──まずは後藤さんが卒業を決めた理由から教えてください。
後藤 大学生になって、アイドル以外のことに挑戦してみたいと思ったからです。
──それはいつからですか?
後藤 SKE48に戻ってきて(大学受験勉強に専念するため一時期休業していた)、改めてですね。私って普段から物事を客観視しちゃうんですけど、大学に入って、周りの友達を見ていると、もっと自分がやりたいことを一生懸命やりたいなと思ったんです。
──やりたいこととは?
後藤 海外留学にも行ってみたいですし、バイトもやりたい。大学卒業するまでにいろいろなことを経験したいと思ったし、大学は自由だからこそ、いろいろなことに手を伸ばせるなって思ったので。将来、朝の顔(アナウンサー)になりたいっていう夢があって。憧れなんですけど、そのためにはSKE48の中じゃなくて、外に出て、いろんなことを見て感じて、もっと自分の視野を広げないといけないなって思ったんです。
──今、東京の大学に通っていますけど、それが名古屋の大学だったら変わっていましたか?
後藤 いや、変わらなかったと思います。アイドルっていう枠に縛られなくてもいいのかなって思ったんです。
──休業から戻ってきて、すぐに卒業発表でしたからね。
後藤 そうですよね。こうって決めたら、揺るがないタイプで。直感で生きているんですけど、アイドルって見える世界も偏ってるから、そこを出て、いろんな国に旅行に行ったりしてもっといろんな世界を見たいなって思いました。きっかけは、休業中に『ドデスカ!』(メーテレ)を見ていて、そこになっちゃん(塩尻奈都子)っていうアナウンサーさんがいらっしゃったんですけど、その方が毎日「今日も元気に行ってらっしゃい!」って言うんです。他のお天気キャスターさんとかも話すんですけど、なっちゃんの言葉だけ心に響いて。そういう風に何かを与えられる人ってすごいと思うし、私もなっちゃんのようなたくさんの幸せを与えられる人になりたいなって思ったんです。
──惣田さんは卒業するのを聞いていたんですか?
惣田 聞いていたよね? いつ聞いたんだろ?
後藤 しゃぶしゃぶ食べているとき。
惣田 あー! (北川)綾巴と一緒に食べていたときだ!
──実際に聞いてみてどうでした?
惣田 楽々が休業したときに戻ってこないんじゃないかと思っていたんですよ。でも戻ってきたから、もうちょっといるのかなって思っていたんですよね。そしたら卒業ですから。聞いたときはすごくビックリしたし、もうちょっといてほしいって話しました。
──なるほど! ちなみに後藤さんが戻ってきたときにもインタビューをしたんですけど……。
後藤 そうですよね(笑)。そのときはこれから頑張りますって言っていましたよね(苦笑)。
惣田 そのときは卒業とかは考えていなかったの?
後藤 帰ってきてから、これからのことを考えようと思っていて。具体的にどうしようというのがなくて。私はアイドルらしい性格じゃなくてけっこうサバサバしているし、ファンの方が求めることに応えられないんです。求められるのも苦手だし、素直じゃないから、応えられないし。アイドルって本当に難しいと思います。
惣田 SKE48的には可愛い子が減っちゃうのは痛いですよね。
──2人とも9月末で卒業するわけですからね。
後藤 それはたまたまなんです。湯浅(洋・前SKE48劇場支配人)さんと相談してて、綾巴さんと9月末って決まって。惣田さんは悲しいですよね?
惣田 悲しい! 普通に友達を2人失う気分だもん。2人とはたくさんご飯にも行ってたし、遊びにも行っていましたからね。
──2人でよく出かけていたと。
後藤 2人でいると、正直、私の方がしっかりしていますから(笑)。
惣田 何を言っているの? 私の方がしっかりしてる! 楽々、電車の乗り換え、できないじゃん!
後藤 お財布を忘れて、お金貸したでしょ!
惣田 あー、あれは確かに。でも楽々に電車の6号車にいるよって伝えたら、6番線に行ったんですよ。ありえます?
後藤 号車と番線の違いって何? よく分からないし。東京の電車って意味が分かりません(笑)。
──あははは。後藤さんのSKE48での一番の思い出は?
後藤 初めて選抜メンバーに入った『前のめり』のMV撮影のときに休憩中にポテトをいっぱい食べたこと。休憩してた場所の食べ物が食べ放題で、チキンナゲットやポテトを食べまくっていたんです。
惣田 えっ!? それなの?
後藤 いや、もっといいやつを思い出しますね。何かあったかなー? う……ん、出てこない!
──はい(笑)。SKE48で一番うれしかったことは?
後藤 総選挙でランクインしたことです。すごく安心しました。立候補3回目ですごくプレッシャーを感じていたんですよ。入らなきゃいけないって思っていて、SNSなどいろいろなツールをすごく頑張りました。
惣田 今は?
後藤 ダメ!
惣田 あははは。
──SNSを更新するのは苦手なんですか?
後藤 ファンの方がもっとこういうのを求めているんだろうなっていうのは頭の中では分かるんですよ。一番大事なのはSKE48メールだと分かっているんですよ。
惣田 LINEの返信も遅くない? 私も遅いけど。
後藤 はい……。私は携帯に頼る生活は好きじゃないんです。メールよりも電話の方が早く済みません? と言いながら、携帯はいつも持っているんですけどね(笑)。
──一番悔しかったことは?
後藤 チームEでセンターを任せてもらったときに自分ができなさ過ぎて、悔しくて泣きました。自信を持てない自分が悔しいって感じです。自分が真ん中に立って、隣に須田(亜香里)さん、熊崎(晴香)さん、(木本)花音さんがいて、待てよと。周りを見渡したら、自分の100倍すごい人たちがいるのに、自分のふがいなさに泣きました。
──そもそも2人が仲良くなったきっかけは?
