──本日はよろしくお願いいたします!
新井 んちゃ!よろしくお願いいたします!!
──まさかアラレちゃん言葉!……(テーブルを見て)明星のヘアカタログ!しかも86年刊行の。
新井 はい!当時の髪型を研究しようと思い、神保町の古本屋さんで見つけて買いました。この前開催した親衛隊ミーティング(ファンミーティングの総称)では、ここに載っていた高井麻巳子さんの髪型を参考にしたんですよ。ただ驚いたのが定価750円の本が、今では10倍の値になっていて! 買う時、ちょっと躊躇しちゃいました(笑)。
──アハハ! 改めてソロデビュー、おめでとうございます。テーマが「80’」sと聞いて驚きました。
新井 そうですよね。私も聞いた時は、驚き桃の木山椒の木! ワオ!! でしたから。
──さっそく80年代感をものにしていますね(笑)。ソロ活動のお話はいつごろから出ていたのですか?
新井 いつだったかな? そんなに昔じゃないんですよね……半袖の服を着ていたと思います。
──季節が夏だということはわかりました(笑)。どういうキッカケでスタートしたのですか?
新井 スタッフさんから「この歌、きっと似合うよ」と、『デリケートに好きして』を勧められたんですよ。どうやら『デリケートに~』を歌っている太田貴子さんと私の声質が似ているからという理由らしいんです。そう言われたら気になるじゃないですか。家に帰って聴いたところ、声質のソックリぶりも気になったのですが、何より楽曲がものすごく良い! あわせて当時の文化を調ベーてみると、髪形や恰好が可愛くて私もやってみたいなぁ……と思うようになってきて。そこから私もやりたいことをリクエストしていったら、本格的にソロでやってみようか!となったんです。
──今までdancinthruthenightsへの参加、tofubeatsさんの客演などでソロ歌唱は披露していましたが、本格的なソロとしては初ですよね。
新井 今まではソロで歌うにしても“女子流の新井ひとみ”でした。それが「新井ひとみ」でドーン!ですからね。こうして女子流が来年に10周年という大きな区切りを迎える時に、大きなチャンスをいただけるのは嬉しいので、ならばこのチャンスをもっと大きくしていかなくちゃ!と、今は燃えに燃えてます! 今は衣装も自分で管理して、メイクや髪形もヘアカタログをみながら自分で研究したりと、新人としての活動を存分に味わっています。
──今回、この『デリケートに好きして』は『魔法の天使クリィミーマミ』という80年代を代表するアニメのOPです。作品のことは歌う前からご存知でした?
新井 いえ。
──沢山の方に愛されている作品の代表曲をカバーするのは、緊張しますか?
新井 最初はもう緊張しかなかった! けど今は楽しみの方が強いかも。昔から知っている方はモチロン、新しくこの曲を知った方に、届けばイイなぁ~と思っています。
──今回歌の部分で意識されたことは?
新井 『デリケートに~』は、楽曲の中に“三つの人格”が入っているんですよ。まずAメロとBメロは小さい頃……小学低学年の表現を意識していて、サビはザ・アイドル、間奏では“新井ひとみ”という三つに分かれていて。パートごとに私の表現が変わる部分を楽しんで聞いてほしいですね。あとは、全体的に80年代のアイドルさんの歌い方、特に語尾がハネるような歌唱法を相当意識しました。Bメロ終わりの「本当よ♪」という歌詞が、こうクイッと上ずるように上がるんですよ。この歌い方は女子流ではやってこなかったので、レコーディングは相当苦労しました(苦笑)。
──歌い方で参考された方はいますか?
新井 オリジナルを歌われた太田貴子さんの歌い方はたくさん研究しました。あとは、松田聖子さん。ハネ方の上手さはモチロン、音域が広いんですよね。艶やかで芯のある声をされているで、可愛くもありカッコよさも感じるんですよ。画面を通して見ると、振りや仕草が可愛いなぁ~!とキュンキュンするのですが、声だけを聴くとハッ!となるぐらいカッコいいんですよね。
──衣装からメイク、髪型まで、徹底して80年代当時のアイドルファッションを意識されていますね。髪形は、やはり「聖子ちゃんカット」をイメージしている?
新井 はい! 松田聖子さんの髪形がいいなぁと思い整えています。この髪の毛、ウィッグを使っているのですが、今使っているウィッグ、実は二代目なんですよ。最初のウィッグは、アイロンをかけても全然形にならないから、ヘアスプレーを大量に使ってガッと固めて形を整えていたんですね。それを繰り返していたら、シャンプーするたびに毛が抜けちゃって! ヘアスプレーの使い過ぎで、初代は頭皮が大分寂しい感じになっちゃったんですよ(笑)。今使っているのは二日前に新調したものです。ヘアメイクさんからカーラーを使った形作りを教えてもらったので、これからは抜け毛に悩まされずに済みそうです!
──ここまで抜け毛を気にするアイドルって(笑)。
新井 はい! 毎日丹念に髪の毛が抜けないように優しく洗ってあげています。ちゃんとドライヤーで乾かしたら、頭の形のセットに乗せています。朝起きるとそのセットに「おはよう」って挨拶しています(笑)。愛着湧きすぎて、完全にペットみたいですよ。
──アハハ! その80’sヘアーになったご自分を見た時、どう思われました?
