約7年半ぶりに写真集『ゴーみぃー』(集英社)を発売する筧美和子。東京、福江島、沖縄を舞台に、数カ月に渡って撮影を敢行した本作は、自身がプレゼンした企画で、撮影を担当した佐内正史カメラマンも彼女からのご指名だった。
なぜ写真集を制作しようと思ったのか、その思いを聞いた。

【写真】7年半ぶりに写真集発売、筧美和子の撮りおろしカット【10点】

──写真集『ゴーみぃー』はご自身の企画だったそうですが、刊行までどういう経緯があったのでしょうか?

筧 ずっとグラビアで自分を出すことができなかったんですけど、徐々に自分らしさを出せるようになってきていた5年前、『週刊プレイボーイ』さんでチャレンジングなグラビアを撮影させていただいたんですけど、それがすごく心に残っていて。

ただ当時はお芝居に注力したい気持ちがあって、一旦グラビアからは離れたんです。でも、その頃から「いつか自分らしい写真集を出したい」という気持ちがありました。

──なぜ自分を出すことができなかったのでしょうか?

筧 それまでの私はグラビアに限らずどんなお仕事でも、“求められるものに答える”癖みたいなものがついていたんですよね。だからなかなか自分が表現したいものにたどり着けずにいたんです。
でも今だったらできるかもしれないと、今回の写真集を提案させていただきました。

──それはいつ頃のことですか?

筧 マネージャーには何年も前から話していたんですけど、私の中で方向性がきちんとまとまっていなかったので、具体的に提案したのは去年の夏頃ですね。間に『週プレ』さんも入ってくださって、(写真家の)佐内正史さんにお願いしたいという希望が叶い、そこからはトントンと話が進んでいきました。

──もともと佐内さんと面識はあったんですか?

筧 いえ、今回が初めてです。でも以前から佐内さんの写真集が大好きだったし、大好きなミュージシャンのジャケットや映画のメインビジュアルなどもたくさん手掛けていらっしゃるので、佐内さんの作品からすごく影響を受けていたんです。だから今回、どういう写真集にしたいか考えたときに佐内さんにお願いしたいなと思いました。


──どういうところに佐内さんの魅力を感じるのでしょうか。

筧 人でも物でも区別がなくて、何に対してもフラットなんですよね。人を撮るときは、その人ならではのものが写るし、車だったら、その車の個性や魅力が写し出されていて、すごく自然なんです。私の目指す写真集もそういう形だったんですよね。

──実際に佐内さんとお会いして、どんな印象を受けましたか?

筧 あんなにニュートラルな人は見たことがないですね。干したての布団みたいにふかふかな人で(笑)、佐内さんの周りには気持ちのいい空気が漂っているんです。
こういう人柄だからこそ、いろんなものに対して正直に撮影できるんだなって納得しました。

──グラビア自体が5年ぶりだったと聞きます。撮影ですぐに感覚は取り戻せましたか?

筧 むしろ今までグラビアでやってきたことは必要ないと思ったので、一旦忘れて、真っ白な気持ちで臨みました。今回は事前準備もほとんどしなかったんですよ。約3カ月かけて撮るというのもありましたし、佐内さんと撮るにあたって、繕って行くのは違うなと思ったんですよね。

だからボディメイクもハードにはしませんでした。
久々だったので、水着での撮影前はどうしようかなと思ったんですけど、無理に節制もせずに、生き生きとした姿が写ったらいいなと思って、力まずに、普段通りの姿で撮っていただきました。

──他の仕事も並行していますから、3か月でも変化はありますよね。

筧 そうなんです! 分かりやすいところで言えば、途中で髪の毛を切りましたし、写真集を撮っている期間に心境の変化もあって。そういうのが顔つきにも出ていて、人ってこんなに短期間で変わるものなんだと写真を見て他人事のように思いました(笑)。

(取材・文/猪口貴裕)