毎週土曜日朝9時から放送されている”令和初のウルトラマン”『ウルトラマンタイガ』(テレビ東京系)。主人公・タイガはウルトラマンタロウの息子とあって、親子三世代で視聴する家庭もあり話題を呼んでいる。
その『ウルトラマンタイガ』でファッショナブルなヒロイン・旭川ピリカを演じるのが女優の吉永アユリ。今までにないウルトラヒロイン像を確立させていく彼女に、『タイガ』現場のエピソード、そして女優・モデルとして活躍する素の姿について聞いた。

──先日、『ウルトラマンタイガ』、オールアップされたそうですね。改めて、『ウルトラマンタイガ』という作品、そして旭川ピリカという役を務めたこの約半年の期間はいかがでした?

吉永 最初は不安しかありませんでした。現場で誰とも仲良くなれなかったらどうしよう!? とか、お子さまもご覧になる番組なので、模範的な生活態度をしなくちゃ……と、様々な点で悩んでいて(苦笑)。それが、監督、スタッフさん、キャストのみんなが「わからないことがあったら聞いてね」と常に優しくしてくださって。特に、佐々木カナ役の新山千春さんがフレンドリーに話かけてくださったおかげで、スーッと肩の荷が下りたんですよ。そこからはもう、毎日の撮影が楽しくて、楽しくて、仕方なかったですね。

──『タイガ』出演の話を聞いたときはどう思われました?

吉永 失礼ながらこれまで「ウルトラマン」シリーズを一度も観たことがなかったのでビックリしました。ただ、父も母もウルトラマンを子どもの頃に見ていて、しかもお爺ちゃんも『ウルトラマンタロウ』を見ていたので、「タロウの息子が主役の作品に出るの!?」と驚かれました(笑)。ウルトラマンタイガはウルトラマンタロウの息子で、ウルトラの父の孫じゃないですか。まさに私もタイガのように「ウルトラマンの血」を受け継いだかのような気分になりました。


──これまでのウルトラマンのヒロインは「防衛軍」所属が多く、隊員服姿が基本でしたが、ピリカは民間警備会社の「E.G.I.S.」所属のためか、毎回服装から髪形、ネイルまで変えるという、初と言ってもいい試みをしていますね。

吉永 よくぞお気づきで! ピリカのヘアアレンジは、メイクさんに私からも案を出して採用してい下さったり、スタイリストさんともその日の衣装決めを相談したりと、ピリカの格好には私の意見を取り入れていただいているんですよ。私もピリカと同じようにファッション好きで、年齢も23歳と今の私の年齢(22歳)と近く、通じるものがたくさんあったおかげで、役を作りこむこともほぼなく、ナチュラルに演じられました。逆に防衛軍所属の女性のように「かしこまりました!」という、ビシッ!とした役作りがどうも苦手で……(苦笑)。

──役作りで監督さんから言われたことはありますか?

吉永 『タイガ』には監督さんが6名いらっしゃるのですが、みなさんからある程度自由に演じていいよ!と仰っていただけて。私の方からも「この場面、こう思いますが、どうです?」と先に相談すると、「こうしよう」と提案もしていただけて、きっちり台本をなぞって!というよりは、私なりのピリカ像で演じていいという環境をいただきました。プロデューサーの村山(和之)さんからは「僕はこのセリフ、違うと思う。ピリカとしてどう言えば正解か考えてきて」と、宿題を出されるなど、アドリブを求められる場面も多々あって。そこも考えることなく、すんなりとピリカとしての言葉が言えました。

──演じるというより、吉永さんのもう一つの人格のようですね。

吉永 最近は同一化が激しく、だんだん現実との境目がなくなってきて、マネージャーさんにもピリカの口癖「しょうちのすけ!」って言い出すようになっちゃいました(笑)。

──ピリカを演じる上で何を意識していました?

吉永 カナさん(※ピリカが勤めるE.G.I.S.の創設者兼社長)とピリカの「チーム女子」は、どれだけ外でヒロユキ(※工藤ヒロユキ。
主人公。タイガに変身する)とホマレ(※宗谷ホマレ、E.G.I.S.実働隊員)が頑張っていても、飄々とユルくいてほしいと、最初に説明をされまして。絶対にかしこまらず、むしろ危機をゲーム感覚で楽しんで、「私、余裕っしょ!」みたいな感じでやろうと。今までの女性隊員像とは違った部分を出して行きたいなと自分の中ではありました。

──ピリカと吉永さんの似ている部分はどこでした?

