7月17日にスタートし毎週(月)夜10時放送の『転職の魔王様』(カンテレ制作・フジテレビ系列)。額賀澪著の同名小説を原作にしたドラマで、転職業界の実態や知られざる裏側が垣間見える“お仕事物語”としても話題となっている。
ヒロイン・未谷千晴役で出演中の小芝風花に、作品の魅力や初共演となった主演の成田凌の印象に加え、プライベートの“困りごと”についても語ってもらった。

【写真】小芝風花の撮り下ろしカット&『転職の魔王様』ドラマカット【13点】

――今作で演じる千晴は、パワハラや激務で体調を崩してしまい、新卒入社した大手広告代理店を退職。初めての転職活動で、“最恐毒舌”の敏腕キャリアアドバイザー(以下、CA)と出会います。作品を通じて「転職業界って、こうなっているんだ」と、認識したことはありますか?

小芝 転職エージェントは人材を紹介した企業から紹介報酬をもらうビジネスで、求職者からは基本的にお金をもらわないシステムというのは、初めて知りました。なんとなく「相談に乗ってもらう側がお金を払う」イメージだったので、“根本的なところ”から理解した感じですね。

――転職業界の仕組みだけでなく、知られざる裏側といった部分も描かれる作品です。
転職エージェントやCAについて、印象が変わった部分もあるのでしょうか?

小芝 山口紗弥加さんが演じるCA・広沢絵里香さんは、前に勤めていた転職エージェントが利益優先だったことが「シェパードキャリア」に転職してきた理由だったり、前田公輝さん演じる横山潤也さんは、営業なので求職者より紹介先の企業ファーストな面があったりします。でも登場するCAが全員、親身に求職者に寄り添う人たちなので、印象が変わることは全然ないです。

――成田さん演じる主人公・来栖は敏腕ですが、千晴を「気持ち悪い社畜」と評するなど、心をえぐるような言葉を投げかける厳しいCAです。もしも小芝さん自身が求職者だったら、来栖に担当してほしいですか?

小芝 絶対に担当してほしいです!(笑)本当の性格をわかっているから…というのもありますが、キツイことを言っても来栖さんの言葉には愛があるんです。初対面であの対応は、嫌な感じにしか見えなくても、より良い選択ができるように、ちゃんと自分と向き合えるように、わざと悪役になってくれる人。

言われた時は傷つくし、自分自身の見たくない面と向き合わされて、すごく落ち込むと思います。
でも最終的には、自分が納得する形で、自分のやりたいことを見つけてくれる信頼感があるから、来栖さんにお願いしたいです。

――そんな絶対的な信頼を寄せる来栖を演じる成田さんとは、初共演です。成田さん本人の印象や、現場での様子は?

小芝 主演としての存在感がしっかりあって、現場に安定感や安心感を与えてくれる存在です。役柄としての来栖さんは強い人だけど、成田さん本人はとても柔らかな方で、すごく面倒見がいい人。私や年下のメンバーの世話を焼いてくれるほか、健康に関することが好きみたいで、いろいろと教えてくれます。それにアドバイスだけじゃなく、この前「こういう時に、お腹が痛くなる」という話になったら、「このアロマがいいよ」とわざわざ持って来てくれたとか…。
とっても優しい人で、来栖さんと同じように信頼感を覚えますね。

――来栖には“「飲食店選び」のセンサーが壊れている”というキャラ設定があり、おいしくない店ばかり選んでしまいます。同じような“困りごと”や、「このジャンルの自分の勘は、アテにならない」と思っていることはありますか?

小芝 左右の2択がダメですね。撮影スタジオなどでも、トイレを出た時に、右か左かの2択を“絶対”ってくらい間違って、元居た場所に戻るのにフロアをぐるっと一周することになるとか(笑)。車を運転しないせいか道を覚える感覚も全然なくて、行きに「右に曲がって、次に左に曲がった」としたら、帰る時にはもう「右? それとも左? どっち?」となってしまうんです。

――個人的にその感じ、すごくわかります。
方向感覚のセンサーが壊れていると、左右どちらから来たかわからなくなるので、来た道を戻れない…。

小芝 そうなりますよね!(笑)地図がないと、たどり着けない。でも地図を回しちゃうから、また右と左がわからなくなって…。地図アプリのある時代で、本当によかったです。スマホがないと、どこにも行けません。

ただ地図アプリも、行きたい場所を常に上に固定してくれれば迷わないんですけど、別の位置に表示されると「ここからは右なの? 左なの?」って…。
スマホを地図と同じように回すと、画面も動いちゃって「もう無理―!」ってなる時もあります(笑)。

――アプリ画面のことも、本当に共感しかないです(笑)。そんな迷子になりやすい小芝さんが今作で演じる千晴は、“キャリア迷子”ともいえる状況で初めての転職活動をします。

小芝 石田ゆり子さんが演じる私の叔母で、転職エージェント「シェパードキャリア」の社長でもある落合洋子さんのセリフに、「迷える羊を導けるのは、迷える羊だった人だと思わない?」というのがあるんです。

自分が同じ立場にいたからこそ、痛みがわかるし、そこを乗り越えてきたから、向き合える部分があると感じました。人って完璧じゃないから、悩みながら生きていて、それは来栖さんもそうだし、千晴にしても「仕事が見つかったら、悩みがなくなる」わけじゃなく、新たな仕事に対する悩みが出てくる…。
登場人物それぞれが、悩んだり、迷ったりする姿に人間味が感じられるし、多くの方に共感してもらえる作品になっていると思います。

――毎回さまざまな求職者が「シェパードキャリア」を訪れる、一話完結のストーリー展開も魅力の一つかと思いますが、全体を通しての注目ポイントも教えてください。

小芝 働いている職種や業界もですが、いろんなタイプの求職者がいて、抱えている事情や転職の動機もさまざまです。求職者が同じ業界の人で「わかる!」と思うことや、過去の自分の状況と「近いかも」と感じる人が登場して、考えさせられる面もあるかもしれません。私が演じる千晴を含めて、「悩みなく生きている人なんていないから、今、悩んでいても、焦らなくていい」と感じられる。一緒に考えて、前を向けるきっかけになるようなドラマじゃないかと思います。

全体を通しての見どころは、来栖さんが最初は本当に機械のような、感情なんてないみたいな“魔王”なんですけど、回が進むごとに人間らしい部分が見えてきます。表に見えているだけが、その人の全てじゃない。実は悩みや迷いを抱えている来栖さんの人間味が増してくることで、千晴との関係性も変化していきます。セリフといった言葉では表現されない感情の部分など、お芝居の面でも楽しんでいただけると思うので、ぜひ見届けてもらいたいですね。

『転職の魔王様』
出演:成田凌、小芝風花、石田ゆり子、山口紗弥加、藤原大祐、おいでやす小田、前田公輝 
毎週月曜夜10時(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
公式HP: https://www.ktv.jp/tenshokumao/
公式Twitter: https://twitter.com/tenshokumao   @tenshokumao
公式Instagram:https://www.instagram.com/tenshokumao/ @tenshokumao

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