【写真】緊張感を漂わせながらBreakingDownについて語る黒石高大【7点】
「今さら若い子たちと同じテンションで『おい、コラ!』『てめぇ、さらうぞ!』なんて煽る真似はできないですよ。そこは自分らが散々通ってきた道。でも同じことをいつまでもやっていたら、ただのバカですから。でも若い子は若い子で、みんな頑張っていると俺は思うな」
黒石は、かつて因縁が生じたこめおに対しても「アンチが山のようにいると同時に、応援してくれる人も少なからずいる」と分析し、「顔もカッコいいし、人を惹きつけるオーラがある」と賛辞を送る。Breaking Downの場で目立つことができる人間は、やはりそれなりの理由があるのだと断言する。
「不良が集まる大会なんだから、出てくる奴らが噛みついてくるのは正しい姿。『黒石も日和ったな』と言われても、そこに反論する気はありません。でも視聴者目線で大会全体を見ると、1から10までワーギャー暴れるだけでは単調すぎますよね。一本の映画、ひとつの作品として成立しないと思う。
イカつい奴らがあれだけ集まれば、揉めごとが起こるのは当たり前です。そこで相手に説得してもらうために、どうやって心を込めて話すか? どうやって男として筋を通すか? そういうところを俺は見せていきたいんですよ。
THE OUTSIDERに参戦していた頃の黒石はイケイケだった。試合開始のゴングが鳴る前に相手へ頭突きを喰らわせたこともある。そして黒石が敗れると、義憤に駆られた後輩たちがリングになだれ込み、そのまま乱闘騒ぎになったこともある。
「もともと俺は暴力だけで生きてきた人間。おもいっきり暴れて、目立って、悪さして……。その調子のまま成り上がろうとしていたんです。だけど、あるときハッとしたんですよ。ステージが上がってくると、腕力で解決できる問題なんてなくなるんだなって。
芸能界なんて暴力を出した瞬間、一発でサヨナラ。それは他の職種だって同じでしょう。ヤクザですら、暴力だけじゃ上に立つこともできませんから。自分が愚連隊だなんだとバカやっていた頃も、下っ端だったときは好き放題に暴れていたんです。
黒石がこうした地に足の着いた考え至ったのは、大人になって社会性を身につけたからだろう。それは他のTHE OUTSIDER勢も同じこと。「吉永(啓之輔)くんにしたって萩原(裕介)くんにしたって、若い子を育てている立場。急にキャンキャンと吠えろって言われても無理ですよ」と黒石は苦笑いを浮かべる。
「Breaking Downに出てから、俳優業にも影響が出ました。それはプラスの面とマイナスの面があります。よかったのは新しくファンになってくれる人が増えたり、今までになかった商品コラボレーションとかイベント出演の話が来たこと。やっぱり人気興行だけありますよね。
ただ一方で俳優の先輩たちは心配しているんですよ。『大丈夫か? お前の本業は俳優なんだぞ』って。『お前は真面目だから、格闘技の練習ばかりして俳優業がおろそかになるんじゃないか?』と言うんです。もちろん俺だってNHKの大河とか朝ドラの話が来たら、そっちを優先するつもりですけど……」
ただし、今ここで闘うことを辞めたら絶対に後悔すると黒石は考えている。
「今回は引退を懸けた一戦ということになり、それに対して批判の声も上がっているみたいですけど、俺自身は運営が盛り上げてくれているんだなって好意的に解釈しています。そもそも勝てばいいだけの話ですから。とにかくやるからには、半端な真似はしたくないんですよね。勝つのは当然だとして、最高の場でおもいっきり男を見せたいです。押忍!」
かつて“濱の狂犬”と恐れられた男の闘志は、いささかも衰えていないようだ。
▽黒石高大出演映画『SAVAGE 獲るのは誰だ?』の京都先行プレミアイベントが11月25日(土)にロームシアター京都サウスホールにて開催。【昼の部】12:30開場 13:30上映【夜の部】17:00開場 18:00上映。公式HP(https://runzest.co.jp/savage/)
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