【前編はこちら】南キャン・しずちゃん、初の自叙伝に赤裸々な本音「山ちゃんが読んだらどう思うか気になる」
【写真】近年はアート活動も話題に、しずちゃんが描いた画「ボクシング」
昨年12月に俳優、佐藤達と結婚を発表したしずちゃん。本書には、出会いから新婚生活のエピソードまでたっぷりと綴られている。佐藤からの感想は?と尋ねると「面白かったと言ってくれました」と笑顔を見せた。
「私が昔、セミの抜け殻を集めている人を野性的だと感じて片思いをしていた話を書いたんですけど、その人がこの間誕生日やったんで『おめでとう』ってメッセージを送ったんです。その人は今ベトナムに住んでいるので、現地での写真を返事に送ってくれて。何気なくそれをスマホに保存したんですけど、あるとき旦那さんとスマホの写真をばーっと見てたときに『これ、誰?』って言われて(笑)。ちょっと口ごもってたら『あのセミの人?片思いの?』って言われたんですよね。
『私のエッセイ本を読んだから、私の過去の片思い歴とか全部わかるんや』みたいな。しかも、旦那さんに『写真、保存してるんだ』ってちょっと嫌な顔されたんですよ(笑)。過去の話を本にまとめると、こういう弊害もあるんやと思いました」
しずちゃん自身、結婚を機に変わったことはと尋ねると…。
「特にないですね。
芸人として、それは絶対オチにしたらあかんやつやと思うんで、そんな自分がちょっと嫌やなって思います。口には出さないけど、そんな発想が一瞬でも頭に浮かぶ自分、しょうもないなって。もっとほかのボケとかオチを考えなあかんのに、それしか出てこない自分なにこれ、ひどいなって思います(笑)」
相方・山ちゃんへの気持ちには少し変化があった。
「私が結婚したことで、身内感がさらに出てきたような気もします。家族っぽいつながりというか。そこまでしょっちゅう連絡する関係じゃないから、やっぱり“相方”なんですけどね。今は山ちゃんとは普通に何気ない話もしますし、すごく仲がいいです。昔やったら考えられなかったことですけど(笑)。奥さん(蒼井優)とも仲がいいので家にお邪魔して、山ちゃんも一緒にお茶することもありますね」
また、本書ではお笑い芸人としての熱い思いも吐露している。
「多分、山ちゃんと比べると私の方がお笑いに触れている時間が少ないのかなと。だからこそ、余計にライブをやりたいと思うのかもしれないですね。お笑い芸人なのにあまりお笑いに関わってないから、漫才をやって芸人になりたい(笑)。私の軸はやっぱり芸人なので。
2人で別々にいろいろなことをやっていたとしても、最終的には舞台に戻ってくるのが私たちのスタイルなのかなとも思います。新ネタをやるのも楽しいです。1発目はめちゃくちゃ緊張するけど、ウケたらやっぱりうれしいし。最近は昔できていなかった遊びのあるネタで、自由度の高いライブをできている気もしています」
最近は、南海キャンディーズのような男女コンビも増えてきているが「周りとの違いを考えることはあまりないですね」と話す。
「面白い男女コンビも多いですよね。それぞれがすき間を狙っているというか、今までと違うような男女コンビのパターンを狙っているような気がしますけど、私たちはあんまり他の人と違うところを狙っていこう、みたいなことは考えてなかったように思います。ちょっと上目線というか、かっこいい感じに聞こえちゃうけど(笑)。
自分たちがやりたい方向をやっているだけで、他と似てるからもっと変えなきゃあかん、みたいな考え方は全然なかったですね。もしかしたら山ちゃんは考えてるかもしれないですけど(笑)」
お笑い芸人としての自分を軸に、俳優やアートなどチャレンジを続けてきたしずちゃん。エッセイ本には、本格的に取り組んでいたボクシングについても思いを綴っているが、今後個人的に挑戦したいことがあるという。
「今年5月に初めて個展を開催させてもらったんですけど、もっと全国のいろいろな場所でできたらいいなと思っています。いろんな人に私の絵を見てもらって、感想を聞きたいです。この先、ボクシングみたいに本格的に挑戦できるものって、そうそうないと思うんですよね。試合に勝つか負けるか。そういうギリギリの気持ちを持てるものへの挑戦って。
でも、そこまでシビアなものじゃなくてもいいので、緊張して逃げ出したくなるくらいの場面はこれからの人生に、ちょこちょこあってほしいなと思います。芸人として初めてネタをやるときもそうやけど、めちゃくちゃ緊張して怖い。逃げたいって思うけど、それを乗り越えることで出会えるものもあると思うと楽しくもあって。
怖いことを避けて生きていきたい気持ちもあるけど、安心してできる仕事ばかりしてたらダメやなって。
取材・文/吉田光枝