5月28日にトンツカタン森本の書籍「ツッコミのお作法 ちょっとだけ話しやすくなる50のやり方」(KADOKAWA)が刊行される。書籍には、“ツッコミガチ勢”を自認する森本のツッコミ哲学から、ツッコミから見るコミュニケーションの方法なども記されている。
【写真】事細かに書かれた書籍「えっ引退するの?」佐久間宣行も驚き、執筆エピソードを語るトンツカタン森本の撮り下ろしカット【4点】
――書籍では「ちょっとだけ話しやすくなる50のやり方」としてツッコミを紹介しています。コミュニケーションにおけるツッコミの役割とはどのようなものでしょうか?
元も子もないですけど、日常生活では無理してツッコまないのが大事だと思います。お笑い芸人と比べて、普通の人はあんまりボケたりしないじゃないですか。そんなつもりじゃないのに、自分の価値観で「嘘つけ」とかツッコんじゃうのは失礼ですよね。僕にとってツッコミは武器になりますけど、場合によっては凶器にもなる。無理してツッコまないのがコミュニケーションのコツかなと思います。
――森本さんの場合、普段から周囲の人にボケられてツッコミを待たれることも多そうですよね。
舞台上や収録ではツッコミのスイッチをオンにして、向こうもボケのスイッチをオンにしているはずだから、ツッコミますけど、その後ご飯行こうとなったら僕はあんまりツッコまないかもしれない。僕も普段からやたらめったらツッコんでいるわけではないということは太文字で書いといてください(笑)。
――たしかに普段からツッコんでばかりいたら、コミュニケーションが成り立たないですよね。
先輩とご飯へ行くとなったら失礼なことはしたくない。まずは丁寧に信頼関係を築いてからこそ、本番で「お前うるせえよ」と言っても、お笑いでやっているんだなとわかってもらえますよね。そういう失礼してもいいポイントは稼いでおいたほうがいいです。
――逆に日常のどんな場面でツッコミは活きるのでしょうか?
面白いボケは日常ではなかなかないですよね。だから、いじりとか失礼ボケのときに無視するのもいいですけど、ちょっとツッコミで返しつつ、相手にもちょっと嫌な思いさせるというか(笑)。性格悪くなっちゃいますけど、そういうお守り的な感じでツッコミを持っておくのはありかなと思います。基本的には和気あいあいとコミュニケーションを取りたいですけど、泣き寝入りしたくないなというときの懐刀としてツッコミがあってもいいかもしれない。こちらが気持ちをためこまないように、それでいて喧嘩にならないような返しとしてツッコミは使えるかなと思います。
――お守りいいですね。実際に使う際の注意点などはあるのでしょうか?
ツッコミがうまくない人の特徴として、あらゆる人に対して同じワードを使ってしまっているというのがあると思います。例えば、初対面の人と旧知の仲の人だとワードの選択肢って違うはず。旧知の仲だから「うるせえよ」と言えるけど、初対面の人には言わないほうがいいですよね。
――なるほど。想像力ですね。
ちょうどこの前も「佐久間宣行のNOBROCK TV」(YouTubeチャンネル)でドッキリをかけられたんです。加護亜依さんがインパルスの板倉俊之さんに操られていて、「タバコ吸いたいですね」と言ったときに、まだどっちかわかんないじゃないですか。関係性によってはボケとして「まだタバコ吸ってるんかい」とか「気遣うわ」とか言えるけど、もしかしたら本当にタバコ吸いたいと思っているかもしれない。だから、「喫煙所どこですかね」みたいな感じで抑えとく。そういうのって大事で、人によってオーダーメイドであるべきかなと思います。
――ツッコミしろを逃したとはならないわけですね。
昔は全部ツッコんでやると思っていました。でも、もし僕が加護さんに「まだタバコ吸ってんのかい」と言って向こうが嫌な気持ちになったら、そこから喋ってくれなくなっちゃう可能性もあるわけじゃないですか。そうしたら、そこから全部のツッコミしろを逃すことになるので、まずは打ち解けてなるべく信頼してもらえるような人間であろうとしています。
――改めて書籍についても伺います。まずオファーされたときの率直なお気持ちはいかがでしたか?
僕には荷が重いなと。 ただ、めちゃくちゃ売れているツッコミの人が書く本とは絶対内容が変わってくる。絶妙に売れているのか売れてないのかわかんない、芸人が書くツッコミ本のほうが生々しくて、この状態の僕でないと書けない文章があるのかなと思って、受けさせていただきました。
――たしかに生々しいというか、ツッコミについて事細かに書かれていることに驚きました。
初めての書籍で出し惜しみなくと思ったんですけど、帯も書いてくれた佐久間さんに会ったときに「えっ引退するの?」と言われました(笑)。こんなに書かなくてよかったのかと思いました。
――執筆していく中で注意していたことはありますか?
まずは偉そうにならないこと。あとは細かいですけど、ツッコミの言葉が改行でキレが悪くならないようにしました。ちゃんと「なんてキュートな人なんだ」みたいなツッコミワードを一気に読めるように。僕はあんまり本を読まないんですけど、そんな僕でも読みやすいようにすれば、みんなそうだと思うので、そのあたりは気をつけました。
――最後にどういうふうにこの書籍が届けばうれしいでしょうか?
