10月3日よりNHKの「ドラマ10枠」で放送されている『大奥 Season2』にて、徳川家斉の実母・一橋治済役を演じた仲間由紀恵。そこで見せた怪演ぶりが大きな話題になっていたが、実を言うと彼女の“名悪女”ぶりはこれだけに留まらない。


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仲間といえば、2000年に第1作目が放送された『TRICK』(テレビ朝日系)シリーズの主人公・山田奈緒子役で大ブレイク。さらに2002年には『ごくせん』(日本テレビ系)シリーズで“ヤンクミ”こと山口久美子を熱演するなど、前向きで明るい役柄のイメージが強かった。

しかし今回、『大奥 Season2』で演じた治済役は、原作ファンから最大の悪役にして“怪物”と恐れられている人物。母と姉を毒殺して一橋家の当主へ上りつめただけでなく、本草学者・平賀源内(鈴木杏)や蘭方医・青沼(村雨辰剛)、未来ある幼子を次々と死に追いやるという、まさしく「怪物」と言うにふさわしい悪逆の限りを尽くしていた。

特に14話で付き人・武女(佐藤江梨子)に毒入りの茶を飲ませ、吐血しながら悶え苦しむ様子を楽しそうに眺めるシーンは、誰もが背筋を凍らせたのではないだろうか。それは世間が抱く山田奈緒子やヤンクミのイメージを一変させた瞬間でもあり、仲間自身も「今まで演じたことのない、狂気的な役でした」と治済役を振り返っていた。


そういった意味でいうと、仲間にとって治済役は“新境地”だったことに違いないだろう。しかしこれまでのキャリアを振り返ってみると、彼女のサイコパス演技が話題になったのは今回が初めてのことではない。

たとえば2011年に放送された『美しい隣人』(フジテレビ系)で演じたマイヤー沙希は、主人公・矢野絵里子(檀れい)の幸せを脅かす謎の美女という役どころだった。

当初は奥ゆかしく人懐っこい性格を全面に押し出していたが、回を追うごとに絵里子を貶めるような情報を周囲に吹聴したり、彼女の夫・慎二(渡部篤郎)と関係を持とうとしたりと暗躍。また感情の起伏が激しく、自分の夫に対して暴力を働くというサイコパスな演技ぶりで大きな話題を呼んだ。

そんな仲間の怪演が人気を博してか、2013年には沙希を主人公に据えた実質的な続編『サキ』(フジテレビ系)が放送されることに。
同作では母の死に関連した5人の男に対する復讐劇が描かれ、彼らの心を崩しながら自死に追い込むという、前作超えの残忍な悪女ぶりを披露している。

そして2017年に放送された『明日の約束』(フジテレビ系)では、うってかわって毒親役に抜擢。同作は主人公のスクールカウンセラーが、不登校児・吉岡圭吾の“不可解な死”の真相を追い求めていくヒューマンミステリーで、仲間は圭吾の母親・真紀子を演じている。

彼女は“ある出来事”がきっかけとなり、我が子に対して「何ひとつ間違いのない人生を歩んでもらおう」と過干渉していた。スマートフォンやSNSを徹底的に監視し、靴箱にしまってあるスニーカーの位置を確認して外出したかどうかをチェックする。そして事あるごとに圭ちゃん、圭ちゃん、圭ちゃん……。


作中では不登校になった責任を学校に押し付けるモンスターペアレントぶりも発揮しており、「もしこれ(いじめ)で圭吾の人生がダメになるようなことになったら、私、学校や先生方を許しませんから」と静かに教師たちを脅していた。

『美しい隣人』で演じた沙希のように悪女というわけではないが、沙希とはまた違った怖さを覗かせ、視聴者を恐怖に陥れていたことは間違いない。現に撮影現場では、仲間の毒親ぶりに生徒役のキャストが恐れおののき、接する時も少し距離を置いていたという。主演の井上真央いわく、みんなで仲間のことを“かわ怖(かわいくて怖い)”と呼んでいたそうだ。

明るくて真っ直ぐな正統派主人公だけでなく、視聴者をゾッとさせるサイコパスな悪女や過干渉なモンスターペアレントも巧みに演じ分けてきた仲間。『大奥 Season2』で見せた怪演は、そんな“ヤバ女”列伝の集大成と言えるのかもしれない。


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