2016年8月に報じられた一連のニュースを思い返すとき。実際の内容よりも自分がそのとき、何をしていたかをつい語りたくなってしまうのは、それらの存在が日々の生活に深く根を下ろしていた、柔らかくも確かな証なのだろう。
2016年8月8日、天皇陛下が生前退位の意向を自ら発表。
2016年8月14日、平成の国民的アイドルグループ・SMAPが年内での解散を発表。
自分自身の体験を語れば、天皇陛下の「おことば」はよく晴れた昼下がりに自宅のテレビで、そしてSMAP解散のニュースは夜もだいぶ深まった自室のパソコンで、かなりの衝撃とともにそれぞれ受け止めたのを覚えている。
しかしその衝撃と同じくらい強く記憶に刻まれているのは、永遠に感じていたものが終わろうとしている中でも、翌朝に昇る太陽はそれまでの昨日と変わらずに、いつも眩しくあり続けていたという事実だ。
時代はどれだけの感懐を私たちに刻み付けようともけして永遠ではなく、止まらぬ時間の中では、あくまでも通過点に過ぎない。昭和最後の日々を記憶していない世代の私は、そこにある儚さを、あの2016年に生まれて初めて実感していたように思う。