後藤 大学ですね。
惣田 普段はチームが違うので、そこまで話す機会が多かったわけじゃないんです。でも楽々が同じ大学に入ってきてから、一緒に出かけるようになりました。
後藤 すごくフランクなんです、惣田さんは。
惣田 大学の空きコマのときに一緒にご飯食べよって誘って、何回か行きましたね。でも最初はちょっと緊張したんですよ。後輩だし、歳も離れているし。でも楽々は想像以上に子供で(笑)。ちょっと可愛い意味でのおバカちゃんで。妹みたいなんです。
後藤 私は仲良くならないと、素を見せられなくて。惣田さんは私のオープンゾーンに入った人なんです。だから仲良くなったんだと思います。
惣田 ご飯を2回ぐらい食べた後、うちで鍋をしない? って誘ったんですよ。
後藤 すごく美味しかった!
惣田 そういうのもあって、仲良くなっていったというか。その後、よくうちにも泊まりに来るようになりましたからね。
──妹がいたら、こんな感じなんですかね?
惣田 ホントですよね。何でもしたくなっちゃうんでしょうねー。
──あえて2人の関係性を言葉にするなら?
後藤 母と娘ではないからなー(笑)。
惣田 それはひどい(笑)。
後藤 友達でもないんだよなー。先輩意識はちゃんとあるので。
惣田 SKE48を卒業したら友達!
後藤 友達と呼んでいいのかなって思っちゃうんですよ。友達って同い年とかのイメージだから。
惣田 この前、綾巴と楽々の3人で銭湯に行ったんですよ。それがすごく楽しくて。
後藤 初めて銭湯に行ったんですけど、めちゃくちゃ楽しかったです。
──初めてだったんですね。
後藤 銭湯のお湯が熱かったです! ケロリンの桶があって、テンションが上がりました(笑)。
惣田 普段、誰かとお風呂に入るってことがなくて。メンバーは平気なんですけど。
後藤 ぜんぜん恥ずかしくない。
惣田 銭湯に普段使わないメイク落としを持っていったんですけど、私の化粧が取れなくて。パンダみたいになって、みんなで大笑いしていました。
後藤 あれは面白かったなぁ。
──楽しそうで何よりです。2人での一番の思い出は?
後藤 私は惣田さんの家で作った鍋がすごく美味しかったし、めちゃくちゃ楽しかったです。
惣田 2人でスーパーに食材を買いに行ったんですけど、楽々が野菜を切りたいって言って、見ててあげたんですけど、ホントに心配で(笑)。ハラハラしながら見ていましたけど、全部切ってくれました。
後藤 今、料理教室に通っているんですよ。親に、できなさ過ぎるから通えと言われて(笑)。
惣田 通っているとは思えない包丁さばきでしたけど(笑)。
後藤 正直、料理教室がちゃんとスキルになっているのかどうかは分からないです……。
──誰かに作ってあげないとスキルにならないのでは? 例えば両親とか惣田さんとか。
後藤 確かに。両親に作るのはいいかもしれませんね。でも結局は母が作っちゃうんですよ(笑)。惣田さん、作ったら食べてくれます?
惣田 じゃあ、今度一緒に作ろうよ。
後藤 いいですね! 惣田さんは料理が上手だから。作るものは何でも美味しいんですよ!
──最後に後藤さんから惣田さんへメッセージを。
後藤 自分のことを変わっているって言うんですけど、私から見たら素直で一生懸命なんです。私にはないものを持っていてうらやましいなって思います。とってもストレートで裏表なくて、思いやりがあって。拗ねちゃったりもするけど、壁なく接してくれるのはすごくうれしいです。総選挙でも結果を残すし、クイズ番組に出たいって言ったらちゃんと出るし、野球のお仕事をしたいって言ったらちゃんとしているし、そういう実現する力って誰にでもできることじゃないですから。そこはすごく尊敬するところなので、卒業したら、そういった部分を見習っていきたいなと思います。
──続いて惣田さんから。
惣田 私は大学で楽々に会えるというのはすごくうれしいけど、SKE48のメンバーじゃなくなっちゃうのはさみしいなって思います。でも自分で未来を決められたのはすごいなって思います。19歳でそんな選択ができて、これからどういう道に行くとしても変わらずに頑張ってほしいなって思います。でも、仲がよかった楽々と綾巴の2人が卒業するのは本当にさみしいんですよ。どうしましょう? ファンの方もそこをすごく心配してくれていて。私はまだSKE48にいるので、これから2人の分も頑張りたいなって思います。
(取材・文/林将勝)
▽惣田紗莉渚(そうだ・さりな)
1993年1月18日生まれ、埼玉県出身。B型。161センチ。ドラフト1期生。チームKII所属。ニックネームは「さりー」。2013年11月10日の「第1回AKB48グループ ドラフト会議」において、SKE48・チームKIIに第5巡目で指名される。16thシングル『12月のカンガルー』で初めて選抜メンバーに選出。2017年に行われた「AKB48 49thシングル選抜総選挙」では第8位を記録し、総選挙初選抜入りを果たした。
▽後藤楽々(ごとう・らら)
2000年7月23日生まれ、愛知県出身。AB型。154センチ。7期生。チームE所属。ニックネームは「らら」。2015年3月15日にSKE48第7期生オーディションに合格。18thシングル『前のめり』で初めて選抜メンバーに選出されると、その後5作連続で選抜メンバーとして活躍。2018年5月1日から学業に専念するため活動を一時休業。同年11月6日に復帰した。2019年7月28日に自身の生誕祭公演にて、9月末をもってSKE48を卒業することを発表した。