今期ドラマはラブストーリーを題材にした作品も豊富だ。今回は、ドラマ『君が心をくれたから』(フジテレビ)『Eye Love You』(TBS)『リビングの松永さん』(フジテレビ)の3作品を紹介し、比較したい。


【関連写真】『VOCE』でハッピーオーラ全開の永野芽郁【12点】

“月9”枠で放送されているのが、永野芽郁主演の『君が心をくれたから』。ファンタジーラブストーリーとあって、その設定や物語は特殊だ。永野演じる主人公・逢原雨と、相手役の山田裕貴演じる朝野太陽は、学生のころからの知り合いで、当時からお互いに心を寄せ合っていた。しかし再会した10年後、太陽は事故で重傷を負ってしまう。”あの世からの案内人”が、雨の五感を奪う代わりに太陽の命を助けるというのだった。

味覚にはじまり、五感が一つずつ奪われていく雨と、再開し一命をとりとめたことで再び雨に気持ちを寄せていく太陽のラブストーリー。
これまでの”月9”にはないシリアスな展開を、ファンタジーを織り交ぜることで補完した。

とはいえ、永野芽郁の五感を失っていく演技は難しさを極めるだろう。そもそも映像で伝えることができない味覚や嗅覚をなくしていく様子を演技で伝えるのは難しい。涙のシーンも多く、相当な体力を使っているはずだ。それに対峙する山田裕貴も太陽として、雨が五感を失うことを知らずに純粋に向き合っている。初回こそファンタジーラブストーリーとあって馴染みづらさを感じる設定だったが、話数を重ねるごとに2人の演技に引き込まれる。
展開も気になるところだ。

中島健人主演、高橋ひかるがヒロインを務めるドラマ『リビングの松永さん』。一本気なグラフィックデザイナー・松永を中島が演じ、女子高生・美己を高橋が演じている。美己の家庭の事情でシェアハウスに住むことになり、そこで出会ったのが”松永さん”だ。シェアハウスの面々を演じるのは向井康二、黒川智花、藤原大祐、大久保桜子ら。

近年はドラマ『彼女はキレイだった』(2021年、フジテレビ)、映画『桜のような僕の恋人』(2022、Netflix)などのラブストーリーに出演した中島。
今回のようなアラサー男子で美己の保護者代理でありながら、古風すぎたり空回りしたりといった役柄も珍しい。普段のキャラクターが確立している中島だからこそ、作品での違った表情も楽しめる。女子高生の美己とアラサー松永さんがどのような展開を迎えるのか注目したい。

さらに二階堂ふみ主演のドラマ『Eye Love You』は、民放GP帯連続ドラマ史上初、ヒロインの相手役に韓国人俳優を迎えた。チェ・ジョンヒョプは韓国のドラマ『わかっていても』(2021)、『無人島のディーバ』(2023、いずれもNetflixで視聴可)などに出演しており、韓国で最も注目度の高い俳優のひとりだ。

二階堂演じる本宮侑里は人と目を合わせると心の声が聞こえる”テレパス”の持ち主。
対するチェ・ジョンヒョプ演じるユン・テオは大学で絶滅危惧種を研究する留学生だ。テオが宅配デリバリーのアルバイトをしており、侑里の家に頻繁に配達に行くことでふたりは知り合う。侑里のビジネスパートナー・花岡を中川大志が演じており、今後の三角関係も気になるところだ。

ラブストーリーを題材にしたドラマは展開が読みやすく、結末が見えてしまうことも多い。その点、今期ドラマはいずれのラブストーリーも工夫した設定やキャスティングで視聴者の気持ちを途切れさせず、最終話まで楽しめる可能性も高いだろう。毛色の違うラブストーリーを比較しながら視聴するのも楽しそうだ。


【あわせて読む】『アンナチュラル』コンビ、三谷幸喜の新作も…2024年に大ヒットが期待される実写邦画3選