【写真】あのスパイダーマンも登場、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』場面写真【4点】
このシリーズは、マーベルのコミックライター、ダン・スロットによって2014年に出版された「スパイダーバース」が下敷きとなっていて、とにかく様々な世界のスパイダーマンが集結するイベントコミックであり、そこには日本のコミックボンボンで連載されていた「スパイダーマンJ」や戦隊ヒーローの基礎を作ったといわれる東映版「スパイダーマン」(1978)なども登場する。
映画版の前作でも様々な世界(マルチバース)から、複数のスパイダーマンが現れるが、今作では前作を圧倒的に上回る数のスパイダーマンが登場することになる。前作のポストクレジットに登場した「スパイダーマン2099」をはじめ、こちらも人気キャラクターの「スパイダー・パンク」、そして実写版のサム・ライミ版「スパイダーマン」シリーズや『アメイジング・スパイダーマン』(2012)などの映像も使用されている。
その中でも注目してもらいたいのは、「スパイダーマン・インディア」である。スパイダーマン・インディアとは、2004年にインドで出版された短編コミックシリーズであり、のちにアメリカにも逆輸入された作品である。2023年6月には約19年ぶりにスパイダーマン・インディアを主人公とした新作短編コミックが出版され、こちらも話題となっている。
実はインドの漫画というのは、日本のように週刊誌タイプではなく、アメコミと同じリーフタイプ、またはTPB(Trade Paperback)というスタイルで出版されており、マーベルやDCのコミックも一定数流通している。スパイダーマンは人気コンテンツであり、子どもから大人まで、誰もが知る海外キャラクターだ。
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の中では、新たな設定になっており、原作とは異なるのだが、今回初登場するスパイダーマンの中でもかなり重要なキャラクターとして設定されており、活躍シーンも長尺で描かれているし、すでに続編『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』への登場も決定している。
ちなみにインドでは、10言語バージョンが公開されている。これはインド国内の一般的な娯楽作よりもスクリーン数が多いほどで、ヒンディー、パンジャブ語版では、スパイダーマン・インディアの吹替えを人気クリケット選手のシャブマン・ギルが務めるなど、プロモーションにも力が入っている。
中国が新型コロナのパンデミック以降、マーベル作品の公開を規制していたこともあって、マーベルは中国市場を当てにできなくなり、その代わりにインド市場に流れるという現象が起きていたことも要因としてある。
またDisney+で配信中の『ミズ・マーベル』では、主人公がパキスタン系アメリカ人という設定のため、共通娯楽としてインド映画ネタが多く盛り込まれており、『Dil Bole Hadippa!』(2009)の作中曲「Hadippa」や『Hum Aapke Hain Koun..!』(1994)の「Joote De Do Paise Le Lo」といったインド映画音楽が多数使用されている。
インドではDisney+HotstarとしてDisney+内でオリジナル作品や既存作品も含め、大量のインド映画やドラマが視聴できることからも、急速にマーベルとインドの関係性が深まっており、今作でのスパイダーマン・インディアの活躍がさらにそれを物語っている。
インド国内の映画ランキングではマーベル作品が常連となっており、今年の3月には、ムンバイで行われた、芸術施設The Nita Mukesh Ambani Cultural Centre (NMACC)のオープニングパーティにMCU版「スパイダーマン」シリーズの主演を務めるトム・ホランドとゼンデイヤが招かれるなど、多方面からも注目が集まっており、今後もインド国内でアメコミ熱は過熱するだうろ。
もちろん『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の注目すべき点は「スパイダーマン・インディア」だけではない。
物凄い量のマニアックな小ネタが敷き詰められているのも大きな魅力といえる。例えば『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)に出演していたドナルド・グローヴァーが実写の姿のある役で再登場するのだが、原作を知っているとかなりのサプライズであることがわかるはずだ。
一度観ただけでは、ネタを拾いきれないほどの情報量MAXな映画であることからも複数回の鑑賞をおすすめしたい。
【ストーリー】
ピーター・パーカー亡きあと、スパイダーマンを継承した高校生マイルス・モラレス。マルチバースを自由に行き来できるようになった世界で、彼はともに戦ったグウェン・ステイシーと再会し、別の次元へ旅立つ。そこで出会ったのは、様々なユニバースから選び抜かれたスパイダーマンたち=スパイダーピープルだった。そしてマイルスは、かつてのスパイダーマンがみな受け入れてきた哀しき定めを知る。それは、この世界と自分の愛する人を同時には救えないということ。
【クレジット】
原題 『SPIDER-MAN: ACROSS THE SPIDER-VERSE』
監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン
脚本:フィル・ロード&クリストファー・ミラー、デヴィッド・キャラハム
声優:シャメイク・ムーア、ヘイリー・スタインフェルド、ジェイク・ジョンソン、イッサ・レイ、ジェイソン・シュワルツマン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ルナ・ローレン・ベレス、ヨーマ・タコンヌ、オスカー・アイザックほか
日本語吹替版声優:小野賢章、悠木碧、宮野真守、関智一ほか
日本語吹替版主題歌:LiSA 「REALiZE」
オフィシャルサイト:https://www.spider-verse.jp
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6月16日(金)全国の映画館で公開
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