【写真】プロレス界随一の“鉄オタ”、アプガ(プロレス)らく【8点】
2023年のプロレス界で「対世間」という観点で刺さりまくったニュースといえば、9月にDDTが敢行した史上初の「新幹線プロレス」が印象的だ。東京から名古屋を走行する新幹線の車内でプロレスをやってしまう(観客もチケットを購入して乗車。自分の席から通路での闘いを観戦した)。無茶苦茶な話だが、これはもう男のロマンである。一般メディアはこの話題に飛びつき、各局のニュースで試合映像が繰り返し流された。
その開催を発表した日の夜、生配信で報告をした高木三四郎は冒頭である女子プロレスラーに謝罪をした。
「東京女子プロレスのらく選手がこの試合にいちばん出たかったと思います。ただ、その日、東京女子は名古屋で試合があります。新幹線で試合をしながら移動とする、という考え方もありますが、それだと名古屋での試合開始に間に合わない。本当に申し訳ない!」
大社長にそこまでさせる、らくという女子プロレスラーは何者なのか?
アップアップガールズ(プロレス)に所属するらくはプロレスラー界隈では随一の「鉄オタ」なのである。
「私の家系には運転士とか電車関係の仕事をしている人がなぜか多かったんです。だから、ものごころがついたときには、家の中に電車関係のものがたくさんあって、そのまま自然に電車が好きになって、それがいまでもずっと続いています。基本的には『乗り鉄』ですね。だから新幹線プロレスには本当に出たかった! パーサーさんになってワゴンで相手を轢いてみたりしたかったですね、うふふふ。
もう新幹線じゃなくてもいいので、2024年はぜひ電車プロレスに出場してみたいですね。えっ、電車のパーツを使った電車プロレス専用のチャンピオンができたら? あんまりチャンピオンベルトを狙いたいとは思わないタイプなんですけど、そのベルトなら絶対に欲しいです(笑)」
リングで歌を披露する際の自己紹介でも「今日、気になる電車」を発表するという筋金入りの鉄オタなのだが、そののんびりとしたムードは「なんでこの子が女子プロレスラーに⁈」とびっくりしてしまう代表格だ。
そもそもプロレスにはまったく興味はなかった。
小さいころからアイドルに憧れて、アイドルになるためのチャンスを掴むためにアップアップガールズ(プロレス)のオーディションを受けた。
「こんなにちゃんとプロレスをやるとは思っていなかったんですよ。アイドルがスポーツに挑戦してみました、ぐらいのものかと思っていたら、基礎からしっかりトレーニングさせられて。スポーツの経験がほとんどなかったので、最初はなんにもできなくて辛かった。いや、いちばん最初はわけもわからずにやっていたからまだいいんですけど、やっていくうちにできないことがハッキリわかってきて、だんだん辛くなっていくんですよね」
プロレスラーとしてデビューしてからも、他のメンバーの後塵を拝することが多く、なかなか勝ち星にも恵まれなかった。
そんならくがアイドルとしてステージに立つ。
23日(土)に開催されるアップアップガールズ(プロレス)の単独ライブ。いままではプロレスの試合とのパッケージだったりしたのだが、今回はアイドルに特化したステージになる。アイドルになりたかったらくにとっては、夢の舞台でもある。
「コンサートが近づいてきて、リハーサルの毎日がはじまると、やっぱり『あぁ、私、アイドルしているな』と実感できますよね。いつもの私はファンのみなさんの前で『アイドル50:プロレスラー50』で立っているわけじゃないですか? 東京女子プロレスの会場で歌うときはアイドルとは言っても、リングの上で試合のコスチュームのまま歌うので。
でも、今回の単独ライブでの私たちはアイドルでしかないんです。『アイドル100:プロレスラー0』でステージに立つ。
プロレスもアイドルも「見ている人の心を動かす、という意味では同じ」と語るらくは、クリスマスシーズンの単独ライブで観客に「幸せになってほしい」と言う。
「私たちは普通のアイドルとは違うし、それが唯一無二の存在というか、いちばんの個性だと思うんですよね。その個性を最大限に表現できるのが単独ライブだと思うし、見ている方の日々のモチベーションにつながるようなパワーを感じて、持ち帰っていただければなって思います。その代わり、みなさんに預かってもらっていた『プロレスラー100』の部分は私たちに返してくださいね。すぐに試合があるので(笑)」
単独ライブの翌日、つまりクリスマスイブにはプロレスラーとして両国KFCホールのリングに立たなくてはならない。このふたつのイベントをはしごすれば、アイドル・らくとプロレスラー・らくの魅力を最大限に味わえることになる。
いままでにない形で進化してきた「プロレスとアイドル」がクロスするグループ。その真価は2023年のクリスマスに体感することができる。
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