──『サステナブル』の選抜入り、おめでとうございます。
村山 ありがとうございます。今回はSHOWROOMでの発表でしたけど、その頃にはもうMVも撮り終わっていました。発表を聞いて、ファンの方も驚いたと思います。
──『ジャーバージャ』『Teacher Teacher』では選抜入りしていましたけど、『センチメンタルトレイン』『ジワるDAYS』では選ばれていませんでした。ご自身としては選抜に復帰していかがでしたか?
村山 選抜に対してそれほどこだわりがないので、入るかどうかというのは特に考えていませんでした。毎回同じなんですけど、「選抜でのお仕事があると劇場公演とかぶっちゃうなー」っていう思考回路なので(笑)。
──やっぱり(笑)。この夏は選抜としてのスケジュールが多い?
村山 そうですね。歌番組やイベントに出演する機会があったから、「あー、私もAKB48なんだな」と実感しました。私の場合、選抜メンバーはテレビ画面で観るものだと思っているので、自分が選抜として出る側になると、そう感じてしまうんです。
──自分が出る番組は録画します?
村山 しないです。お母さんがアイドルファンなので、その時間、家にいれば私も観るっていう感じで。自分が出ているものは観たくないんです。『AKBINGO!』も他の人のトーク中、自分がうんうんって頷いているのを観てると、アイドルらしく振る舞っているなぁと思ってしまって。そんなときの自分は完全にオフの状態だから、ギャップを感じてしまうんです。自分の顔も好きじゃないですし、自分が思い描いていたAKB48像と比べてしまうというのもありますね。時代が変わって、メンバーが変わっていって、そんな中に自分がいるとなると、「私が選抜の中にいてもいいのかな?」という気持ちになってしまって。
──そんなに卑下することもないと思いますよ。今作は矢作萌夏さんがセンター。どう思いましたか?
村山 驚きはしなかったです。ゆいゆい(小栗有以)、なぁちゃん、矢作ちゃんのうちの誰かかなと予想していました。
──矢作さんってどんな人ですか?
村山 私は相変わらず人見知りだから選抜では猫かぶっているんですけど(笑)、そうした中、矢作ちゃんはすごいなと思ったことがあって。MV撮影の現場にハエがいたんですね。私は苦手だからキャーキャー言いながら逃げ惑っていました。ところが、矢作ちゃんはハエを見ても、「おともだち~」みたいな(笑)。
──動物が好きなのは知ってますけど、ハエまでも(笑)。
村山 変わってる子なんだなと思いました。あと、歌番組で初披露したとき、カメラ目線でウインクとかタコチューをできちゃう。まだ2年もいないのに、ここまで堂々と振る舞えるってすごいですよね。自分の見せ方も分かっているし。私にないものを持っていて、羨ましいです。
──この夏のAKB48は4年半ぶりの単独ツアーを行なっています。いい雰囲気で回っているなという印象がありますが、いかがですか?
村山 大阪、仙台、広島はツアー選抜という固定メンバーで行ったんですけど、確かにいい雰囲気です。
──そんなに距離を感じていた?
村山 そもそも柏木さん推しだったので。AKB48を好きになったのは、柏木さんがきっかけだったんです。そんな方と「僕の夏が始まる」公演で同じステージに立つのもうれしかったですし、その公演を通して、お話できるようになりました。
──どんな話をするんですか?
村山 振り合わせや公演で感じたことを言い合ったりしています。私は振り付けのここが合っていませんとか、そういう正確さを言うことが多いんですけど、柏木さんは見せ方の指摘をしてくれます。タイプが違うので、柏木さんのお話は勉強になります。
──ツアーの盛り上がりなどを見ていて、手応えは感じていますか?
村山 広島の夜公演がめちゃめちゃ盛り上がったんです。ファンの方が中心になって盛り上げてくれているのか、それとも私たちの団結力的なものが届いている結果なのか、分からないんですけど……どうなんですかね? スマホでの撮影タイムを設けているから、それが拡散されているのかな?
──このメンバーを中心にAKB48を盛り上げようという思いが届いているんじゃないですか。広島のツアーの翌日のTIFではそういう思いを感じました。だから、その根本はどこにあるのかなと思ったんです。
村山 やっぱり時間を共有していることだと思います。例えば、なるちゃん(倉野尾成美)とも仲よくなったんですけど、それも同じステージに立てば立つほど、相手のことをどんどん深く知ることができるから、ですよね。新幹線の移動のとき、なるちゃんと隣になったことがあったんですけど、なるちゃんが私にぐいぐい質問してきて。「何でいつも総選挙に出ないんですか?」とか(笑)。長時間しゃべることで、お互いに似ている部分があるなって気づいたりもするし。そういったことの積み重ねが他のメンバーともできているということなのかもしれません。
──チーム4でのツアーも近づいてきました(すでに終了)。
村山 私が決めることになったので、頑張って考えたんですけど、どうすればいいかなとかなり悩みました。峯岸チーム4(かつての、峯岸みなみ率いるチーム4)みたいなチーム4感にするのか、それとも今の自分たちに合ったものにするのか……。今の4ってみんなの年齢も高くなってきているから、数年前の4っぽさがなくなってきているんです。結局は以前の4っぽさを選択しました。
──最近のチーム4はどんな雰囲気ですか?
