋人・中瀬亮。一見、非の打ち所がない上場企業のエリート社員なのだが、物語が進むにつれて彼の異常性がどんどん湧き出してくる。

『流浪の月』での横浜はもはや嫌悪感ある存在でしかなく、今まで彼の役どころに色めき立っていた女性たちも「さすがにこんな男は嫌だ」と心から思ったのではないだろうか。

現に同作が公開される前と後では、インスタグラムのフォロワーが約3万人減ったそうだ。それは多くの人が彼の演技をリアルに感じた証拠であり、横浜本人も「役者冥利に尽きる」と映画のティーチインで語っていた。

そしてここから彼の演技の幅は広がっていったように感じる。映画『アキラとあきら』では冷静沈着でありながら内なる闘志を秘めた銀行員を演じ、2022年10月に公開された『線は、僕を描く』では水墨画に魅せられた悲しき過去を持つ青年を熱演。

いずれも難しい役柄でありながらも、ネット上には彼の演技力を称賛する声で溢れていた。


作品を重ねるごとに俳優としての輝きを増す横浜。2025年には大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)で主演を務めるが、同作が放送される頃には、今以上にステップアップした“俳優・横浜流星”を見せてくれるに違いない。

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