TBS系「日曜劇場」では、これまで様々な話題作が放送されてきた。7月16日から放送開始した『VIVANT』(TBS系)は、スケールの大きさや考察ポイントの多さが特徴的で、テレビドラマの常識を覆す作品になっている。
主演を務める堺雅人のほか、阿部寛二階堂ふみ松坂桃李役所広司らキャストの豪華さも各所で話題を呼んでいる。

【写真】堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、役所広司ら『VIVANT』豪華キャスト陣

本作は、主人公・乃木憂助(堺雅人)が勤務する丸菱商事にて、1億ドルの誤送金事件が発生する場面から始まる。誤送金先は乃木が担当するバルカ共和国の企業で、状況的に乃木が事件の犯人と疑われてしまう。その疑惑を晴らし1億ドルを取り戻すため、一人でバルカ共和国に渡航する。

調査したところ、事件にテロリストが関係していることが判明。居場所を突き止めるが、テロリストのアル=ザイールは爆弾で自決する。乃木は爆破事件の重要参考人として警察に追われるが、警視庁公安部の野崎守(阿部寛)、医師の柚木薫(二階堂ふみ)と共に何とか日本へ帰国する。そして、誤送金事件の真犯人を突き止めようとするところで第3話が終了。その続きの第4話は、8月6日に放送された。

第4話では誤送金事件が完結し、「別班」の正体が明らかになった。別班とは、自衛隊の秘密情報部隊のこと。警察には対処できない事件を水面下で解決する、いわばダークヒーローのような存在である。


まず、誤送金事件の実行犯は社内の財務部・太田梨歩(飯沼愛)で、太田に指示を出していたのは乃木の同期・山本巧(迫田孝也)であることが分かった。山本は日本に不満を抱いており、テロ組織「テント」の一員”モニター”だったのである。山本は公安部に尾行されていたが、途中で仲間だと名乗る黒須駿(松坂桃李)に助けられる。しかし、黒須の本当の正体は「別班」で、その先輩として登場したのが乃木だった。

なんと乃木は別班の一員であり、別班の任務を遂行するために、わざと社内で出世しないよう仕事ができないフリをしていたのだ。本当の正体を明かした乃木は、テロ組織の一員である山本を橋から落として消した…というのが、放送された第4話までのあらすじ。急展開を迎えた第4話の放送終了後、SNSでは多くの視聴者が感想を述べて盛り上がっていた。

本作は、日本だけでなくモンゴルでもロケが敢行された。テロリストによる爆破事件、広大な砂漠でのラクダとの長旅、乃木らと警察のカーチェイスなど、日本のテレビドラマの常識を覆す壮大なスケールで物語が描かれている。

架空の国「バルカ共和国」にあるテロ組織の標的が日本で、テロから日本を守る「別班」の一員が主人公の乃木。しかも乃木は多重人格で、普段はドジな人間だが、別人格「F」に切り替わった時はとてつもなく頭が切れる…堺雅人によるキレキレの力強い演技は、記憶に残る名作『半沢直樹』を彷彿とさせる。

また、本作では「敵か味方か、味方か敵か。」という謳い文句が使われている。
その言葉の通り、誰が敵で味方なのか分からないのが魅力的だ。例えば乃木の同期・山本は、入社以来ずっと乃木と仲が良かった。第3話では乃木の手助けをするなど、社内でも数少ない味方のはずだったが、第4話でテロ組織の一員であることが判明した。さらに、黒須は最初テロ組織の一員と名乗り山本を助けたが、本当は別班で敵だった。

このように、本作では誰が敵で味方か分からない。主人公の乃木が別班であることは分かったが、公安部の野崎や医師の柚木が正体を隠している可能性も十分に秘めている。専務の長野利彦(小日向文世)も怪しいし、これまで乃木たちを助けてきたドラム(富栄ドラム)が何者なのかもまだ分からない。序盤で少しだけ登場した役所広司や二宮和也は、どのように物語に絡んでくるのか。そして、乃木の本当の敵は誰なのか。今後の展開に期待が膨らむ。

【あわせて読む】『VIVANT』“漫画的リアリティ”と“ツッコミどころのあるユルさ”が作り出す視聴者との共犯関係
編集部おすすめ