村山 今年1月にTDCホールでコンサートがあって、そのリハーサルの期間でみんなと絶対に仲よくなろうと決めてたんですね。でも、チーム8の子たちがいっぱいいっぱいだったのもあって、なかなかレッスン以外のところを考える余裕がなかったんです。
──チーム8はチーム8でコンサートがありましたから、覚えることが山のようにあったんですよね。
村山 なので、その後の公演でやっと打ち解けることができて。
──あのー、遅くないですか(笑)。
村山 それ、みゃお(宮崎美穂)さんにも言われました(笑)。でも、これは4にとっては大進歩なんです! 打ち解けるための一歩がやっと踏み出せたんです! 意外と佐藤七海ちゃんとかが自分をさらけ出してくれたりして。七海となぁちゃんは「変態同盟」を結成していて、中2っぽいことを楽屋で話しています。
──最近の岡田さんとの関係は?
村山 仕事が忙しすぎるのが心配です。ここまで忙しいのに、すべてを器用にこなしているから、尊敬の気持ちしかないです。
──もしオフを1日一緒に過ごすとしたらどうします?
村山 なぁちゃんはチョコミントが好きなので、韓国まで食べに行きたいです。おいしいチョコミントがあるらしくて。以前、韓国旅行の計画を立てたんですけど、行けなかったことがあるので。なぁちゃんの食べたいものを食べに行きたいです。
──自分の欲はないんですか?
村山 私、誰かが何かを食べたいと言ったら、同じ気持ちになるから、別にこだわりはないんです。「チョコミント食べたいの? じゃあ、行こう」っていうタイプなので。
──そういうところも好かれているんでしょうね(笑)。他にチーム4でオススメのメンバーは?
村山 なーみん(浅井七海)は不器用で真面目だけど、めちゃめちゃ変わってます。劇場の空調の埃のたまった臭いが好きらしくて、その素晴らしさを1人で語ってて、みんな苦笑いみたいな(笑)。そういう面がもっと伝わるといいですね。あと、はっつ(歌田初夏)も変です。4に来てくれたときからずっと気になる存在で、目が合うと白目をむいたり鼻の穴を広げたりして。照れ隠しでそうしているみたいなんですけど、ステージ上でもその顔をするから、「な、なぜ、ステージ上で?」と思うんですけど(笑)。濱(咲友菜、濱の正式表記は俗字)も基本ピース(のリアクション)でしか会話してこなくて、意味が分からない(笑)。1回お泊まりしたこともあるんです。そのときは、「楽しみです」なんてLINEしてたのに、しばらく時間が空いちゃうと関係がリセットされてるという(笑)。レッスン場で会っても一言もしゃべってくれないという不思議な子です。
──といっても、村山さんもかなり変わった人ですよね。選抜になってもツイッターにそのことを書かないのは何でだろうと思うんですよね。
村山 ツイッターって言葉の聞こえ方1つで印象が変わってくるじゃないですか。私のことを知らない人も読む可能性が高いツールだから、当たり障りのないことしか書けないんです。逃げなんですけどね。
──発信しないとなると損するなとは思いませんか?
村山 私、レアキャラでいたいんです。王道じゃないことがしたいんです。自分がやりたいことをやるというスタンスでいたくて。それが私にとっては劇場公演なんです。AKB48にいるといろいろなチャンスがあるけど、そういった道を通らなくても劇場で成長していきたいというのが私のやり方なんです。そのやり方がAKB48に貢献できていないとしたら、みーおんには土下座して謝りたい気持ちはあるんですけど。
──しなくてもいいです(笑)。
(取材・文/犬飼華)
▽村山彩希(むらやま・ゆいり)
1997年6月15日生まれ、神奈川県出身。13期生。チーム4キャプテン。ニックネームは「ゆいりー」。2011年9月24日にAKB48第13期研究生オーディションに仮合格、2012年8月5日にセレクション審査合格。AKB48の51stシングル『ジャーバージャ』で初めて選抜メンバーに選出された。2019年1月15日にはTDCホールにて初のソロコンサートを開催した。劇場公演出場回数が2014年から2017年まで4年連続1位、けが人が出た際には急遽そのポジションを埋めるなど劇場公演に並々ならぬ熱意を持つため、“劇場の女神”と呼ばれている。