──桜エビ~ずは、昨年6月から「12カ月連続新曲発表」と題した企画をスタートし、そこで発表した『リンドバーグ』、『灼熱とアイスクリーム』が昨年の「アイドル楽曲大賞」のインディーズ部門で上位に入るなど、今やハイセンスな楽曲を歌うグループとして高い評価を受けています。この現状、どう思います?
芹澤 うれしい。楽曲を通じて、やっと私たちに気づいてもらったと思うんですよ。
川瀬 これまで、名前の印象からか「魚の歌を歌うグループ」だと、思われることが多かったもんね(笑)。
村星 魚曲、1曲もないのに(笑)。
水春 まず正直、「桜エビ~ず」っていう名前、ダサイじゃないですか。
──自分たちで言いますか(笑)!
水春 いやぁ、私立恵比寿中学さんの妹分的存在として活動したいから、この名前なんですが、ダサいのは事実ですよ(笑)。それに、この名前を聞いても、どんなグループか、あまり想像ができないと思うんです。もしかしたらいろんなアイドル好きの方でも「変な名前。好きじゃないかも」と思われていて、避けている方もいるんじゃないかなってくらい。だから曲を通して僕たちのことを知ってもらえる機会が増えた今、名前で誤解しないでほしいと、ここで伝えておきます。
──そもそもみなさんは、先ほど出たように、2015年に「私立恵比寿中学の研究生ユニット」として誕生したグループです。将来的にエビ中への転入も視野に入れた存在として、様々な活動を展開していました。
水春 はい。活動開始当初の僕たちは、エビ中さんを目指して、エビ中さんのマネっこをしながら、ステージ経験を積んでいった感じでした。
村星 たくさんエビ中さんの楽曲をカバーしながら活動していました。
川瀬 ただ、(マネージャーの)藤井校長がいろいろな経験を積ませたいからと、MC強化のためにSHOWROOM番組を始めたり、ライブ中にお芝居やコントをやったりして、歌以外の部分に力を入れたりしたこともあって。
──それが2017年6月に急に「カッコイイ路線」を掲げ、衣装をこれまでの純白から、モノトーン調で統一するなど、コンセプトを変えながら活動を繰り広げてきました。
水春 最初の頃に「フレッシュ」というコンセプトがあったんですけど、すぐに消えて(笑)。
川瀬 だいたい衣装が変わったときが、コンセプトの変わり目(笑)。
水春 校長とスタッフさんの好みと気分で、やることが変わるグループなんですよ、きっと。
桜井 まんまと大人のいいように使われてる!
──言い方(笑)! ただ、正直言うと、デビュー直後から「エビ中に追加メンバーはいらない!」というファミリー(エビ中ファンの総称)から、厳しい声を浴びる日々が続いていました。
水春 そうでしたね(苦笑)。
川瀬 しかも「研究生/妹分」と言っておきながら、対バンライブが全然なくて。エビ中さんと絡むことがほぼゼロのまま「エビ中の妹分的存在」として活動をしていて。
水春 これだけ反対されながら活動するって、正直僕たちって、何? という気持ちはありました。
川瀬 お披露目早々から、こんな仕打ちを受けるって相当ですよ(苦笑)。
──2017年頃はその苦悩をブログに綴るなど、心身共に苦労されているようでした。
水春 それでも腐ったりしなかったのは、エビ中さんが好きで、何より桜エビ~ずで成功して見返したかったからなんですよね。
──辛酸を舐める時間が続く中、昨年6月からの「12カ月連続新曲発表」で空気が変わりました。
水春 発表した頃は知名度も全然ないから「12カ月連続で新曲をリリースします!」と宣言しても注目されないし、「珍しい試みをするアイドルがいます!」と特集されることもなくて。本当にシレッと始まり、毎月レコーディングして、振り入れして……の繰り返し。僕たちも、あまりにも流れが早いから、1曲に対する熱や愛が込められた気がしなくて「この企画、失敗なんじゃない?」と思っていました(苦笑)。
一同 アハハ(笑)。
水春 それが最初に発表した『リンドバーグ』が、多くの方から反響をいただけて。その後の『灼熱と~』からも、本当にいい曲ばかりをいただけて。それからもう余計なことは一切考えず、全ての曲を楽しもうと思えるようになりました。
桜井 全曲カラーが違うので、例えば30分というライブの時間の中に、全然違う色を出せるようになったのはすごく強みになりました。グループの幅を広げてくれたんですよね。
芹澤 この連続新曲から、何というか……桜エビ~ずが「オシャレ路線」になった!
