今年も多くの映画・ドラマに出演し、秋からのNHK連続ドラマ小説『ばけばけ』でヒロイン・松野トキを演じることも決まった高石あかり。今夏公開の、上海国際映画祭審査員特別賞を受賞した映画『夏の砂の上』(7月4日公開)でも印象的な少女を演じている。
次なるスターとしてますます注目が集まる高石に、役者として今思うことや、この道を志すきっかけになった「朝ドラヒロイン」という夢がかなっての気持ちを聞いた。(前後編の後編)>>前編は下の関連記事からご覧ください。※「高」は正式には「はしごだか」

【写真】次作朝ドラヒロインに決定した、女優・高石あかりの撮り下ろしカット【3点】

――今は朝ドラ『ばけばけ』の撮影で大阪で暮らしているそうですが、出身地の宮崎から上京して東京での生活、『夏の砂の上』で滞在した長崎と、様々な土地で暮らす気分はいかがですか?

高石 すごく楽しくって、もっといろんな場所に行きたいです!土地ごとに空気感は全然違って、それがお芝居にも作用してくれます。『夏の砂の上』の長崎なら、坂が多くて太陽の光が当たった時の明暗がくっきりする土地だなと思って。その陰影が織りなす光の魅力も、映像の中で感じてもらえると思います。他にも、実在の場所が舞台になっていない作品でも、その時いた場所で感じたことは無意識に(芝居に)影響しています。

――俳優として経験を積んできて、変わったと思うことはありますか。

高石 昔は役としての感情に、自分の心が引っ張られることもありました。役の感情をそのまま家に持ち帰って、ちょっと重荷に感じる時もあったかもしれません。でもマネージャーさんから、『切り離した方が楽になるよ』と言われてからは、意識して切り替えています。カットがかかったらちゃんと自分に戻ってこられるようになって、今は役と自分は全く別物として捉えています。

――そのマネージャーさんですが、『ばけばけ』で髙石さんの長年の夢だった朝ドラ出演が決まった時、一緒に泣いて喜んでくれたそうですね。


高石 そうなんです(笑)。一緒にお仕事をするようになって、初めて(マネージャーさんが)泣いているところを見ました。役者である前に人としての基本も厳しく教えてもらってきたので、恩返しになったかもしれません。

――ここ数年、出演も引く手あまたで演技も高い評価ばかりの髙石さんにも、そんな時期があったんですね。

髙石 いやもう、『それじゃダメ』って言われっぱなしでした(笑)。お芝居もワークショップの先生や現場の皆さんに鍛えられて、習ったことを糧にしてこれたなと思います。最初からできた人では全くなくて、1歩1歩前に進んでいるところです。

――そして夢が叶った今、どんな心境ですか?

高石 もちろん朝ドラのヒロインは夢だったんですが、その夢が叶う前に役者という仕事とお芝居の虜になってしまって(笑)。『(朝ドラが)叶ったらどうなるんだろう』と思っていたんですが、この夢だけが拠り所だったらこれで燃え尽きてしまったかも。でもこれからもいろんな役に出会えることが楽しみで、新しい夢が見つかるんだろうなと思います。

――なるほど。もし、これから挑戦してみたい役柄を挙げるなら。


高石 まだ経験のない、母親役をやってみたいです。今の私自身が、母というものに興味があって。『ばけばけ』でも、お話が進めば母としてのトキを演じられるのがうれしいです。

――夢がかなって、俳優として、また人として、これからどんな風に生きていきたいと思いますか。

高石 流れるように生きていきたいです。これからも周りの方々を大切にしていったら、皆さんと一緒に幸せを味わえるのかなと思います。このお仕事で出会う役と人、どちらも私を成長させてくれるので、楽しみにしています。

高石あかり
2002年12月19日、宮崎県生まれ。2021年『ベイビーわるきゅーれ』で映画初主演を果たし、2023年には第15回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。2024年は映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』ドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』などに出演。2025年は映画『遺書、公開。』『ゴーストキラー』『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』(声優)、ドラマ『アポロの歌』『御上先生』に出演。
7月31日からはNetflixシリーズ『グラスハート』レギュラー出演を控えているほか、秋からはNHK連続ドラマ小説『ばけばけ』でヒロインを務める。

【前編】「演じている自分が見えなかった」朝ドラヒロイン・高石あかりが語る役者としての覚醒
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