『東京ラブストーリー』は、1988年より『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載された柴門ふみの漫画で、その後1991年にフジテレビでドラマ化された。
【写真】今作で赤名リカを演じる石橋静河
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──『東京ラブストーリー』の赤名リカを演じることになって、最初に感じたことを教えてください。
石橋 大きな挑戦になりそうだな、という予感はしました。ただ、前作(91年)のドラマを観て育ってきたわけじゃないので、もちろんタイトルは知っていたんですけど、なかなか実感は湧かなかったです。
──最初は「有名なドラマなんだな」という漠然としたイメージで。
石橋 そうですね。はい。
──出演が決まった後、前作のドラマはご覧になりましたか?
石橋 実は観てないんです。ものすごい伝説のドラマじゃないですか。今回は時代も設定も変わっているのですが、前作を観ると影響を受けてしまうと思ったんです。でも、原作の漫画は読ませていただきました。
──あえて前作のドラマは観ないようにしたんですね。
石橋 当時と今では、みんなが求めている、共感できるラブストーリーは全然違ってくると思うんです。必然的にまったく違う作品になると考えましたし、2020年を懸命に生きる女性を演じられたらいいなと思っていました。好きになったり、あるいは嫌いになったり、心から信頼したり、裏切られたり、そういった人が人と向き合うことで起きる出来事は不変なので。
──原作からはどのあたりがアレンジされているんでしょうか?
石橋 原作が描かれたのはいまから30年以上前になるそうですけど、当時と今では「女性が働くこと」の意味が違っていると思うし、価値観もだいぶ変化があったと思うんです。当時はリカのような女性の存在はある意味”特殊”だったと思うんですけど、今の時代になると”特殊”ではなくなっている。社会性や時代性よりも、今回は赤名リカと永尾完治の「個人対個人」に焦点を当てたストーリーになっているのかなと思っています。
──前作の『東京ラブストーリー』は、携帯電話が普及していない時代だからこそ起きる“すれ違い”が物語のキーになっていました。ただ、現代は携帯電話、さらにスマホが普及して、LINEやTwitterといったSNSも使えます。そうした環境下で“すれ違い”は起きにくいのかなと思います。
石橋 前作は「連絡がつかない」「違う人が電話に出た」みたいな分かりやすい“すれ違い”があったんですけど、現代ではそんなことはまず起きないですよね。ただ、心の“すれ違い”はいつでもどこでも誰とでも起こりうることだと思うので、その機微を感じられる作品になっていると思います。
──今回も“すれ違い”は起きると。
石橋 もちろんです。みんなが100%意思疎通できたらドラマにする必要はないので(笑)。ある意味、今回の『東京ラブストーリー』はものすごく純粋なラブストーリーになっているんじゃないかと思います。
──前作の『東京ラブストーリー』は、独特なセリフ回しが作品にスパイスを与えていたと思います。今回はどうでしたか?
石橋 私個人としては、今回のセリフが特徴的とは思わなかったけど、リカが発言する言葉って面白いなとは思いました。前回は衝撃的でピックアップしやすい言葉だったかもしれないけど、今回は恋愛のややこしくて分かりづらい部分といいますか、ちょっとした言動で気持ちが変わってしまったり、逆に心の距離がグッと近くなったり、そんな繊細なところにフォーカスしたドラマだと思っています。そういう意味では、前回よりも地味になっているかもしれないけど、よりリアルになっているんじゃないかと感じました。
※インタビューの2回目「赤名リカに愛おしさを感じた分、苦しくもなった」はこちらから。
▽東京ラブストーリー』
話数:全11話 配信:FOD、Amazon Prime Videoにて
2020年4月29日(水)0時より配信スタート
毎週水曜日0時最新話配信
▽ 公式サイト https://www.fujitv.co.jp/tokyolovestory/
▽FOD配信ページ https://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4h06/