「ツッコミの作法」と銘打っているのでツッコミ論なんですけど、読み物として面白くできたつもりです。
▽森本晋太郎(もりもと・しんたろう)
1990年、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。
【前編はこちらから】トンツカタン森本、ツッコミ一筋でたどり着いた“テレビで重宝される芸人”の現在地
今回は書籍の上梓に先立ち、森本にインタビューを実施。ツッコミはコミュニケーションにおいてどのように役立つのか、お笑い芸人以外にとってもためになる情報を教えてもらった。(前後編の後編)
【写真】事細かに書かれた書籍「えっ引退するの?」佐久間宣行も驚き、執筆エピソードを語るトンツカタン森本の撮り下ろしカット【4点】
――書籍では「ちょっとだけ話しやすくなる50のやり方」としてツッコミを紹介しています。コミュニケーションにおけるツッコミの役割とはどのようなものでしょうか?
元も子もないですけど、日常生活では無理してツッコまないのが大事だと思います。お笑い芸人と比べて、普通の人はあんまりボケたりしないじゃないですか。そんなつもりじゃないのに、自分の価値観で「嘘つけ」とかツッコんじゃうのは失礼ですよね。僕にとってツッコミは武器になりますけど、場合によっては凶器にもなる。無理してツッコまないのがコミュニケーションのコツかなと思います。
――森本さんの場合、普段から周囲の人にボケられてツッコミを待たれることも多そうですよね。
舞台上や収録ではツッコミのスイッチをオンにして、向こうもボケのスイッチをオンにしているはずだから、ツッコミますけど、その後ご飯行こうとなったら僕はあんまりツッコまないかもしれない。僕も普段からやたらめったらツッコんでいるわけではないということは太文字で書いといてください(笑)。
――たしかに普段からツッコんでばかりいたら、コミュニケーションが成り立たないですよね。
先輩とご飯へ行くとなったら失礼なことはしたくない。まずは丁寧に信頼関係を築いてからこそ、本番で「お前うるせえよ」と言っても、お笑いでやっているんだなとわかってもらえますよね。そういう失礼してもいいポイントは稼いでおいたほうがいいです。
――逆に日常のどんな場面でツッコミは活きるのでしょうか?
面白いボケは日常ではなかなかないですよね。だから、いじりとか失礼ボケのときに無視するのもいいですけど、ちょっとツッコミで返しつつ、相手にもちょっと嫌な思いさせるというか(笑)。性格悪くなっちゃいますけど、そういうお守り的な感じでツッコミを持っておくのはありかなと思います。基本的には和気あいあいとコミュニケーションを取りたいですけど、泣き寝入りしたくないなというときの懐刀としてツッコミがあってもいいかもしれない。こちらが気持ちをためこまないように、それでいて喧嘩にならないような返しとしてツッコミは使えるかなと思います。
――お守りいいですね。実際に使う際の注意点などはあるのでしょうか?
ツッコミがうまくない人の特徴として、あらゆる人に対して同じワードを使ってしまっているというのがあると思います。例えば、初対面の人と旧知の仲の人だとワードの選択肢って違うはず。旧知の仲だから「うるせえよ」と言えるけど、初対面の人には言わないほうがいいですよね。
人となりを知らないからこそ、こういうことは言わないだろと、自分の価値観で決めつけないようにしています。
――なるほど。想像力ですね。
ちょうどこの前も「佐久間宣行のNOBROCK TV」(YouTubeチャンネル)でドッキリをかけられたんです。加護亜依さんがインパルスの板倉俊之さんに操られていて、「タバコ吸いたいですね」と言ったときに、まだどっちかわかんないじゃないですか。関係性によってはボケとして「まだタバコ吸ってるんかい」とか「気遣うわ」とか言えるけど、もしかしたら本当にタバコ吸いたいと思っているかもしれない。だから、「喫煙所どこですかね」みたいな感じで抑えとく。そういうのって大事で、人によってオーダーメイドであるべきかなと思います。
――ツッコミしろを逃したとはならないわけですね。
昔は全部ツッコんでやると思っていました。でも、もし僕が加護さんに「まだタバコ吸ってんのかい」と言って向こうが嫌な気持ちになったら、そこから喋ってくれなくなっちゃう可能性もあるわけじゃないですか。そうしたら、そこから全部のツッコミしろを逃すことになるので、まずは打ち解けてなるべく信頼してもらえるような人間であろうとしています。
――改めて書籍についても伺います。まずオファーされたときの率直なお気持ちはいかがでしたか?
僕には荷が重いなと。 ただ、めちゃくちゃ売れているツッコミの人が書く本とは絶対内容が変わってくる。絶妙に売れているのか売れてないのかわかんない、芸人が書くツッコミ本のほうが生々しくて、この状態の僕でないと書けない文章があるのかなと思って、受けさせていただきました。
――たしかに生々しいというか、ツッコミについて事細かに書かれていることに驚きました。
初めての書籍で出し惜しみなくと思ったんですけど、帯も書いてくれた佐久間さんに会ったときに「えっ引退するの?」と言われました(笑)。こんなに書かなくてよかったのかと思いました。
――執筆していく中で注意していたことはありますか?
まずは偉そうにならないこと。あとは細かいですけど、ツッコミの言葉が改行でキレが悪くならないようにしました。ちゃんと「なんてキュートな人なんだ」みたいなツッコミワードを一気に読めるように。僕はあんまり本を読まないんですけど、そんな僕でも読みやすいようにすれば、みんなそうだと思うので、そのあたりは気をつけました。
――最後にどういうふうにこの書籍が届けばうれしいでしょうか?
「ツッコミの作法」と銘打っているのでツッコミ論なんですけど、読み物として面白くできたつもりです。
これを読んでバンバンツッコむのではなく、50種類のツッコミの中から一個でも「今後こうできるな」と思ってくれたら万々歳です。ツッコミによって、その人の人生がわずかでも好転してくれたら最高ですね。
▽森本晋太郎(もりもと・しんたろう)
1990年、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。
【前編はこちらから】トンツカタン森本、ツッコミ一筋でたどり着いた“テレビで重宝される芸人”の現在地
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