現在放送中の連続テレビ小説『おむすび』(総合・月曜~土曜8時ほか)。3月3日(月)~7日(金)放送の第22週「理想と現実って何なん?」では、菜摘(田畑志真)が上司・豊岡部長(隈本晃俊)との関わり方に悩んだり、要蔵(内場勝則)が神戸から出ていくことになったりと何かと“おじさん”がフューチャーされた週となった。
今回は、『おむすび』に登場してきた“おじさん”キャラを振り返りつつ、今作ならではの“おじさん描写”を深堀りしてみたい。

【写真】『おむすび』ならではの“おじさん描写”、第22週場面カット【5点】

皆さんは、『おむすび』に登場する「好きなおじさんキャラ」を聞かれて誰の名前を挙げるだろうか。個人的なイチオシは父・聖人(北村有起哉)なのだが、今作はおじさんキャラが豊富で推しを決めるのはやや難しい。旅立った永吉(松平健)もその一人で、ザ・昭和な頑固オヤジでありながら最後まで自分のモットーを貫く強さには惚れ惚れしてしまった。

結(橋本環奈)たち米田家が神戸に戻ってからは、真紀ちゃん(大島美優)の父で靴職人のナベさん(緒形直人)や、結が専門学校で出会ったモリモリ(小手伸也)、星河電器の上司・立川(三宅弘城)も登場し、要所要所でおじさんキャラが差し込まれている。

特にナベさんは、娘を亡くして頑なに閉ざしていた心をゆっくり開いていく姿や、ギャルたちから“ナベべ”と呼ばれギャル靴の制作に取り組む姿などが時間をかけて描かれ、視聴者の中にはナベさんファンも多い様子。聖人とのおじさんコンビも人気で、『おむすび』公式Xで公開された“初プリ”オフショットには1万件近い「いいね」が寄せられている。

また結、カスミン(平祐奈)、サッチン(山本舞香)という女子メンバーの中で一人異彩を放っていたモリモリも、回を追うごとにどんどん愛されキャラに。サラリーマンを辞めて45歳で専門学校に入学したモリモリだが、父的ポジションになることなく、あくまで対等に結たちに接する姿が好印象だった。

個性豊かなおじさんキャラが集う中、第22週でフューチャーされたのは、さくら通り商店街のお馴染みメンバー・要蔵だ。美佐江(キムラ緑子)と福ちゃん(岡嶋秀昭)と共にいつもヘアサロンを訪れ、お笑いトリオとして商店街を盛り上げてきた要蔵。しかし今回、妻と一緒に介護付き老人ホームに入所することに。
最後は“内場勝則”全開の新喜劇式で別れを告げ、神戸から去ってしまった。

また第22週が初登場だった、菜摘の上司・豊岡部長は何やら若い女性を下に見ている様子。結には目もくれず塚本科長(濱田マリ)ばかりに話しかけたり、菜摘のプレゼンに具体的なアドバイスをしなかったりと、SNSでは「パワハラ部長?」「部長昭和だな~」など厳しい意見が寄せられた。

結も星河電器時代、ワンマン主義だった上司の立川と衝突。当時の結は社会人1年目の新人だったため勢いでぶつかっていくことができたが、菜摘の場合は入社7年目の中堅。自分のプライドもあり、なおさら上司との関わり合い方に悩んだのだろう。

結果、立川も豊岡も部下思いの良い上司であったのだが、近年はパワハラやセクハラによって若者とおじさんが対立する…といった作品が多いせいか、気難しそうなおじさんキャラが登場するとつい敵視してしまいがちだ。豊岡が塚本に「今は令和ですよ」と釘を刺されたように、我々視聴者も表面だけで「敵だ」と身構えてしまうところは反省したい。

『おむすび』に登場するおじさんたちは、変にデフォルメされたり誇張されたりしておらず、いい意味で“その辺にいそうなおじさん”である。もちろん、前作『虎に翼』の多岐川(滝藤賢一)のように一度見たら忘れないクセ強おじさんも好きなのだが、今作のように普通のおじさんたちが仕事や家族に向き合う姿をじっくり見られるのはありがたい。

ヒロインと育った時代も価値観も違うおじさんたちが、それでも何とか若者に寄り添おうとしたり、令和という時代を意識しながら進む姿を見ていると、なんだか勇気をもらえたりする。また、相手へのリスペクトの気持ちがあれば、生まれた時代の差というのは大きな問題ではないのかもしれないとも思わされた。
我々も今作に登場するようなチャーミングな“おじさん”“おばさん”たちを目指して、日々アップデートしていきたい所存である。

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