HKT48の森保まどかがソロピアノアルバム『私の中の私』を1月29日(水)にリリースする。総合プロデュースを務めるのは松任谷正隆、その他にも武部聡志、鳥山雄司、本間昭光、伊藤修平と日本を代表する4人が楽曲プロデュサーとして参加している。

誰もが耳にしたことのある有名クラシック曲を大胆にアレンジ、今作のために書き下ろしたオリジナル楽曲6曲も収録し、「アイドルのピアノアルバム」とは一線を画す本気の1枚に仕上がっている。

すべてのレコーディングを終え、発売を待つばかりの森保まどかにピアノの話、そして所属するHKT48の話を聞いた。

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──アルバム制作の発表があってから長い期間が経ちました。その間の気持ちは?

森保 ファンの方も、アルバム制作のことに触れていいのかわからなかったみたいです。心配されてもいたし、自分でどうすることもできなかったので、こうして発表できて本当によかったです。昨年、ひざを怪我してしまって、活動をセーブしなくてはならなかったんですけど、その間に本格的に制作が動き出したことはよかったです。

──まさに怪我の功名ですね。実際に動き始めたのは?

森保 一昨年の冬に『悲愴』のMVを軽井沢で撮影してからです。アルバムプロデューサーの松任谷正隆さんが、「まずは視覚からイメージを広げていきたい」とおっしゃったので、MVから撮影することになりました。それから、去年5月頃に会議がありまして。松任谷さんをはじめ、今回アルバムに携わってくださったプロデューサーさんやスタッフさんたちとどんな内容にするか、どんな形で進めていくか……といったお話をしました。会議なんて出たことがなかったし、錚々たる顔ぶれだったので、気後れしたんですけど(笑)。


──松任谷さんの他に、武部聡志さん、鳥山雄司さん、本間昭光さん、伊藤修平さんが参加されていますね。日本のトップアーティストを手掛けている方々です。松任谷さんはどんな方でした?

森保 『悲愴』をレコーディングした頃は、勝手におびえていたんですけど(笑)、それは完全に私の思い過ごしで。褒めて伸ばしていただきました。レコーディングには毎回立ち会ってくださったし、とても優しい方です。
HKT48森保まどか“本気の”ピアノアルバムを発売「制作過程で改めて気づいたピアノの楽しさ」


──アルバムに向けて、どれくらい練習しましたか?

森保 家に電子ピアノはあるんですけど、四六時中弾けるわけではないので、ピアノを置いているスタジオに通いました。東京だと24時間空いているスタジオがあるんですけど、福岡だと事情が違うので、自分でスタジオに電話して、予約して……という感じです。店員さんともすっかり顔見知りになりました(笑)。握手会で東京に来たら、(福岡に戻らず)そのまま残ってスタジオを借りることもありました。

──そんな毎日を過ごしていると、ピアノに対しての考え方に変化はありませんでしたか?

森保 価値観が変わってきました。HKT48に入るまでに習っていた頃の私は、コンクールに勝つための練習をしていました。コンクールに勝つためには、先生の教えをそのまま弾くという練習なんですけど、それを続けていると、「自分のピアノ」じゃなくて、「先生のピアノ」になるんです。
当時は、先生が弾いた音に染まろうとしていました。でも、アルバム制作の合間、息抜きに好きな曲を弾いていると、「あれ? ピアノって楽しいかも」と感じた瞬間があって。「そっか、ピアノって楽しいものなんだ」と気づかされました。普通はそうですよね。好きな曲を好きなように弾いたり歌ったりするのが、音楽の入り口ですから。それに、先生の表現ではなくて、自分なりの表現をすることも楽しいなと感じるようになりました。

──コンクールに求められているものって、正確さなんですか?

森保 審査員の方によっても違うと思うんですけど、音のきれいさ、個性、表現力、選曲……いろいろな観点があります。個人的には、難しい曲を中途半端に弾くより、簡単な曲を完璧に弾いたほうが点は出やすいですし。審査員の方との運と相性は大きいかもしれないです。

──上手く弾けたという実感は得られるものなんですか?

森保 あります。アルバムのレコーディングでいえば、「このテイクはよかった!」と思えるものもありました。以前習っていた時よりも、今のほうがそういった手ごたえはありますね。


──アルバムが発売されることで、将来の道が見えてきたりしていませんか?

森保 今回のアルバム制作で、プロデューサーさんはコードで説明をしてくれるんですけど、私はコードも楽譜の読み方もちゃんと勉強したことがなかったので、ちゃんとやったほうがいいなと実感しました。作曲に挑戦したいという欲も芽生えました。表現者として舞台に立ち続けたいのはもちろんだけど、裏方作業にも興味が出てきました。

──ピアノの道に進みたいという願望はそれほどないものなんですか?

森保 それを考えることもあります。でも、職業=ピアニストって本当に大変なことだと思うんです。だから、もっと音楽のことを勉強して、アレンジャーになるとか、自分もステージに立ちながら曲を作るとか。そういった道も見えてきました。HKT48の活動でも、そういったことをやってみたくもなりました。
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──HKT48では田中菜津美さんや朝長美桜さんが相次いで卒業を発表しました。自分への影響はありますか?

森保 アイドルに卒業は必ずやってくるものなので、自分もいつかは……と考えることもあります。でも、私がすぐ卒業することはないですね。このアルバムも「アイドルとしての集大成」じゃなくて、「ピアノの集大成」ととらえていただければ(笑)。


──HKT48は昨年11月で8周年を迎えました。1期生はアイドルを8年続けてきたことになります。

森保 22歳で社会人9年目ってすごいですよね(笑)。

──最近、1期生とはどんな距離感ですか?

森保 今田美奈ちゃんはこのアルバムのことをとっても楽しみにしてくれているので、早く手渡ししたいです。8周年の記念公演の日(昨年11月26日)に感じたのは、時代は変わるなぁということです。卒業したメンバーのことも思い出して。そうそう、その日、1期生が後輩メンバーを前に色々とお話したんです。今のHKT48は、1期生と2期生が後輩たちを引っ張るという形ができています。そういう姿を見ていても、時代は変わるなぁって。

──そういう時、森保さんも話すんですか?

森保 私は何も言いません。求められたら言うこともありますけど、個人的に伝えるくらいです。今のグループの形って、九州ツアーを通してでき上がったものなんです。
私はそのすべてに参加できたわけじゃないから、自分が今のHKT48に対してどうリンクしていけばいいんだろうって考えちゃうことはあります。でも、今の自分にできることは、いただいた個人のお仕事を頑張ることでグループへの入り口を作ることかなと思うんです。後輩たちが私の姿を見て、こういう頑張り方もあるんだなと思ってもらえれば嬉しいです。

HKT48森保まどか“本気の”ピアノアルバムを発売「制作過程で改めて気づいたピアノの楽しさ」

▽森保まどかピアノソロアルバム『私の中の私』
1月29日(水)発売
アルバムプロデューサーを松任谷正隆が、楽曲プロデューサーを松任谷正隆、武部聡志、鳥山雄司、本間昭光、伊藤修平が務めた本気のピアノアルバム。『悲愴』のMVとMVメイキングが収録されたDVD付きの通常盤がリリースされる。
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