──アイドルファン以外にも刺さったな、という実感はありますか?
一同 あります。
村星 桜エビ~ず、初めまして! の方が最近増えてきたのですが、特にバンド好きな方や音楽好きの方がものすごく増えた気がします。
芹澤 握手会で、それまで聞いたことがない音楽用語を話してくる方が増えたね。「あれ、スカだよね」とか。
川瀬 「あの曲のジャンル、○○だね」と言われるたびに、「そうなんだ!」としか返せないけどね(笑)。
水春 藤井校長からよく、「敵は社外」と言われるんですよ。今の桜エビ~ずは、スターダストの中だけでなく、他のアイドルさんやアーティストさんが好きな方にも刺さってほしいという願いが込められていて。
一同 アハハ(笑)。
川瀬 同意を求められた(笑)。
桜井 でも、それぐらいの存在になれたらうれしいね。
──最近では「エビ中の妹分的存在」という自己紹介もあまり聞かれなくなったように思います。
芹澤 しばらくは「エビ中さんの妹分的存在」と言っていないと不安でした。誰? って思われている気がして。
水春 それが今は、12カ月連続新曲のおかげで、「エビ中さんの妹分的存在です!」と言っても「えっ、エビ中要素どこ!?」とツッコまれるぐらいに、僕たちらしさが出始めたと思います。僕たち、エビ中さんに甘えずに、独り立ちできたんだなぁって。
茜 ファンの方からはよく「下積み時代が長いよね」と言われて。4年経って、やっと自分たちが進むべき道が分かってきた気がして……(声が滲み始める)
川瀬 大丈夫?
茜 昔を思い出したら、泣きそうになって……あぁ、もうダメだぁ~(涙が止まらない)。ずっと「妹分とか勝手に語るな」と、言われてきて本当に悔しくて。
水春 良い感じ、多すぎ(笑)。けど本当に良い感じだと思うよ。
茜 (涙を拭って)エビ中さんの妹分的存在だから、じゃなくて「私たち、桜エビ~ずなんだよ!」と、胸張って言い続けたいんです!
──昨年7月開催のエビ中のツアーで、オープニングアクトを務めた際に、ファミリーも大盛り上がりを見せました。ついにみなさんの実力で、認めさせたんだ! と感動しました。
水春 最近、特典会で「昔は嫌いだったけど、今は好き」と言ってくれる方が増えて。そのとき「ヨッシャ~!!」ってなった。
一同 アハハ(笑)。
水春 ありがとう! とかうれしいとかじゃなくて、「ヨッシャ~!!」。どうだ、見たか! 桜エビ~ず、すごいんだぞ!! と、分かってもらえたときに、やっと桜エビ~ずとして独り立ちできた気分になりました。
川瀬 逆境からのスタートだったからこそ、強くなれた部分もあると思うんです。
芹澤 もう……免疫つけてもらいました。精神、鍛えられました!
──今はインディーズでの活動です。メジャーデビューをしたい! という思いのある方は?
(芹澤、川瀬、村星、桜井が挙手)
芹澤 メジャーデビューすればもっと幅広く活動できると思うんですよ。
川瀬 より多くのプロの方とも一緒にお仕事する機会が増えると思うし。今までできなかったことや考えつかなかったことが一気にできるようになる気がするよね。
村星 今まで以上に桜エビ~ずの方向性がキチンと定まると思うんです。
桜井 デビュー、したいですよ。何より響きが良いじゃないですか、メジャーって(笑)。私は「すぐにしたい!」と、そこまで焦ってないんですけど、どんどん桜エビ~ずが大きくなるなら、いいかもと思ってる。
茜 私、この世界を全く知らないで活動を始めたので、活動をすれば「メジャーデビューとイヤーモニターはセットでついてくる」と思っていたんです。ほら、イヤモニ、カッコイイじゃないですか、触る仕草がアーティスト! って感じがして(笑)。けど、活動していくうちに、イヤモニが簡単にもらえるものではないと知って……って何の話でしたっけ?