新井 今までずっとショートカットに憧れていたのもあって、とにかく嬉しかったですね(笑)。そもそもウィッグをかぶろうと提案したのは私なんですよ。かぶると「新井ひとみ」のスイッチが入りますね(指をパチン!)。
──髪型もですが、衣装もザ・80’sアイドルドレスですね。
新井 最高! この衣装は私の“好きなもの”を、山邉未夢が形にしてくれたんです。
──最近女子流の衣装も山邊さんが手掛けましたが、新井さんの衣装も山邊さん作なんですか!
新井 そうなんですよ。「ヒラヒラしたお姫様みたいなカワイイ衣装」という私の難しい要望を叶えるために、パニエを5枚も使って、ものすごくふわふわのスカートを作ってくれたんですよ! 肩の部分のヒラヒラも可愛くて……カッコイイものから、キラキラしたザ・アイドル!な衣装まで作れて、ベーさんは天才! 私の好きが詰まった衣装なので、袖を通すだけでこう……ウキウキします(ニコニコ)。
──庄司芽生さん、中江友梨さんはどういう反応でした?
新井 いいじゃん!似合ってるよ~!!ってメチャ褒めてもらいました(照笑)。これからもっと自由にやっていきなよぉ!って、背中を押してくれているので、本当に女子流のみんなは心強い存在ですよ。
──80’sの超王道アイドル的な自分、女子流時のアーバンな自分、どっちが性に合ってます?
新井 う~ん……どっちも本当の私だしなぁ~……、自信持って言うと、どっちの私も似合ってるんだよなぁ~!なんちゃって(照笑)。
──80年代アイドルを色々と研究された中で、今のアイドルとの共通点、または違いの部分はどこに感じました?
新井 個性を大事にしているという部分はものすごく今と共通しています。松本伊代さんは声を聞くだけで、「伊代さんだ!」とわかるぐらいに、個性が伝わってきて。今のアイドルさんもすごく個性を大事にされているじゃないですか。そういう部分で似ているのかなぁと。逆に違う部分は、音楽番組での取り上げられ方かな? 今は、基本は番組のシンプルなセットの中で歌います!という流れですが、昔は「ザ・ベーストテン」の動画などを見ていると、すごく変わった所で中継したり、ド派手な演出が毎回あって、驚きました。私が見た中で印象的だったのは、うしろゆびさされ組さんが『渚の「……」』を披露している時に、大量の銀テープが降ってきて、お二人の顔が全然見えなくなっちゃって(笑)。お二人の髪にドッサリテープがついた時に、お互いの顔を見て笑っちゃうんですよ。その光景のほほえましさが良いと同時に、どれだけ面白くて目立ったことができるか!?に挑戦しているみたいで、すごくいいなぁ~と思いながら見ていました。
──それこそ、夜のヒットスタジオなどは、バックに生バンドが控えていましたからね。
新井 そう! 豪華ですよね。今って、映像技術が発達しているからか、特殊な演出を全て映像でなんとかできちゃいますが、この当時って全て世界観を再現するために実際に作っちゃうじゃないですか。その味わい深さがいい。みんなで作ってる感が、いいんですよ。技術の発達した分、無くなった分かもたくさんあるんだなぁ~って。そういう時代に憧れます。
──アイドル文化以外に、憧れる部分はありますか?
新井 ファッション! ピンクにグリーンという、不断なら絶対に合わせないような色を組み合わせていて、可愛いなぁ~って。最近はお母さんからもらったおさがりを着ています。お母さんの青春時代が思いきり80年代なので、その頃に流行った洋服をたくさん持っていて。アニマル柄や千鳥柄の服をもらってきちゃいました。今は実家に帰る度に「これ、可愛いから持って帰っていい?」っておねだりして、「私が着るものなくなっちゃうよ~」って怒られるを繰り返しています(笑)。
──ちなみにですが『クリィミーマミ』自体はご覧になられました?
新井 見ました! 最初、どんな感じの作品なんだろうなぁ?と、勉強のつもりで見始めたら、気がついたら全話見ていました。
──おぉ! それはスゴイ。
新井 一話見だすと後が気になって、どんどん見進めちゃって(笑)。ここしばらくは『クリィミーマミ』ばかり見てました。主人公の優ちゃんが俊夫くんに一途なところがいいんですよねぇ~(ニコニコ)。マミに夢中の俊夫くんい向かって「俊夫~!」って、ちょっとプンプンしながら呼ぶところが、もうカッワイイ!! 特に最終話は、宇宙船が来るまでにライブが間に合うのか!? 間に合わないのか!?っていう緊張感から始まり、最高のライブ演出があって。「なんで!? もっとマミに歌わせてあげてよ!!」って思いながら釘付けになっていました。
──では、新井さんが優のように「あと、1年でアイドル活動は終了!!」と言われてしまったとしたら、どんなアイドル人生を送りますか?
新井 えぇっ!? 色々とカバーに挑戦したいし、できればオリジナル曲も歌いたい。今からやりたいことだらけなのに、1年しかないとかムリ! けど、マミは1年しか活動していないんですよね……最後の最後に「アイドル人生、楽しかった~!」と思えて、ファンの方が「辞めないで~!!」と止めてくれるぐらいの存在になっていたいなぁ。とにかく今はやりたいことが多すぎて、詰め込みすぎて「もう、わけワカメ!」にならないように気を付けなきゃ!

▽新井ひとみソロデビューシングル
『デリケートに好きして』
11月27日(水)発売