吉永 やはりオシャレが好きなところですね。後は……気のユルさ(笑)。あまり力まず、休憩中に携帯見て「この服、エモいわ~」と言う部分はソックリ。逆に、自分とは遠いと思う部分は、パソコンの上手さ。私、iphoneを使うのも精一杯なタイプなんです(苦笑)。

──ダイエットはいかがですか? 第3話「星の復讐者」でE.G.I.S.の全員で寿司を食べに行く話になった時に一人「ダイエット中だからパス」と言っていましたね。

吉永 私は食べることが大好きなので、これは一番の違い(笑)!

──SNS上ではファンによる考察合戦も白熱しています。

吉永 実は何気ない行動やセリフが、その後の大きな伏線になっているんですよ。
一度ご覧になられた方も、再度見返していただくと「あの時の!」と驚くことが、これから待っているかもしれません。私も考察合戦をSNSで見ているのですが、あまりの洞察の深さに「ウルトラマンファン、スゴイ!!」と、驚くと同時に感心しています。ウルトラマンファンの方って本当に何事にもスゴイ熱量なんです。5話「きみの決める世界」で、私と葵(演:谷本琳音)が買って着たストライプのワンピースと同じものを見つけて買って、「ピリカのワンピースを着て、ウルトラマンフェスティバルに行きました!」と報告してくださった女性ファンの方がいらして。ここまでピリカ愛していただけるのは演じた身として、本当に幸せです。

──幼少期はどんな子どもでした?

吉永 幼稚園の頃からテレビっ子で、歌番組を見ては自分で作ったダンスを踊っているような子で、そんな姿を見た母に「芸能界に向いているかもね」と言われたこともあります。
小学生に入ると映画・ドラマが大好きにものすごくハマって、ドラマを観るたびにコロコロ夢が変わるような子でした。例えば『アンフェア』を見たら刑事! 医療ドラマを見たらお医者さん!と、その時々に観たドラマに影響されていました(笑)。

──いつ頃からこの世界のことを意識するようになりましたか?

吉永 小学生高学年になると、ティーンファンション誌を読みはじめて、オシャレに目覚めたことで、「いつか、ファッションショーに出てランウェイを歩きたいなぁ……」と、ボンヤリと芸能界を意識し始めるようになって。それで、小学5年生の頃に、見に行ったファッションショーの会場で今の事務所の方にスカウトしていただきました。夢が目の前にやってきて、この時に初めて「本格的にやりたい!」という気持ちになり、両親に想いを伝えました。母には「絶対に大変だよ」と反対され、父もやりたいことがあればやればいいというスタンスなんですが、どちらかと言えば反対側で。
それでも熱意を伝え、なんとか認めてもらえました。

──この世界に入って印象的だった仕事は?

吉永 入って間もなく初めてのオーディションで合格した『告白』(11年)という映画です。合格後、出演者全員で半年間のレッスンを受けることになるのですが、のんさん、橋本愛ちゃん三吉彩花ちゃんと、演技の上手な同世代の方々に囲まれたんですね。演技経験ゼロの私はとにかく圧倒されちゃって。けど同時に「負けるもんか!」という気持ちと、演技への情熱が湧いてきて、とにかくガムシャラに臨み続けました。無事撮影も終わり、とても素敵な作品に仕上がり、しかも日本アカデミー賞最優秀作品を始めたくさんの賞をいただいて……、この一つの作品を作り、たくさんの人に見てもらい結果を残すという一連の流れに感動を覚えて、この世界って楽しい!と思えるようになったんですよ。『告白』を通じて、その後『鈴木先生』(11年)、『渇き』(14年)にも呼んでいただけるなど、この時の経験が私の世界を広げてくれました。振り返ると、本当に最初の現場で最高の経験をさせてもらいました。

──では、この活動で辛い思いを経験されたりは?

吉永 小6のころにCM撮影でタイに行った時ですね。用意していただいたホテルのスイートルームに一人で泊まらなければいけなくて。大きい部屋に一人ポツンといる状況がとにかく心細かったし、寂しさを紛らわすためにつけたテレビでは、数時間おきに川がズ~ンと流れるだけの映像が流れて。それを見続けていたら、ドンドン暗くなっていっちゃって、仕事なんてもうイヤだ!!って、滞在期間中ずっとお母さんに泣きながら電話していました(照笑)。


