【写真】赤の衣装を着こなした久間田琳加 撮り下ろし写真【5点】
──まず、今作での丹羽茜の印象はいかがでしたか。誰からも頼られる真面目な優等生だけど、本音を言えずマスクを着けて本当の自分を隠そうとしている役どころでした。
久間田 すごくリアルな女の子だなと感じました。10代の高校生時代って、もしかすると人生で一番、自分の本音が言えない時期かもと実体験からも思うんです。学校という狭い空間で周りに気を遣ってしまったり、周りの本音が気になる茜の気持ちは私もよく共感できました。
──今春大学を卒業した久間田さんですが、環境が変わった今はいかがですか。
久間田 学生時代ほどではないですが、「皆楽しんでいるかな」と余計な気遣いをしてしまうことはありますね。でも私1人でいるよりも、皆と感情や体験を共有した方がいいよねっていう思考で。とはいえトータルでは、ズバッと言いたいことをいえない茜の性格は大いに共感できたので、カメラが回っている時も自分の気持ちや感じ方を投影しやすかったと思います。
──等身大の感覚で茜を演じられたのでしょうか。
久間田 スクリーンの中の茜も、半分くらいは私自身が入っているかも。でも私は勉強は苦手でテスト勉強も義務感でやっていたようなもので、委員長を任されるようなキャラでは絶対になかったです(笑)。
──青磁の印象や、ダブル主演の白岩瑠姫さん(JO1)との間でのエピソードはありますか?
久間田 青磁はもう……私にないものばかりを持っていますね。自由奔放で人を引っ張っていく魅力があって、白岩さんとお芝居をしている間も目の前の青磁がまぶしく、うらやましく思えるくらいでした。ムードメーカーなところも青磁そっくりで、(白岩とは)少女マンガ好き同士だとわかって、一気に打ち解けるようになりました!
──お2人はどんな作品がお好きでしたか。
久間田 『アオハライド』が特に好きでした。お互い年齢も近いので、同世代直撃の作品の話になると盛り上がりました。この『夜きみ』の原作小説もキュンとした甘酸っぱさがあって、茜と青磁の関係がすごく濃く描写されています。初対面で茜は青磁に「お前のこと、大嫌い」と言われてしまうんですが、彼のような子ってクラスに1人はいるような気もするんですよね。
人の話を聞かないし学校も時々サボったりするけど、何だか気になるというか。彼の内面を知りたくなりますね。白岩さんは髪色もハイトーンで、役の時と素の時のギャップがほとんどなくて、休憩中でも青磁のままでいるようなたたずまいでした。
──青磁は茜とは正反対の自由で自分に正直な存在で、しかも絵も上手くて茜もそこに惹かれていきます。久間田さんは絵はいかがですか?
久間田 美術館などで観るのは好きなんですが描くのは全くダメで…青磁のように描く側でなかったことにちょっと安心してしまいました。白岩さんが練習を重ねてらして、作中の絵も本当に描いているので、青磁が絵を描くシーンは撮影後に見ると余計に素敵に思えました。
──監督は、美しい映像表現がファンの心をつかんできた酒井麻衣さんでした。
久間田 私は「明日カノ(明日、私は誰かのカノジョ)」がマンガから大好きで、酒井監督が手がけたドラマ版ももちろん観ていて、ドラマでの再現度の高さに衝撃を受けたばかりでした。いつか監督の作品に出演できたらなと思っていたところにこの『夜きみ』に出会えたんです。
青磁の「青磁色」と茜の「茜色」に空が染まる場面を撮るためにマジックアワーに撮影をしたりと、キャラクターへの愛があふれる現場になりました。真冬の未明に撮ったシーンでしたが、その分私も集中力を高めて臨めたので、全くつらくなく楽しかった思い出です。
──他に好きな場面はありますか?
久間田 茜の部屋も、天井が低くて秘密基地みたいで可愛い雰囲気が出ていて、演じていても自分だけの空間っていう感じがして好きでした。家の中の場面でも、部屋ごとに撮影場所を変えるくらいにこだわって撮っていったのですが、一貫してレトロ感があっておばあちゃんのお家にいるような懐かしさもありましたね。
それに茜と青磁がペンキを塗り合う場面もすごく綺麗で。
──昨年のドラマ『青春シンデレラ』に続いて、制服を着る役に縁がありました。
久間田 学生を卒業してから着られる制服って、尊いですね(笑)。俳優のお仕事を始めて「卒業してからの方が着る機会多いよ」ってよく言われていて、本当にその通りになりました。でも高校生の頃はすぐにでも脱ぎたいって思うくらい大人に憧れていて。実際大人になって、本当ならもう制服も着ることはない世代になったのですが、だからこそ尊く思えます。過ぎ去ったあの頃に戻れる、制服に縁がある役をいただけるのはありがたいです。
──これからも制服を着続けていたいですか?
久間田 今、22歳ですから……まだ3年くらいは着ていたいです! でももっと早くにオファーが来なくなったら、老けたってことですかね(笑)。まだまだ高校生が似合う役者でありつつ、制服が似合わなくなったら、その時が私にとってまた新しいステージに進んだということなのかもしれませんね。
【後編はこちら】久間田琳加「ラブストーリーはプライベートでも好き、俳優として関われるのは幸せなこと」
▽久間田 琳加(くまだ・りんか)
2001年2月23日生まれ、東京都出身。雑誌「nicola」でモデルデビュー。現在は「non-no」専属モデル。
▼映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』
【STORY】 無彩色で息苦しいこの世界。救い出してくれたのは、“私を嫌い”な君でした――。
マスクが手放せず、周囲の空気ばかり読んでしまう「優等生」の茜。
自由奔放で絵を描くことを愛する、銀髪のクラスメイト・青磁。
何もかもが自分とは正反対の青磁のことが苦手な茜だったが、
彼が描く絵と、まっすぐな性格に惹かれ、茜の世界はカラフルに色づきはじめる。
次第に距離を縮めていくふたりの過去がやがて重なりあい、初めて誰にも言えなかった想いがあふれ出す――。
出演:白岩瑠姫(JO1) 久間田琳加
箭内夢菜 吉田ウーロン太 今井隆文 / 上杉柊平 鶴田真由
監督:酒井麻衣
原作:汐見夏衛「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(スターツ出版 刊)
脚本:イ・ナウォン 酒井麻衣
音楽:横山克 濱田菜月 主題歌:JO1「Gradation」(LAPONE Entertainment)
製作:『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会 制作プロダクション:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース
配給:アスミック・エース
(C)2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会
絶賛上映中