【写真】デビュー15周年、飯豊まりえ撮りおろしカット【8点】
──デビュー15周年記念写真集『かの日』はご自身の私服、セルフメイクで撮影を敢行したそうですが、これは飯豊さんからの提案だったんですか?
飯豊 そうですね。洋服とメイクをセルフでやることにも意味があるのかなと思いましたし、いつもお仕事では、役を演じていたり、何かの役割を担っていることが多いので……。今回、写真集を作るにあたって、物語性を大切にしながらも、親近感があって、限りなく素に近い私を見ていただけたらと思っていました。
──約1年間を通して、月1ペースで撮影をしたそうですが、服選びやメイクは難しかったのではないでしょうか?
飯豊 洋服が大好きなので楽しかったです。クローゼットから選んだ私服が中心なのですが、「この場所に行くならこういう洋服にしよう」と決めて買うこともありました。メイクに関しては、あまりしていなくて、日焼け止めとコンシーラーぐらいでした(笑)。
──1年間に渡ってだと、かなり見た目の雰囲気も変わるんじゃないですか?
飯豊 そうなんです! 写真集と並行してドラマの撮影などもあったのですが、完成した写真集を見て、私は役柄によって人相が変わるタイプなんだなと思いました。幼いなと感じる写真もあれば、大人っぽく感じる写真もあって。自分ではあまり気づいていなかったのですが、写真を見返すと、その時々によって変化がありました。「こんな表情をしていたんだ!」という驚きもありましたね。
──カメラマンの東 京祐(あずま・きょうすけ)さんとは何度もお仕事をされているんですか?
飯豊 東さんには、私が高校生の頃から撮っていただいているので、気の置けない方です。
──特に印象的な場所はどこでしょうか?
飯豊 生まれて初めて行った西表島ですね。普段は川辺に林があるのですが、潮が引くと底が露わになって。そこを素足で歩いたら、すごく気持ち良かったんですよ。ただ、イリオモテヤマネコに会えなかったのが心残りです(笑)。あと、西表島とは対照的なのですが、雪の中での撮影も良かったです。雪に寝そべったら、周囲の音がかき消されるんですよ。東さんやスタッフさんの声も雪に吸収されて、とても静かな世界でした。
──大半をフィルムカメラで撮影したそうですが、意識はしましたか?
飯豊 意識をしないということを意識していました。何枚か撮るたびに「これで〇〇円ぐらいだから」「1シャッターで1枚のクッキーを食べているのと同じだからね」みたいなことを東さんに言われていました(笑)。
──『かの日』という写真集のタイトルは、飯豊さんが考えたそうですが、どういう思いが込められているのでしょうか。
飯豊 写真集のコンセプトが「昔の記憶」や、「楽しかった日」だったり。
あと荒木経惟さんの亡き奥様・荒木陽子さんが綴ったエッセイ『愛情生活』が大好きなのですが、恋愛とはまた違った愛の形といいますか、まさに愛情を感じられる文章なんですよね。そういう温かさやノスタルジーな雰囲気を、この写真集からも感じてもらえたらうれしいですし、「かの日」というタイトルに思いを込めています。
──まさしく荒木経惟さんの写真に通じるノスタルジーな写真も収録されていますが、完成した写真集を手に取ったときの感想を教えてください。
飯豊 写っているのはここ約1年間の自分なのですが、どこか懐かしくて、おうちにあるアルバムの写真を見ているような感覚でした。表紙の写真は特にお気に入りで。この写真集のコンセプトや物語性に合っているなと思って選びました。ぜひ表紙を広げて全身を見てみてほしいです。
(取材・文/猪口貴裕)
▽飯豊まりえ(いいとよ・まりえ)
1998年1月5日生まれ、千葉県出身。
X:@marieiitoyo
Instagram:marie_iitoyo