──最近ではアプリゲーム『荒野行動-KNIVES OUT』公式CMのダンスが話題を呼びましたね。

吉永 それこそ子どもの頃に遊びで踊って以外では、高校でのダンス同好会で踊るぐらいでダンス経験もなかったのに、なぜかオーディションを受けることになり、しかも合格をいただけて。私の周りの方々は経験者ばかりだったので、なぜ私なのか?と監督に聞いたんですよ。事前に監督から「踊れなかったら無理しなくていいよ」と言われていたんですけど、なにくそ~! みたいな気持ちで臨んだんですよ。この、「根性! やってやるぞ感!」を、評価していただけたそうなんです。『告白』の頃から負けん気だけは変わらずもっていたおかげですね。あと、振付以外のところで自由に踊るパートがあって、そこで変顔をしたことも評価していただいたそうです(笑)。

──今後も出演映画の公開が控えているなど、今非常にいい状態で来られているようですね。

吉永 やっと、自分の力がちゃんと発揮できるようになってきました。これまでは、まだまだ経験の浅い子どもだったんですよ(笑)。それが10年という長い時間をかけて少しずつ、映画やドラマ、CMで得た経験を、ちゃんと今のお仕事に活かせられるぐらいになってきたんです。実は、ほんの少し前まで、この仕事を続けるか、短大で学んでいた栄養士としての道を選ぶかで真剣に迷っていたんですよ。
周りがしっかりと就職する中、私は夢だけでこの世界を続けていけるのか?と、思ってしまって。そんな時に、ずっと活動を心配していた母が「ここまで頑張ってきたんだから、続けなさい」と背中を押してくれて。そう言われたからには、本気で頑張らなくちゃ!と、短大卒業後の二年間に勝負をかけたんです。そしてその二年目で『タイガ』という本当に素敵な作品に出会えて。ピリカに出会ったここから私の第二の人生が始まったと言ってもいいぐらい。それぐらい今人生最高の瞬間を送れています。

──むしろ、これからが吉永さんにとっての本番といったところでしょうか。

吉永 そうであってほしいですね(笑)。本当にお芝居が好きなので、お婆ちゃんになっても演じるというのが、今一番の大きな夢です。いつか尊敬する大竹しのぶさんのような女優さんになれるように、色んな作品に出演して自分を磨いていきたい。具体的に言うと、宮藤官九郎さんが大好きなので、いつか宮藤さんの作品にいつか参加したい。今までイジメっ子の役が多く、あまり表情がない役が多かったのですが、ピリカでやっと表情豊かな役を演じられて。私の武器は豊かな表情だと思っているので、宮藤さんの作るハッチャケた世界で、最大限に自分の武器を出せたらいいなと思っています。

インタビューの本編は前ページまでで終わりだが、ここではボーナストラックとして、吉永アユリのパーソナルにさらに迫るべく聞いた一問一答を掲載。

Q:一日で一番大切にしている時間は?
A:音楽を聞く時間。良い歌を探すのが大好きで、よく色んな方に「今一番好きな曲はなんですか?」と聞いています。今はSASUKEくんという16歳トラックメイカーの作る楽曲にハマっています。みなさまも、オススメの曲があったら教えてください。

Q:食べるのが好きな吉永さんにとっての至高の料理とは?
A:一蘭のラーメン! 細めん、コッテリ、辛い、この三つの全てを備えた私にとっての神です!! ヘタすれば毎日通いそうになるので、今はセーブ中です(笑)。

Q:逆に自分が課しているダイエット法は?
A:ホットヨガに通って中から脂肪を燃やしています。あと、お腹が減ったら、ファミリーマートで販売中の、「糖質0g麺汁なし担々麺風」を食べます。麺好きも納得の味なので、何か家で食べるとなったらコレをいっちゃいます。正直食べるのは止められません(笑)。

Q:理想の男性のタイプは?
A:男らしい人。具体的に言えば、決断力、判断力がある人。「え~、どっちでもいいや。君が決めてよ」という人はちょっと……。あと、できれば身体もヒョロヒョロよりは、ムキムキの方がいいですね。理想としては魔裟斗さんぐらいあるとステキ(笑)。なので、『タイガ』ならタイタス推しですね。

▽吉永アユリ
1997年5月16日生まれ、千葉県出身。2010年映画『告白』で女優デビュー。その後、『鈴木先生』『渇き。』『恋は雨上がりのように』などの映画、「河合塾」「かっぱ寿司」などのCMに出演。

▽『ウルトラマンタイガ』
ウルトラマンタロウの息子、ウルトラマンタイガの活躍を描く令和初のウルトラマン。毎週土曜 午前9時~テレビ東京系にて放送中。
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