──メジャーデビューをしたいか、どうかという話です(笑)。
茜 そうでした(笑)! そう、活動をしていくうちに、レコード会社さんによってカラーが違うんだというのも分かって。メジャーに行けたとして、桜エビ~ずの雰囲気が合わなかった途端、水の泡のように消えていくかもと思うと、怖いなぁと。
水春 今の空気を壊したくない。なので、桜エビ~ずをもっと良くしたい! という勇気を持ったレコード会社さんなら、来い! って気持ちです。
川瀬 謎の上から目線(笑)。
芹澤 それだと、どこも「……」で終わっちゃう(笑)。
水春 まぁ、今の段階だとどこも声をかけてくれないね(笑)。けど、メジャーデビュー、させてあげますよっていう目線なら……。
茜 嫌だぁ!
水春 だよね。こっちだってプライド持って活動してますから!
桜井 活動5年目なんだぞって。
水春 ここまできて妥協するのは絶対に嫌ですから。
──本当に今が充実している証拠ですね。この勢いに乗る形、9月22日には過去最大規模のワンマンライブを新宿BLAZEで開催します。
芹澤 どうなるか想像つかない……。
村星 怖いなぁ。
川瀬 私は、むしろ楽しみしかない。この前「GIG TAKAHASHI」というイベントでトリとして、BLAZEに立ったのですが、ワンマン成功するかも! という光景が見えた気がします。
水春 うん。主催者さんが「今の桜エビ~ずなら、トリを任せられる」と僕たちにすごく信頼を置いてくださって。それって、すごいことじゃないですか。その期待を背負って立ったトリでのステージも、アンコールが起こるぐらい盛り上がって。まだまだ僕たちの可能性、どこまでもいけそうだ! と思ってしまったんですよ。なのでワンマンも、かかってこい! って気持ちです。
──その意気やよし! 9月のワンマンが大成功を収められれば、桜井さんが常々ブログに綴っている夢の場所、日本青年館ホールでのライブも現実味を帯びてきますね。
桜井 やりたい! 正直言っちゃいます。今なら、埋められるんじゃないか……って思ってます。
水春 お! 強気発言!!
桜井 今の私たちを見ていると、謎の自信が湧いてくるんですよ! 絶対に埋まると思う……半分ぐらいは。
茜 急に弱気になった(笑)。
桜井 2階席を全部関係者席にすれば、何とかなるよね(笑)。
一同 アハハ(爆笑)。
川瀬 もう、全員の家族親戚呼ばないとダメだ、それは(笑)。
水春 まずは9月に向けて、今やれることを全力でやろう(笑)。その先のことは、これからの僕らの頑張り次第だから!
▽茜空(あかね・そら)
2003年3月13日生まれ、神奈川県出身。160センチ。「桜エビ~ずの好きな曲は『キラキラ』。私の中で一番タイプ。オチサビが好きすぎて勝手にアレンジしたら本番で使ってもらえました!」
▽川瀬あやめ(かわせ・あやめ)
2001年10月25日生まれ、神奈川県出身。160センチ。「桜エビ~ずの好きな曲は『まわるまわるまわる』。裏打ちのリズムが好きで、特にインストver.はハーモニーとリズムが堪能できて最高」
▽桜井美里(さくらい・みさと)
2003年4月18日生まれ、埼玉県出身。157センチ。「桜エビ~ずの好きな曲は『灼熱とアイスクリーム』。夏に汗かいて汗拭きシートで体拭いてプハァ~っていう気持ちを味わえる曲です」
▽芹澤もあ(せりざわ・もあ)
2006年1月18日生まれ、東京都出身。154センチ。「桜エビ~ずの好きな曲は『キラキラ』。間奏部分のコーラスで会場が一体になれて、自分が誰かを応援している気分にもなれてすごく好き」
▽水春(みずは)
1999年6月25日生まれ、栃木県出身。157センチ。「桜エビ~ずの好きな曲は『それは月曜日の9時のように』。一言で好き、好きすぎていろんなサイトからダウンロードして聴くぐらい」
▽村星りじゅ(むらほし・りじゅ)
2002年10月19日生まれ、埼玉県出身。165センチ。「桜エビ~ずの好きな曲は『リンドバーグ』。12カ月リリースの最初の曲で思い入れも深いですし、歌詞の世界観、いろんな音が鳴るところがタイプ」