モーニング娘。で強烈なインパクトとともにデビューした後藤真希が、25周年を迎えた。
11月29日に発売された最新写真集『flos』(講談社)でも神懸かり的な美貌で話題を呼んでいる。世代や性別を超えて「別格」と尊敬される彼女に、改めてこれまでのキャリアや現在の心境について語ってもらった。(前後編の後編)

【写真】神懸かり的な美貌、後藤真希の撮りおろしカット【10点】

──今年の後藤さんの活動を振り返ってみると、やはり新曲やミニアルバムを出したことが大きかったように感じます。

後藤 新曲を出そうという話は前からあったんですけど、それが25周年というタイミングにハマったという部分は大きいでしょうね。それにしても13年ぶりということになるから、そこは周りにも驚かれるんですけど。

──ある程度キャリアを重ねると、新しく音源をリリースしなくても活動できるという面はありますよね。

後藤 そうかもしれないけど、やっぱり新しい自分を出していきたいという気持ちがあるんです。新しい曲をリリースして、しかもありがたいことにそれがいろんなところで取り上げてもらえたことで、「もっと頑張ろう」ってしみじみ思ったんですよね。“出したから終わり”ってことじゃなくて、むしろここからがスタートだなって。

──ここからまだ挑戦していきたいと?

後藤 そうですね。やっぱり最終的にはプライドの問題になると思うんです。やるからにはちゃんと進化したところを見せていきたいし、「みんなを引っ張っていくぞ!」みたいな意識が自分の中にありまして。
そこはいまだに捨てられないな。

ライブ自体は毎年やっているけど、それもただやればいいという話ではなくて、何かしらの成長を自分でも感じたいし、観ている方にも届けたいんですよ。毎回、進化させるというのが一番のモチベーション。そのためにコンディションも作っていかなきゃという話になるわけで。

──素晴らしい志の高さです。

後藤 やっぱり理想は高く持っていたいじゃないですか。自分の理想にどこまで近づけるのか……そこは永遠の課題ですね。難しいなと思うのは、歌とか音楽の世界って100%がないんです。「次はもっといいものを作りたい」「今度はこんなことをやってみたい」と試行錯誤をずっと続ける感じになって。

──たとえば世の中のアイドルやアーティストは、目標として「武道館」「オリコン1位」「紅白出場」といったことを揚げますよね。後藤さんの場合、10代前半でそれらすべてを叶えているわけじゃないですか。

後藤 “気づいたら”って感じでしたけどね。
だから、そういう意味でいうと、今の目標は“クオリティを高める”ってことに絞られているのかもしれない。カッコいい自分でいたいんですよ。それをファンの人にも見せていきたいですし。1歩でもいいから、前の自分よりも進んでいる状態でありたいというか……。

──だいぶ前の話になりますが、ドリーム モーニング娘。の武道館公演でステージに上がったとき、モーニング娘。時代とは比べものにならないくらいバキバキに踊っていたから驚いたんですよ。

後藤 あのときは「ステージに出る以上、一番目立たないと」という気持ちでやっていました。というか、それはグループ時代も同じですね。「一番じゃないとダメ」という気持ちは常にすごく強かったです。でも、その気持ちはみんなも同じじゃないですかね。ドリムス。
のときは久しぶりに「一番にならなきゃ」という気持ちが強く出て、燃えるものがありました。

──紆余曲折の芸能人生ですが、ここまで25年を振り返ってみていかがですか?

後藤 中1のときは25年も続けるなんて想像もしていなかったし、それどころか19歳くらいで結婚すると思っていました。当時の(所属事務所)社長にも「私、19で結婚して辞めますから」って伝えましたし。あとから社長には「おい、19で結婚という話はどうなったんだよ?」とか冷やかされましたけど(笑)。

──人生、予定通りに進むことのほうが珍しいですからね。

後藤 しかし、25年かぁ。ホント長いですよね。振り返るといっても、一言じゃ言い表せないな。いろんなことがありすぎた! たとえば織田信長だって、やってきたことを表にしたらA4用紙1枚でまとめられると思うんですよ。私の場合、ドラマとか舞台とかライブとかも合わせたらとんでもないことになるので。

──織田信長は桶狭間の戦いが1560年で、本能寺の変が1582年。後藤さんの25周年に対して、22年しか実質的な活動期間がなかったという見方もできます。


後藤 ……ん? ヤバいな。これじゃ私が織田さん以上の偉人だと自慢しているみたいに思われるか(笑)。でも25年も経てば世の中も変わるし、その時代に合わせて活動をしていくような部分もありましたね。だってデビューした13歳のときなんて、ガラケーで着メロとか入れて過ごしていたんですよ。まさかスマホというものが現れて、仕事でそれがめちゃくちゃ大事なものになるなんて誰も予想していなかったじゃないですか。

──いろいろあったとはいえ、続けているということは、結局、この仕事にやりがいを見出しているということでしょうか?

後藤 充実感はあります。それはなぜかというと、ファンの人がいるから。コロナ明けで有観客のライブをやったとき、それは特に強く感じました。芸能人って決まり事みたいに「ファンの人のおかげで……」と言っているように感じるかもだけど、私は本当に感謝しているんですよ。久しぶりに来てくれた人の顔を見て「まだファンでいてくれたんだ!」って感激したり、新しいファンの人を見て「まだ若いのに、どこで知ったの!?」って驚いたり。私にとって活力なんですよね、ファンの方の存在は。

(取材・文/小野田衛)

▼後藤真希(ごとう・まき)
1985年9月23日、東京都出身。
99年、モーニング娘。のメンバーとしてデビューし、数多くのヒット作に参加。その後はソロアーティストとして活躍の場を広げる。近年はライブや舞台などのほか、YouTuberとしてもマルチに活動している。24年7月には13年ぶりとなるシングル『CLAP CLAP』、同9月にはミニアルバム『prAyer』をリリースして話題を呼んだ。写真集「flos」が通常版・電子版で発売中。
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