昨年、3年ぶりにTIFに帰還した女子流は今回も圧巻のパフォーマンス。最後は名曲『鼓動の秘密』をアップデートして披露し、「あの頃の女子流」ファンの心も満たすステージを見せる。10年目のアイドルから1年目のアイドルへ。そして、バトンは渡された。
乃木坂4期生の登場がアナウンスされると、乃木坂46のOVERTUREと共に、今年から設置されたビジョンに紹介映像が流れる。「乃木坂46のライブ」を直輸入した形だ。
『ガールズルール』のイントロで勢いよく飛び出した4期生たち。体調不良により欠席した北川悠理を除く10人の真ん中に立つのは賀喜遥香。4期生単独ライブ(5月25日・横浜アリーナ)の全員センター企画でも、賀喜がトップバッターで歌ったのが『ガールズルール』だった。感受性の強い賀喜らしく、観客の盛り上がりに自然な笑顔を見せた。金川紗耶の小顔美少女ぶりにも改めて驚かされる。
続く『インフルエンサー』のセンターは遠藤さくら。4期生単独ライブでは多くの曲でセンターに立ち、24枚目シングルでは選抜のセンターに抜擢されたシンデレラガールだ。「自分には個性がない」と語ることもある彼女だが、センターに立つと類まれなるスターオーラを放つ。今回は右目の腫れから眼帯(テンションを上げるために桜のイラストが描かれていた)をしていたが、それでも確かな表現力は伝わった。
『制服のマネキン』の中心には、昨年12月のお見立て会でセンターを務めた柴田柚菜がいた。負けず嫌いの彼女らしい意志の強さを感じさせるパフォーマンス。「ボールを打った金属音」で耳に手を当てたのは矢久保美緒。4期生でもっともディープなアイドルファンである矢久保は「TIF出演」を夢のひとつに掲げていた。決してスキルが高いほうではない矢久保だが、エネルギッシュなダンスで喜びを表現する姿は輝いていた。
MCの自己紹介では、清宮レイが「狙った獲物は逃さない! 天を貫くこの右手! レイパンチ!」と必殺技を炸裂させた。何かを吹っ切るようなアクションが、彼女の覚悟だと気づく。また、水分補給のためペットボトルの水を回し飲みするシーンの“部活感”は、観る者を爽やかな気持ちにさせた。
4期生オリジナル曲の『4番目の光』では、落ちサビで早川聖来が夜空に届くように歌声を響かせる。乃木坂4期生の初期衝動がTIFに新しい光を照らした。『キスの手裏剣』では、メンバーの投げキッスに観衆がメロメロに。最後は「シュシュシュシュ♪」「ヘイ! ヘイ!」をファンも合唱。途中、遠藤が早川の頭をポンポンと触った場面も4期の結びつきの強さを感じさせた。
2回目のMCでは最年長の田村真佑が中心になって『裸足でsummer』の振りを伝授するも、明けて1曲目は『君の名は希望』。会場には「お~!」というどよめきが聞こえてきた。ミリオンヒットではなかったが、乃木坂46以外のファンの心にも刻まれたマスターピースになっていたのだ。
センターは筒井あやめ。その震える指先から緊張感が伝わってきたが、最年少(15歳)の筒井こそ「乃木坂46の希望」であると感じさせるには十分のパフォーマンスだった。
『ジコチューで行こう!』のセンターは清宮レイ。
この日は研究の効果が出たのかクールな表情も決まっていた。もちろん『ジコチュー』では笑顔を全開にして本領発揮する。手足の長さを活かしたダンスも彼女の魅力だ。最後の「だるまさんが転んだ」の振りでは、田村からの熱いキスを受け止めた。
最後は、掛橋沙耶香センターの『裸足でSummer』。掛橋は「どんな時も楽しむ」という武器でTIF初日を見事に締めくくった。東京の空の下、乃木坂46の新星がアイドル界の新星になった。