卒業後はコラム執筆などを続け、このほど書籍を発売したばかりの吉沢に、AV時代の話から「恵比寿マスカッツ」のメンバーとして活躍したアイドル時代の話、そしてAV引退後の今の話を聞いた。(3回連載の2回目)
※インタビュー(1)吉沢明歩が振り返る「新人時代と恵比寿マスカッツ時代」はこちらから
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──書籍『単体女優 AVに捧げた16年』には恵比寿マスカッツのツアーの打ち上げで「子供の頃に、『アイドルになりたい』って書いたと発表した」というエピソードがありますが、幾つぐらいのことですか?
吉沢 本当にちっちゃい時で3、4歳だったと思います。当時、森高千里さんが大好きだったんです。可愛くて、スタイルが良くて、ソロで歌って踊って、初めてテレビで見た「キラキラした女性」でした。それでアイドルになりたいと思ったんですけど、いつの間にかその夢も忘れていました。その打ち上げでハッと思い出して発表したんですけど、それをスタッフさんが覚えていてくれて、初めてセンターを務めさせて頂いた9枚目のシングル『逆走▽アイドル』(※▽は「ハート」が正式表記。以下同)に繋がったんです。
──歌とダンスに苦手意識があるそうですね。
吉沢 リズム感がないんですよ(笑)。必死でやっているつもりなんですけど、何かが違って、みんなよりもワンテンポ遅れるんですよね。
──AV女優としての吉沢さんは、オールマイティーにこなせる印象なので、それは意外ですね。
吉沢 AVに関しては、監督さんの撮りたいものを100%で応えられるように頑張っていましたし、「アッキーすごいね」って言われたかったんですよ(笑)。だから台本以上に、私のオリジナリティーを出すのが一つの楽しみでした。ただ歌とダンスは努力してもどうにもならなくて……。
──『逆走▽アイドル』のプレッシャーはいかがでしたか。
吉沢 体調が悪くなるぐらいありました。自分のほうが適任だと思っているメンバーもいたと思いますし、そういう子からしたら「何でアッキーなんだろう」と思っているだろうなと。だからこそ、しっかりしなきゃいけないなって思いながらやってました。『逆走▽アイドル』の最後の販促イベントが終わった後に、メンバー全員が呼ばれてマッコイさんから全員卒業を告げられたんですけど、怒涛の日々でしたね。
──マスカッツ卒業後の心境はいかがでしたか?
吉沢 マスカッツが第二の青春でしたし、心の中にぽっかり穴が開いた状態がしばらく続きました。
──もともと団体行動は苦じゃないほうなんですか?
吉沢 全然得意じゃないですし、ずっとピンで動く仕事がメインだったので、最初は大勢で集まって前室でワイワイするのが苦手でした。誰と仲良くしていいのか分からないから探り探りで(笑)。
──誰と仲が良かったんですか?
吉沢 みっひー、ゆまちん(麻美ゆま)、そらちゃんは顔見知りだったのもあって最初から仲が良かったです。
──今年1月16日に麻美ゆまさんとツーマンライブを行いましたけど、音楽活動は継続してやっていく気持ちはあるんですか?
吉沢 ですね。まだ歌に対する苦手意識は消えてないんですけど、自分からチャレンジをやめたり、可能性を閉ざしたりはしたくないんです。なので今もボイトレには通っています。ソロで何かをやろうとかは考えてないんですけど、ライブの機会があったら、これからも出たいですね。
──AV引退に不安はなかったですか?
吉沢 ありました。ただ精神的に、これ以上続けたら自分の中で守ってきたものが崩れちゃうと思ったんですよ。やりがいを持ってAVの現場に臨んでいたのに、行きたくないなとか、この作品に出たくないなとか思いながら続けたくはなかったんです。一番いい時に辞めたかったんですよね。
──本書では作品名を出して赤裸々に嫌だった撮影現場のことも書いていますよね。
吉沢 そうですね(笑)。300本以上のAVに出演したので覚えてない作品もあるんですけど、良かった作品、悩んだ作品、これはないなと思った作品などを挙げました。
──16年間やってAVシーンの変化は感じますか?
吉沢 感じますね。
──吉沢さんは女性ファンも多いですよね。
吉沢 ドラマ『嬢王』(テレビ東京)に出演させていただいたのと、やはりマスカッツの影響が大きかったですね。おかげさまで女性ファンも増えましたし、セルAV店のイベントに子連れで来るご夫婦もいらっしゃいましたからね(笑)。お子さんから似顔絵をもらったこともあって、今も大切に取ってあります。
>>インタビュー(3)「引退後の日常と結婚観」はこちらから。

▽『単体女優 AVに捧げた16年』(光文社)
発売日:3月28日
定価:1,760円(税込)
出版社:光文社