【写真】美女戦士ケイト・ロータスの撮り下ろしカット【7点】
「地元の友達とかは『すごいね。格闘家になったんだ』とか連絡をくれたんですけど、ネットでは容姿についてディスってくる人も結構いました。美人とか可愛いって言われる事もありますが、結局は個人の主観じゃないですか。見た目だけで中身の空っぽな人物像にされたこともたくさんあります。
あとは実力以上に騒がれたことで、お母さんやお兄ちゃんからは『勘違いするなよ』って警告されました。たしかに今思えば、調子に乗っていたところがあったんでしょうね。自分では真剣に練習しているつもりだったけど、たとえば夜練だけじゃなくて朝練もできたんじゃないかという気もするし……」
当時のケイトにはスポンサーもおらず、仕事を続けながらの選手生活だった。実家暮らしとはいえ、光熱費は半額は払うのが母との約束。本人は「甘えがあった」と振り返るが、限られた環境で可能なことを精一杯やっていたのは間違いないだろう。こうして強さを貪欲に追及する中、出稽古で訪れた東京のジム・K-Clann(代表・横田一則)で大きなショックを受ける。
「一昨年の夏です。
K-Clannの中でも衝撃的だったのは、RIZINで無敗ロードを突き進む伊澤星花の圧倒的な実力だった。伊澤とケイトは同じ年であることに加え、MMAを始めた時期もほぼ一緒。そのため、ことあるごとに周囲からは比べられたという。なんだったら当時はケイトのほうがメディアに露出していたくらいだが、ジムでスパーリングをすればボロ雑巾のようにやられてしまう。惨めだった。プライドは木っ端微塵にへし折られた。
「今は星花さんのことを大尊敬しているし、セコンドにもついてもらって頭が上がらない存在ですけど、その頃は側にいるだけで緊張しました(笑)。星花さんは性格もいいから、非の打ち所がないんですよね。何ひとつとして私は勝てるものがなかった。自分で望んで来たK-Clannですが、最初の半年くらいは毎日泣いていましたよ。
お母さんにも泣きながら電話して、『周りからはルックスだけだって言われるし、ジムの人のレベルに追いつかない。つらいことしかない』って泣いていました。そうしたら返された言葉が、『楽して生きてきたのは誰ですか? アナタは既にそんなに強かったの(笑)?』ってこと。たしかに私が遊び惚けている間も、星花さんは柔道とレスリングにひたすら打ち込んでいたわけで。それを指摘されたら、ぐうの音も出ないですよね。比べること自体が失礼に値すると言いますか。
なにかそこで吹っ切れたんですよ。星花さんと比べられることもそうですけど、アンチも気にならなくなりました。自分は自分だし、結局は自分のやるべきことを粛々とやっていくしかない。メンタルが決定的に強くなりました」
練習環境の変化もあり、MMAを始めた3年前に比べると格段に自分の実力が上がっていることを実感している。特に打撃は距離感、スピード、パウンド、ディフェンス力など全方位がレベルアップしていると周囲も認めるほどで、昔の自分の試合映像を観ると下手すぎていたたまれなくなるそうだ。
「やっぱり格闘技で大事なのは精神力だと思うんですよね。
私自身はDEEP JEWELSで勝ったり負けたりの成績ですけど、やられるのはいつもレスラーや柔術の選手。『タックルに来られたら、どうしよう?』と不安な気持ちの中で試合していたら、成績的にも伸び悩んでしまった。だから自分の武器である打撃を磨いて、もっと自分自身を信頼できるようになりたいです」
RIZINに出場したいという気持ちはある。だが、話題作りのためのエンタメ枠では出たくない。そのためには現在の主戦場であるDEEP JEWELSで勝ち続けるしかない。伊澤星花のように誰もが認める本格派の選手になりたいのだ。
「息抜きですか? う~ん、オフの日に飼っているワンコをドッグランに連れていくことくらいかな。
蓮の花のように、泥水をすすってでも美しく咲き誇りたいと前を見据えるケイト。その真価が本格的に問われるのは、これからとなる。
▼9月10日のDEEP JEWELS 42(東京・ニューピアホール)で須田萌里選手と対戦。
【あわせて読む】美女戦士ケイト・ロータスが格闘家になった理由「遊びばかり生活を見直すきっかけは母の病」